タイ語は、学習する者の立場から見れば、マイナー言語にしては恵まれている方だろう。多くの学習書や参考書が出版されているからだ。
タイ語を勉強しようと決めたら、自分が理解しやすい学習書、あるいは参考書を選ばなくてはならないが、どのような教材がおすすめだろうか?
どの教材が合うかは人により様々かもしれないが、適切な学習書選びの参考となることを紹介してみたい。
発音記号から始めるタイ語
タイ語の勉強を始める場合、初めは発音記号で学習するのが普通でだ。いきなりタイ文字から始めるのもいいが、おそらく99%以上の確率で、早々に挫折するだろう。タイ文字を学ぶのは少し難しいからである。
発音記号で基礎的な会話を学び、タイに旅行に行った時などに、実際にタイ語が通じたりすれば、それはタイ語学習のモチベーションとなる。
タイ語の発音記号といっても、特に決まったものはないというのが現状だ。要は自分なりに発音が分かる記号ならば、英語式のものでもカタカナ式でも何でもいいのである。
発音記号で注意する点
発音記号など何でもいいのであるが、最低限注意すべき点が3つある。
正しい声調
タイ語には、中国語やベトナム語のように声調というものがある。
例えば、タイ語の単語で「マー」と発音する語があったとする。この「マー」という文字を、通常よりは低い声で読んだり、最初は高く途中で下がるように読んだり、最初は低く途中から上がるように読んだりと、いろいろな読み方ができる。そして、タイ語では、この読み方により意味が変わってくるのである。
例えば、下記のような文があったとする。
「マー・マー・テー・マー・マイ・マー」
これでは何を意味しているのか分からないが、声調記号が何らかの方法で加えてあれば意味が理解できるようになる。
上記の例文は「犬は来るが、馬は来ない」あるいは、「馬は来るが、犬は来ない」などと理解できるようになるのである。
日本人にはとっつきにくい声調だが、タイ語では非常に重要なものだ。例示したように、発音記号として、ただ単に「マー」と読み方が示されている場合は、声調が分からないので不適格な教材と言える。
長母音と短母音
タイ語の母音には長く声を出す「長母音」と短く読む「短母音」がある。この「長母音」と「短母音」が明確に分かる教材がいいだろう。
これに関しては「マー」という読み方を、日本語の長音記号である「ー」で対応可能だ。
有気音と無気音
最後に、タイ語には「有気音」と「無気音」がある。説明は難しいが、簡単にいうと空気を出しながら発音するか、空気を出さないで発音するかの違いだ。
英語のアルファベットを発音記号としている場合、例えば「パ」という読みを示す時、有気音では「pha」、無気音では「pa」となっていることが多いだろう。カタカナで示す時は、有気音の場合「パ」と太文字にすることもある。
まとめ
最初の参考書を選ぶ際は
- 正しい声調
- 長母音と短母音
- 有気音と無気音
の発音がはっきり分かるものを選ぶということである。
タイ語学習最初の教材選び
最初のタイ語の教材として選ぶ際は、次の点に注意するといいだろう。
ページ数が少ない会話の本
最初から分厚い教材を選ぶのは、あまりおすすめしない。挨拶から始まり、一通りの簡単な表現が含まれている、ページ数が少ない会話の本を選ぶといいだろう。
学習書に書かれている文を何度も声に出し、丸暗記することだ。声を出して読むことは、非常に重要になる。当然、適切な発音記号が付されているものを前提にしている。
文法の解説が最小不可欠
最初に手にする会話の本には、過剰な文法の解説は不要である。必要不可欠な解説だけでいい。簡単な会話の暗記をする時に、「どのようにしてこの文は成り立っているのだろうか」などという論理的な思考はかえって邪魔になることの方が多い。
本に書かれたタイ語の表現を「こういうものなんだ」と受け止めてしまおう。入門の時期が終われば、文法の勉強をする時間はたっぷりあるのだから。
音声を収録したメディア
暗記といっても発音記号を元に、自分流に読んでいいということではない。会話の内容がCDなどに収録されており、そのメディアが付録としてついているが好ましい。
声を出して読むのと同時に、何度もタイ語を聞くことも重要なことである。
発音記号での学習は3~6ヶ月を目標に
最初の会話の本の暗記は、時間の取れる人の場合1ヶ月ほどあれば十分だろう。時間がないという人でも3ヶ月、時間をかけても半年もやれば、かなりの成果が出るはずだ。
この入門の時期の後、タイに旅行に行った時などに簡単な挨拶などでも現地のタイ人に通じたらかなり嬉しいはずだ。
これがコンビニなどで、「○○はどこにあるの?」と店員に聞き、「あそこにありますよ」なんて会話が成立したらテンションが上がってしまい、その後のタイ語学習の大きなモチベーションとになるに違いない。
モチベーションが高まったらしめたものである。発音記号を使用したタイ語の勉強につまらなさを感じるはずだ。
発音記号でタイ語を学ぶのは王道とはいえ、しょせん偽りのタイ語である。「早く(蛇のような)タイ文字を読めるようになりたい」と思うことだろう。
気分が高まったところで、次の段階であるタイ文字の学習に進むということになる。
【参考記事】