ざきログ

Zakki Log - つらつらと、気になることを綴ってみます -

チェンマイの猫カフェ、キャトマスフィア(Catmosphere)

もしチェンマイで時間を持て余したら、猫カフェに行ってみるのもおすすめだ。

チェンマイの中心部からチェンマイ動物園の方へ行った所に「キャトマスフィア・キャット・カフェ」という猫カフェがあるので紹介してみたい。

 

少し不便な場所にあるキャトマスフィア・キャット・カフェ

キャトマスフィア・キャット・カフェの英語名は「Catmosphere Cat Cafe」だ。「catomosphere」は、「cat(猫)」と「atomosphere(雰囲気)」の合成語であろうか。さしずめ「猫の雰囲気」といった感じか。

チェンマイにあるこの猫カフェ、キャトマスフィアはちょっと不便な場所にある。

不便な場所とは言っても場所は分かりやすい。城壁の北を走るフアイ・ケーオ(Huay Kaeo)通りをチェンマイ動物園方面に行けばいいだけだ。

ただし、チェンマイの中心部からかなり距離がある。もしキャトマスフィアへ行くなら、貸自転車屋で自転車を借りるといいだろう。

フアイ・ケーオ通りは交通量が多いので、自転車に乗る際は注意が必要だ。とはいっても、この通りを自転車で走っている外国人観光客は少なくない。

フアイ・ケーオ通りをチェンマイ動物園に向かって行くと、下のような看板が見える。この看板が見えたらキャトマスフィアはすぐそこだ。 

 

チェンマイにある猫カフェ、キャトマスフィア(Catmosphere)の看板

キャトマスフィアの看板

 

キャトマスフィアに着いたら店の前に自転車を止めておくといい。その際は鍵をかけるのを忘れずに。

この猫カフェはワンドリンク制である。飲み物を1杯注文するだけでよい。 

 

チェンマイにある猫カフェ、キャトマスフィア(Catmosphere)の入口

キャトマスフィア

 

外国人観光客に人気のキャトマスフィア

キャトマスフィアは外国人観光客に人気の猫カフェである。外国人がどっとやって来て、非常にぎやかになることもある。

もちろん地元のタイ人もいるが、中学生か高校生くらいの若い女の子が静かに猫と遊んでいて、カフェの中が居酒屋のようにうるさいくなってしまったら居づらくなってしまうのだろう。

とにもかくにもキャトマスフィアは、時間のよってはウェイティングもある人気の猫カフェである。

ちなみに、このキャトマスフィア、同系列の店がオーストラリアのシドニーにもあるようだ。

 

元気でいたずらな猫

キャトマスフィアは全席床に座るタイプで、店内はそれほど広くはない。しかし、ここの猫たちは元気がいいので、見ていて楽しい。

ややいたずら気味な猫たちではあるが。

 

チェンマイにある猫カフェ、キャトマスフィア(Catmosphere)の少女に撫でられている猫

キャトマスフィアの猫

  

油断していると水の入ったコップを舐めたり、注文した飲み物のストローに噛みついりする。

猫がストローに噛みつこうとすると、他の客から「あーっ!あーっ!」と声が上がったりもする。

 

チェンマイにある猫カフェ、キャトマスフィア(Catmosphere)のストローに噛みつく猫

ストローに噛みつく猫

 

いたずらな猫が多いが、何らかのアクションをしてくれる猫は楽しいものだ。 

キャトマスフィアの猫たちは元気があり、見ていてかわいい。いつまで見ていても飽きない気がする。

店内には猫を使ったキャトマスフィアのオリジナルポスターが飾られている。また、レジの所で品数は多くはないものの、猫グッズを販売している。 

 

チェンマイにある猫カフェ、キャトマスフィア(Catmosphere)の店内に飾られているポスター

キャトマスフィアのポスター

 

チェンマイの中心部から大分離れた所にあるキャトマスフィアであるが、チェンマイに行った際は是非訪れてみて欲しい。

チェンマイ動物園も近いので、キャトマスフィアで猫と遊んでから動物園に行ってみるのもいいだろう。 

キャトマスフィア・キャット・カフェの詳細は、下記のウェブサイトで。

 

Catmosphere Cat Café

 

 

