ピーターコーン祭り(Phi Ta Khon Festival、ผีตาโขน)が行われるルーイ県(Loei、จังหวัดเลย)のダーンサーイ(Dan Sai、ด่านซ้าย)には、ピーターコーンに関する博物館が2つある。
これらの2つの博物館は「ピーターコーン博物館」という名称で一緒に扱われているようだ。いずれにせよ、どちらの博物館も、ワット・ポーンチャイ(Wat Phon Chai、วัดโพนชัย)の敷地内にあり、入場料は無料である。
ダーンサーイに行ったら見逃せないスポット、2つのピーターコーン博物館を紹介してみたい。
ピーターコーン博物館
ダーンサーイにある2つの博物館の1つが「พิพิธภัณฑ์ผีตาโขน(ピピッタパーン・ピーターコーン)」という名前で、そのものずばり「ピーターコーン博物館」である。
この博物館はお寺の古い建物の一角にあり、入り口が少々分かりにくい。後述するもう1つの博物館に行く人は多いが、こちらの博物館には入らない人もいる。
しかし、博物館という価値では、こちらのピーターコーン博物館の方が貴重である。ピーターコーンの歴史などの解説や、それに付随するものが数多く展示されているからだ。
もちろん、ピーターコーン祭りで使用される仮面やピーターコーンの人形も展示されているが、メインはピーターコーンに関する様々な資料であると言えるだろう。
この博物館ではピーターコーン祭りの期間中、ボランティアの女子学生が博物館内を案内してくれる。普段はそれほど外国人が来る観光地でもないので、彼女たちにとって祭りの期間は祭りを見物に来た外国人と英語を話すいい機会でもある。
ボランティアの学生は、博物館内の資料などの説明をしてくれ、質問にも答えてくれる。
ただし、このボランティアによる案内は、ピーターコーン祭りの初日でなければ難しいかもしれない。祭りの華であるパレードが行われる2日目は多くの人が訪れ、ボランティアも大忙しだからだ。
じっくりと話を聞きたいなら、ピーターコーン祭りの初日に行くことをおすすめする。
ダーンサーイ郷土博物館
ピーターコーン博物館の隣にあるきれいな建物が「พิพิธภัณฑ์ท้องถิ่นเมืองด่านซ้าย(ピピッタパーン・トン・ティン・ムアン・ダーンサーイ)」で、「ダーンサーイ郷土博物館」とでも訳せばいいだろうか。
ネットで調べていると、このダーンサーイ郷土博物館の方をピーターコーン博物館と思っている例が多いことが分かる。それもそのはず、こちらの方がイメージ通りの「ピーターコーン博物館」だからだ。
ダーンサーイ郷土博物館は比較的新しい建物で、館内にはピーターコーンの仮面が数多く展示されている。まるで芸術作品のように仮面が飾られているので、何枚も写真を撮りたくなることだろう。
この博物館では色を塗る前の仮面と仮面に色を塗る道具なども展示されており、ピーターコーンの仮面の作成方法も知ることができるようになっている。
この博物館もピーターコーン祭りのパレードが行われる2日目は、ゆっくり写真を撮れないほど混雑する。じっくりと見学するにはパレード当日は避けるべきかもしれない。
ピーターコーンの名前の由来
ネットでピーターコーン祭りについて調べていると、ピーターコーンの語源、あるいは由来を「ピー(ผี)」を「精霊」、「ター(ตา)」を「目」、「コーン(โขน)」を「仮面劇」として、「精霊の仮面をかぶった劇」と説明しているサイトがほとんどである。
おそらく、あるサイトに記載された文章をそのままコピーしているのだろう。しかし、これは必ずしも正しいとは言えない。
めこんから出版されている梶原俊夫著「タイの祭り」によると
ピー・ター・コーンの語源には2つあるとされる。ひとつは「人についていく精霊(ピー・ターム・コン)」が変化したもの。これはお釈迦様が故郷に帰る時に人々だけでなく、精霊までもが森から出てきて歓迎したという話による。もうひとつは文字通り「仮面をかぶった精霊」という意味。
と、ピーターコーンの語源には2つあるとしている。
ネット上のウェブサイトやブログでは、2つ目の「仮面をかぶった精霊」をピーターコーンの語源としているが、これは間違いである可能性が高い。
ピーターコーン博物館で館内を案内してくれた女子学生にこの件に関して聞いたところ、「ピー・ター・コーン」は「ピー・ターム・コン(人についていく精霊)」のことだと説明していたからだ。確かに「ピー・ターム・コン」の方が語源としては美しい。
語源が2つあり、地元の人が一方を正しいものとしているのだから、それに従っておくべきだろう。
ちなみに「タイの祭り」という本は、かなりの良書である。単にタイの祭りを紹介しているのではなく、きちんと由来なども記載しているからだ。おそらく増刷されることはなく、いずれ絶版になるだろう。タイの祭りに興味があるなら買っておいて損のない1冊と言える。
【参考記事】