ざきログ

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ミキス・テオドラキスと名曲「イ・マルガリータ・イ・マルガーロ」

ギリシャの伝統的な音楽は、どことなくトルコの影響を感じるものだ。これは歴史的な経緯のせいかもしれない。

また、伝統的な音楽だけではなく、現代のポップスにもトルコっぽい旋律を感じる曲が少なくない。ギリシャの音楽は、ヨーロッパよりも中近東の影響が大きいのかもしれない。

しかし、ギリシャの現代音楽に大きな影響を与えた音楽家がいる。その名前はミキス・テオドラキスである。

 

 

ミキス・テオドラキス

ミキス・テオドラキス  (Mikis Theodorakis、ギリシャ語ではΜίκης Θεοδωράκης) はエーゲ海東部にあるヒオス島で生まれた。名前の「ミキス」は他のヨーロッパの国の国の「ミハエル」や「マイケル」に相当する。

彼はオペラからポップスまで幅広い作曲活動を行うギリシャを代表する作曲家だ。また、彼の活動範囲は作曲だけにとどまらず作詞も行う音楽家である。 

 

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ミキス・テオドラキスの映画音楽

ゾルバ・ダンス

ミキス・テオドラキスは映画音楽も数多く手がけた。彼を有名にしたのが1964年に公開された「その男ゾルバ(Zorba the Greek、Αλέξης Ζορμπάς)」かもしれない。

この映画では、ミキス・テオドラキス が作曲した曲でシルタキ(Συρτάκι)を踊る場面がある。シルタキは腕を伸ばして肩を組むような格好で踊り手がつながり、ラインダンスのように踊るというギリシャの伝統的な踊りである。

「その男ゾルバ」の曲でシルタキを踊ることを「ゾルバのダンス(ゾルバ・ダンス、Zorbas Dance)」と呼ぶが、他の曲で踊るシルタキもゾルバ・ダンスと呼ばれることもある。

 

【ゾルバ・ダンス】

 

外国人にとってはシルタキよりもゾルバ・ダンスの方が親しみがあるが、これを有名にしたのはミキス・テオドラキスであった。

 

名曲「イ・マルガリータ・イ・マルガーロ」

「その男ゾルバ」と並ぶ名曲が1961年に公開されたジェニー・カレツィ(Tzeni Karezi、ギリシャ語ではΤζένη Καρέζη)主演の映画で使用された「イ・マルガリータ・イ・マルガーロ (Η Μαργαρίτα η Μαργαρώ) 」である。

映画の題名は「Poia einai i Margarita(Ποια είναι η Μαργαρίτα)」だ。

「イ・マルガリータ・イ・マルガーロ」の歌の題名の英語表記は「Margarita Margaro」となる場合が多い。ギリシャ語表記でも「Μαργαρίτα Μαργαρώ」とΗを省くケースもある。

 

【イ・マルガリータ・イ・マルガーロ】

 

「イ・マルガリータ・イ・マルガーロ」は国内外の多くの歌手にカバーされた。現在でもギリシャ国内で歌い継がれている名曲である。ほとんどのギリシャ人はこの歌を知っているだろう。

ギリシャ旅行の際、ポップス系の音楽を流すレストランで耳にする機会もあるかもしれない。

 

ギリシャの香りがするメロディー

前述した通り、ギリシャの伝統音楽や現代のポップスはトルコや中近東を想起させる旋律の曲が多い。

下の動画の音楽を聴いても、トルコの音楽と勘違いしそうなメロディーである。 

 

 

ミキス・テオドラキスの作るメロディーはギリシャの香りを感じさせる。ギリシャの伝統的音楽やポップスで用いられるトルコ的な旋律はない。青い空とエーゲ海を想像させるメロディーである。

もちろん、ミキス・テオドラキス以前にも、ギリシャの島にはギリシャらしい伝統音楽はあった。しかし、現代の手法で新しい視点からギリシャらしさを音楽で表現したのがミキス・テオドラキスと言えるだろう。

 

バレル・オルガンの魅力

イ・マルガリータ・イ・マルガーロを初めて知ったのは、ニコラウス・アルマオス (Nikos Armaos、Νίκος Αρμάος) のアルバムである。 このアルバムの日本版には「バレル・オルガンの魅力」とある。

バレル・オルガンはバレル・ピアノとも呼ばれが手回しオルガンのことである。現在ではほとんど見かけなくなったが、昔は道端でバレル・オルガンを弾いてチップをもらう人がいた。

 

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このアルバムはアルマオスがテオドラキスの曲をバレル・オルガンで奏でたというアルバムだ。CDも含めアルバムは絶版であるが、YouTubeやSpotifyで聴くことができる。

 

open.spotify.com

 

ニコラウス・アルマオスが奏でるバレル・オルガンが、エーゲ海とその島々の情景を思い浮かべさせてくれる素晴らしいアルバムである。ギリシャへを旅行する時は、いつもバレル・オルガンの乾いた音が頭の中を駆け巡る。

中でも素晴らしいのが、やはり「イ・マルガリータ・イ・マルガーロ」だ。この曲をきっかけにギリシャを好きになったようなものである。

思い返せば「ミキス・テオドラキスがいなければギリシャとは縁がなかったかもしれない」と強く思うのである。