チェンマイの市場が真っ赤に染まるいちごの季節

11月の後半から、タイではいちごの季節となる。

ロイクラトンやイーペン・ランナー・インターナショナルの日程は毎年変わるが、ちょうどこの時期に当たることもある。もしこの「いちごのシーズン」にチェンマイへ行く予定があるなら、市場へ行ってみることをおすすめする。

市場に行くといちごを売る店が多く、さながらいちご祭りの様相を呈している。

鮮やかないちごが市場を彩るのを眺めるのも楽しいものである。

 

ワット・スアン・ドークの先にあるいちご市場

ワット・スアン・ドーク(วัดสวนดอก)には、白亜の仏塔に囲まれた金色の大きな仏塔が立っている。このお寺はチェンマイでも美しいお寺の1つで、ここを訪れる観光客は多い。

 

 

チェンマイにある金色の仏塔のワット・スアン・ドーク

ワット・スアン・ドーク

 

ワット・スアン・ドークからチェンマイの郊外に向かって少し歩いた所に、いちごの季節になるといちごの専門店が多く出店するトン・パヨム市場(ตลาดต้นพยอม)がある。

歩いて数分の距離なので、ワット・スアン・ドークを観光後、ついでに寄ってみるといいだろう。

 

トン・パヨム市場はいちごでいっぱい

いちごの季節のトン・パヨム市場には、通常の店の他にいちごのみを扱う店や屋台が並ぶ。

小ぶりのいちごから大ぶりのいちごまで、様々な種類のいちごを売っている。各お店がいちごをおいしそうに見せるため、いろいろとディスプレイの仕方を工夫しているのが分かる。

タイの赤い果物といえばランブータンなどがあるが、ちょっとくすんだ色だ。そのため、いちごの真っ赤な色は、タイでは新鮮に感じる。

 

チェンマイにあるトン・パヨム市場で売られている真っ赤ないちご

チェンマイのいちご

 

旬のものなので、この時期のいちごの値段は、タイの物価にすれば高めなのかもしれない。それでも日本とは比べられないほどの安さである。

1袋買って帰り、ホテルで食べるのもいいだろう。

 

チェンマイのトン・パヨム市場のいちご屋に並ぶ美味しそうないちご

トン・パヨム市場のいちご屋

  

イチゴのワイン

トン・パヨム市場のいちご屋を見て回って、気になるのがイチゴで作ったワインだ。

 

チェンマイにあるトン・パヨム市場で売られているいちごのワイン

いちごワイン

 

タイではいろいろな果物を使ったワインがあり、チェンマイの近くならミャンマーとの国境にあるメーサイなどで売っており、値段もお手頃で気軽に買うことができる。

そのようなワインは「無理やりワインにしてしまった感」はあるが、トン・パヨム市場のいちごワインもそのような類だろう。

しかし、少し微妙な箱ではあるが、一応箱に入っているのでお土産にもいいかもしれない。

 

 

 

www.apriori-eye.com

 

チェンマイの隠れた名所

チェンマイ市内にはきれいなお寺が多い。そのため、チェンマイ観光は、ともすればお寺を巡り、後はナイトバザールに行って終わりということにもなりかねない。

しかし、チェンマイにはお寺以外にも見どころはある。このような場所に限って、あまり観光客は訪れないものだ。

そんなチェンマイの魅力を伝える隠れた名所、あるいは見逃してしまう場所を紹介してみたい。

 

 

ナワラット橋からワット・ケート・カーラームへ続く道

歴史を感じる古民家

ターペー門からターペー通りを西に歩いて行くとナワラット橋(สะพานนวรัฐ)がある。

この橋を渡って左に曲り、ずっと歩いて行くとワット・ケート・カーラーム(Wat Ket Karam、วัดเกตการาม)というお寺があるが、このお寺に続く道には趣のある古い建物が並んでいる。

 

チェンマイのワット・ケート・カーラーム(Wat Ket Karam、วัดเกตการาม)というお寺の近くにある趣のある古い家

チェンマイの古い家

 

非常に風情を感じる通りだが、観光客らしき人はほとんどいないエリアだ。建物は普通の民家もあるが、多くは店舗として使用されている。

 

チェンマイのワット・ケート・カーラーム(Wat Ket Karam、วัดเกตการาม)というお寺の近くにある、商業用店舗として使用されている古い建物

店舗として使用されている古い建物

 

女人禁制の仏塔

古い家並みを見ながらしばらく歩くと、ワット・ケート・カーラームに到着する。ちらほらいた観光客も、ここまで来るとほとんどいない。お寺にいるのは地元の人たちだけだ。

ワット・ケート・カーラームにはきれいな白い仏塔がある。

 

チェンマイのワット・ケート・カーラーム(Wat Ket Karam、วัดเกตการาม)の白い仏塔

ワット・ケート・カーラーム

 

その仏塔の階段には「WOMEN ARE NOT ALLOWED」と表示があり、女人禁制になっている。女性の立ち入り禁止はここだけで、お寺の他の場所は立ち入り自由である。

 

チェンマイのワット・ケート・カーラーム(Wat Ket Karam、วัดเกตการาม)「WOMEN ARE NOT ALLOWED」と書かれたの女人禁制の階段

女人禁制の階段

 

ピン川沿いのカフェで一休み

この通りのピン川(Ping River、แม่ปิง)沿いにはカフェが数軒並んでいる。ワット・ケート・カーラームからチェンマイの市街地へ戻る途中に寄ってみるのもいいだろう。

 

チェンマイのピン川沿いにある古い家を利用したカフェ

ピン川沿いのカフェ

 

晴れた日なら、テラス席があるカフェがおすすめ。ピン川で魚釣りをしている人や川をクルーズする遊覧船を眺めながら飲む冷たい飲み物が最高だ。

 

チェンマイのピン川沿いのカフェから眺める川を行きかう遊覧船

ピン川の遊覧船

 

ライトアップがきれいなレック橋

ナワラット橋の南に、鉄橋のようなレック橋(สะพานเหล็ก)がピン川に架かっている。レック橋は、夜になるとライトアップされる。

 

ライトアップされ、ピンク色になっているチェンマイのピン川に架かるレック橋

ピンク色のレック橋

 

赤や青、ピンクなど、頻繁にライトの色が変わるので、とてもきれい。

 

ライトアップされ、黄緑色になっているチェンマイのピン川に架かるレック橋

黄緑色のレック橋

 

ナイトバザールから近いので、ついでに寄ってみるといいだろう。わざわざレック橋を見に来る人もいないので、混雑してることはない。

しかし、ライトアップされたレック橋を近くで見るのもいいが、上述したワット・ケート・カーラームへ行く時に渡るナワラット橋からレック橋を眺めるのもおすすめである。

 

ラーンナー建築センター

ラーンナー建築センターの周りにはガイドブックおすすめのお寺が多い。そのせいか、周辺は人通りが多いにもかかわらず、ここに来る人は非常に少ない。

この建物は回りが壁で囲まれているので、敷地内に入るととても静かだ。

 

チェンマイにあるラーンナー建築センターの看板

ラーンナー建築センター

 

ここにはラーンナー様式の建物の模型やタイの現代絵画が展示されている。建物内に冷房があるわけではないが、開放的で涼しさを感じられる構造になっている。

興味深い絵画も多いので、お寺散策の途中に立ち寄ってみるといいだろう。

 

チェンマイにあるラーンナー建築センターの建物と館内に展示されている絵画

ラーンナー建築センターの絵画

 

チェンマイ警察署の黄金像

徒歩でチェンマイ観光をしているなら、かなり高い確率でチェンマイ警察署の前を通るはず。

 

チェンマイ警察署の看板

警察署の看板

 

そのため、警察署の前にある警官の黄金像を、自然と目にすることになるかもしれない。

警官の像を金色で建てるとは、やり過ぎな感じがしなくもないが、きちんとした謂れがあるのだろう。

例えば、人命救助で殉職した警官の慰霊するための像とか。

 

チェンマイ警察署にある警官の黄金像

警官の黄金像

 

チェンマイキャバレーショー

ニューハーフショーと言えばバンコクやパタヤであるが、チェンマイにもこのような店がある。バンコクやパタヤならまだしも、古都チェンマイにはあまり似合わないという気がしないでもないが…。

店の名前は「チェンマイキャバレーショー(Chiang Mai Cabaret Show)」。

料金の方は、バンコクやパタヤと比較したら破格の安さだ。チェンマイでの滞在が長い人なら、1度行ってみるのもいいかもしれない。

 

【チェンマイキャバレーショーの詳細】

Chiang Mai Cabaret Show - Chiang Mai

 

チェンマイ発のツアー

チェンマイはタイ北部にあり、北部ならではの独特の文化がある。また、周辺にはヒルトライブ(Hill Tribe)と呼ばれる少数民族(山岳民族)も住んでおり、少数民族の村を訪れるツアーもある。

チェンマイで時間的に余裕があれば、このようなツアーに参加することもおすすめである。

 

【参考記事】 

www.apriori-eye.com

  

 

タイの地獄寺で地獄を学ぶ

タイには地獄の様子視覚的に表現するため、彫刻などのオブジェを展示しているお寺がある。通称「地獄寺」と呼ばれるお寺だ。

地獄寺の1つがスパンブリ県にある。ワット・パイ・ロン・ウア(วัดไผ่โรpan>, Wat Phai Rong Wua)というお寺である。

このようなお寺はタイ国内にいくつかあり、首都バンコクから近いお寺ならチョンブリー県にもある。しかし、お寺の規模や見応えのある彫刻が数多く展示されているという点で、バンコク近郊の地獄寺ならワット・パイ・ロン・ウアがおすすめだ。

 

地獄で罰を受ける人形たち

ワット・パイ・ロン・ウアの敷地は広く、その一角に地獄絵巻がある。

駐車場から池に架かった橋を渡ると、地獄を表現したオブジェが展示されている場所があるのだ。

展示されているものは、生前悪いことをした人間と、それを痛めつける閻魔大王とその家来、そして様々な動物たちである。「悪いことをすると、地獄に落ちてこんな罰を受けるそ!」と啓蒙というか、警告をしているのであろう。

 

タイのスパンブリにある地獄寺、ワット・パイ・ロン・ウアの屋外にある展示物

ワット・パイ・ロン・ウアの展示物

 

これらの地獄のオブジェは、表現が非常に直接的である。一見非常にグロテスクであり、小さな子供などはトラウマにならないかと心配してしまうほどである。

小さな子供にとっては怖い展示物かもしれないが、大人にとっては結構楽しめるオブジェである。直接的な表現といっても、かなりデフォルメされ、リアルさを感じない彫刻なので、ユーモアさえも感じてしまうのである。

デフォルメされているといっても、結構細かいところまで気が配られている。のこぎりに付いた血や飛び出た内臓などは、ユーモアを念頭に置きつつも決して手抜きはしないという製作者の心意気を感じるのだ。

血や内臓という基本的に人間が恐怖を感じるものを扱いつつ、ユーモラスに仕上げるなど、その発想や技術に感服してしまう。

ワット・パイ・ロン・ウアのように地獄を楽しめるお寺は、B級スポットが好きな人にはたまらない場所だろう。 

 

ワット・パイ・ロン・ウアへの行き方

ワット・パイ・ロン・ウアへ行く際、知人のタイ人に行き方を聞いたのだが、どうも要領を得なかった。バスなどの公共の交通機関でを使っても行けるようなのだが、説明するのが面倒なようだった。

ワット・パイ・ロン・ウアはタイ人に人気なようで、タイ人用のツアーもあり、そのツアーで行くことをすすめられた。

ワット・パイ・ロン・ウアへ行くツアーはウェンディツアー(Wendy Tour)で申し込むこともできる。ちょっとツアー代金が高いが、タイ人用のツアーも結構高く、大して金額が変わらない。

 

thailand.wendytour.com

 

ネットで調べてみると公共の交通機関でもワット・パイ・ロン・ウアへ行けるようである。

バンコクからバスやロットゥでの行き方は下記のウェブサイトを参照してほしい。

 

http://www.asia-network.net/Suphanburi/116-D1-1-1.htm

 

 

ワット・パイ・ロン・ウアは、アユタヤなどの正統的観光スポットとは別の面白さがある。。タイで時間の余裕があれば、是非訪れてほしい場所だ。

 

 

「タイの地獄寺」は地獄寺に関する学術的研究書

タイの地獄寺に関する学術的研究をまとめたものが椋橋彩香(くらはしあやか)著の「タイの地獄寺」という書物である。 

 

タイの地獄寺

タイの地獄寺

 

 

タイの地獄寺の案内のような軽い読み物かと思いきや、読んでみるとかなり調査・研究をしている良書である。

この本によるとタイの地獄寺の歴史はそれほど古くはなく、約60年前に初めて作られたそうだ。それ以前にも地獄を表現した展示物はあったが、それらは彫刻ではなく壁画であった。

地獄寺が作られた背景は社会的な要因や政治的な要因などが考えられるが、その内の1つに経済的な側面もある。お布施を集めやすくするためだ。

彫刻が展示されている場所へ行くには入場料を徴収したり、機械仕掛けの人形を置き、お金を入れると動くようにしておくわけである。

また、地獄寺に展示されている地獄の様子も「こんな地獄にしてやろう!」という制作者の思いつきで作られたわけではないことが、この本を読めば分かる。

例えば、下記のような木のとげで苦しんでいる場面も、ちゃんとした仏教的根拠があるのだ。

 

ワット・パイロンウーアの像

地獄寺の1つ、ワット・パイロンウーアにある像

 

「タイの地獄寺」では、タイにおける仏教がどのように国家統治の手段として取り込まれてきたかなども調べられている。

また、タイ仏教の歴史やタイにおける仏教の役割なども論じられており、タイ仏教の入門書としても最適の書である。

タイの地獄寺に興味があるなら一読をおすすめする。

 

1票1,000バーツの金が飛び交うタイの選挙

以前、タイのバンコクにSkype(スカイプ)仲間がいた時のこと。

彼女はイサーン(タイの東北部)出身で、バンコクの私立大学を卒業し、当時アパレル関係の営業をしていた。その彼女がタイの選挙事情について話してくれた。

 

 

タイの選挙

その彼女が長い休みでもないのに、週末にイサーンの田舎に帰ることになった。理由を尋ねると、父親の選挙の関係とのことだった。

彼女の父親はある長の職位にあるが、任期満了に伴い、新たな選挙が行われるとのこと。つまり、その職位の座をかけ、彼女の父親が選挙に立候補してきた対立候補を迎え撃つという構図であった。

彼女の父親が公職にあるとは知らなかったので、「お父さん、市長(นายกเทศมนตรี)なの?」と尋ねたところ、彼女は否定した。

市長ではなく、「プーヤーイ・バーン」という名の職位だそうだ。説明を受けたにもかかわらず、「プーヤーイ・バーン」についてはよく理解できなかったので調べてみた。

 

プーヤーイ・バーンとは?

タイでは行政の末端組織に「ムーバーン(หมู่บ้าน)」というものがある。

ウィキペディアによると

 

地方行政の単位で、タンボン(町)の下位にあり、地方行政最下位の組織である。通常「村」と訳される。

 

とある。

 

ja.wikipedia.org

 

また、英語版のウィキペディアを参照してみると

 

As of 2008, there were 74,944 administrative muban in Thailand.[1] As of the 1990 census, the average village consisted of 144 households or 746 persons.

 

とある。

 

en.wikipedia.org

 

最初に想像していたのは町内会のような組織だったが、タイ国内に74,944のムーバーンがあり、1つのムーバーンは平均で約746人で構成されているので、町内会よりははるかに大規模な組織のようだ。

また、日本語では便宜上「村」と訳されるが、日本の村とはかなり意味合いが異なりそうだ。

そして、ムーバーンの長として公選で選ばれるのが「プーヤーイ・バーン(ผู้ใหญ่บ้าน)」ということが分かった。

後日、彼女に「ムーバーンの長のプーヤーイ・バーンだね?」と聞くと、この認識で正しいということだ。

 

プーヤーイ・バーンになるために

彼女は選挙が近づくにつれ、いろいろと手伝いがあるのか、毎週のように実家に帰るようになった。

そんなある日、彼女は「選挙に、あと20,000バーツ必要」と言いだした。理由を聞くと驚いた。

「1,000バーツずつ、20人に配るから」

ポスターなどの選挙費用かと思ったのですが、有権者に金を配るというのだ。これは、日本の公職選挙法でいうところの買収に当たる行為ではないのか。

有権者に金を配るのは法律に触れないのかと尋ねると、

「良くないことだけど、あと20票必要だから」

という答えだった。

 

プーヤーイ・バーンの報酬

彼女からプーヤーイ・バーンに関する話を聞いている内に、プーヤーイ・バーンの給与の話題になった。

「父の月給、いくらか知ってる?」

おそらくプーヤーイ・バーンの月給は、公務員、あるいは公務員に準ずる給与体系に基づくものと想像した。

タイでは一般企業と比較し、公務員の福利厚生が充実している。そのため公務員の職は人気が高いが、給与は少ないのが一般的である。

とはいうものの、地区の長の地位なので、20,000バーツ程度はもらえるのではないかと想像した。

しかし、彼女によるとプーヤーイ・バーンの月の報酬ははるかに下であった。

「たった6,000バーツよ」

この答えは信じられない。おそらく、彼女の父親は、他に本業があるかサイドビジネスを行っているはずだと確信した。

月給6,000バーツはバンコクでは最低賃金で、デパートガールと同じ水準になる。この月給では、娘をバンコクの私立大学に行かせることなど到底無理である。

 

プーヤーイ・バーンの特権

更に話を聞くと、プーヤーイ・バーンは月給の他にコミッションをもらえることが分かった。コミッションとはどのようなものかと尋ねると、

「ムーバーンで何か行われれば、数パーセントのコミッションがもらえる」

ということだった。

おそらくこういうことだろう。彼女のお父さんがプーヤーイ・バーンを務めるムーバーンで公共工事などが行われれば、お父さんは工事費用の数パーセントのお金がもらえると。

もしコミッションという報酬を受け取ることが法的に認められているなら、ムーバーンにおけるコミッションとは、合法的にシステム化された賄賂と言える。しかし、コミッションがタイの法律に反するものなら、単純に公職者の賄賂となるだろう。

この点については確認できなかったのが残念だ。

いずれにせよ、このコミッションが純粋な給与の額よりはるかに大きいのではないかと推測される。

後日談だが、買収に失敗したせいか、彼女のお父さんは選挙に敗れてしまった。

しかしながら、この選挙を通じ、彼女からいい話を聞かせてもらったと思う。小さいムーバーンの選挙とはいえ、タイの選挙の生々しい実態を知ることができたからである。

 

【バンコク】タイの水かけ祭り「ソンクラーン」の注意点

毎年4月にタイではソンクラーン(สงกรานต์、Songkran)とよばれる水かけ祭りが行われる。

祭りの日にちは年によって変わるものの、通常、4月上旬から中旬に開催される。ソンクラーンは「水かけ祭り」と呼ばれている通り、人に水をかける祭りだ。本場はチェンマイだが、バンコクでもさかんに行われている。

ここでは、バンコクのソンクラーンの時に持っておくべき物と注意点などを紹介してみたい。

 

 

バンコクのソンクラーンはどこで行われるのか?

ソンクラーンを見たいと思い、バンコクのどこへ行けばいいのかをタイ人の知り合いに聞いてみた。その知人は、「どこそこがすごい」などとソンクラーンが盛り上がる場所を何ヶ所か教えてくれた。

しかし、実際にバンコクに行ってみると、それは全く違うことが分かった。知人の言う「何ヶ所」というのは特に盛り上がる場所で、小規模の水かけはバンコクのあちこちで行われる。スクンビット通りでさえ例外ではない。

私は知人に教えてもらったその「何ヶ所」のみがソンクラーンの会場だと勘違いしてしまったのだ。

 

夜のスクンビット通りでホースを使って水をかける人

夜のスクンビット通り

 

知らずに行ったら大変なソンクラーン

純粋に観光目的でソンクラーンの時期にバンコクに行くとしたら、意外と難儀するかもしれない。

朝の早い内にホテルを出てしまえば水かけが始まらないのでいいのだが、問題は水かけ開始以降である。水かけ開始以降と言っても、もちろん明確な時間はない。

ソンクラーンの時、BTSのプロンポン駅(Phrom Phong)から徒歩7~8分の所にあるホテルに滞在したが、駅からホテルに着くまでに水をかけられびっしょりと濡れてしまうこともあった。

ソンクラーンのためにポンチョを用意していたが、全く役に立たない。ポンチョの襟をひっぱり、その隙間に水を入れてくるからだ。

このような有様なので、ジーンズにスニーカーなど履いていようものなら、かなりダメージが大きいだろう。

ソンクラーンの時は潔く諦め、水に濡れないことよりも水に濡れても問題無いような服装で対処するしかない。

 

ソンクラーンの時に用意すべき物

ソンクラーンのために準備したもの

ソンクラーンの時期にバンコクへ行く際、予想できる範囲で入念な準備をした。通常バンコクに滞在する時と比較し、特に準備した物は

  • ポンチョ
  • 防水性のカメラ

だ。

また、次のようなことにも注意を払った。

  • 速乾性のTシャツを着用する
  • 下は短パン
  • サンダルを履く。もちろん靴下は履かない
  • バッグにはタオルを常備

上記のようにソンクラーン対策は準備万端のつもりだったが、実際に現地に行ってみると、まだまだ甘いことを実感した。

ソンクラーンの期間のある朝早く、バンコクで行っておきたい所があったのでBTSを利用したが、その車内で見かけたのがビニール製のポーチを持つタイ人だった。ジッパーで閉めることのできるポーチだ。

ポーチは透明だったり、色がついていても半透明なので中の物が見え、ポーチの中にはスマホやお金などが入っているのが分かる。結構な数のタイ人が同じ様なポーチを持っていたので「バンコクで流行ってるのかな?」などと思っていた。

そのビニール製のポーチを持つ意味は、水をかけられ、びしょびしょに濡れた後に分かる。スマホやお金を水から守るためのものである。

 

ソンクラーン時の持ち物

そのようなことを考慮し、ソンクラーンの時に準備しておきたい物を挙げてみたい。

貴重品を入れるためのジッパー付きのビニール製ポーチ

  • 上下ともに速乾性の服
  • 滑らないサンダル
  • ビニール袋
  • タオル
  • 防水性のカメラ(写真を撮る場合)

ポーチには財布やスマホなど絶対に濡れては困るものを入れておく。また、濡れてもすぐに乾く服装が好ましい。

みんな水をかけあうので、服もびしょびしょだが歩道も濡れている。そのため、底のしっかりした滑りにくいサンダルがおすすめだ。もちろん靴下を履くのはもってのほかである。

写真を撮影したい場合は絶対に防水性のカメラ、あるいは付属品で防水仕様にできるカメラを持って行くべきである。そうでないと、最悪、カメラが故障する危険性があるからだ。

もう1つ付け加えると、体を拭くためのタオルをビニール袋、あるいはレジ袋のようなものに入れて持参するといいだろう。

 

ソンクラーンの時に注意すべき点

上記の持ち物を準備しておけば困ることはないだろうが、次の点には注意すべきである。

  • 濡れたくない場合は、移動の際にタクシーを利用する。その際、タクシーの窓を開けない
  • エアコンのないバスに乗らない

水かけが始まる時間は特に決まってないが、水かけ開始後の時間に移動するならタクシーがおすすめだ。水かけの危険地帯を通らなければならない場合は特にである。

また、タクシーで移動する際に気を付けなければならないのは、バンコクのタクシーは時々窓が少し開いている場合がある。そのため、乗車したら窓を確認し、もし開いていたらしっかりと閉めることが重要だ。

細い路地(ソイ)に入ると大通り以上に激しい水かけをやっている場所もある。タクシーに水をかけられた時、ちょっと開いた窓から水が入ってしまうので注意が必要である。

下の写真はタクシーの中から撮ったものだが、細い路地にもかかわらず、水かけが激しく行われていた。みんな獲物を狙うような眼をしている。

 

バンコクのソンクラーンをタクシー内から撮影

タクシーから見たソンクラーン

 

また、バンコクにはエアコンがついていないバスがある。エアコンのないバスは車内が暑いので、窓が開いているはずだ。窓が開いているということは、水をかけて下さいとお願いしているようなものである。

たとえバスの中に仕事帰りのスーツを着た女性がいようと、水をかける者は容赦はしない。下の写真は、そんな獲物を虎視眈々と狙っている人々だ。

 

バンコクのソンクラーンで通りを歩く人やバスに水をかけようとする人々

通りを歩く人やバスに水をかける人々

 

水をかけるための武器

ソンクラーンでは、通常、バケツなどの容器に水を入れて水をかけるが、その他にもいろいろと水かけの道具がある。

まずは高性能水鉄砲。水鉄砲は、ソンクラーンの時ならバンコクのあちこちで売られている。バンコクには、このような水鉄砲を持った人たちが闊歩している。

 

バンコクのソンクラーンで大きな水鉄砲を持つ人たち

大きな水鉄砲

 

さすがにBTSや地下鉄の駅構内で水かけを行う人はいないが、常に臨戦態勢であることは間違いない。

 

BTSの駅構内で水鉄砲を持っている人たち

BTSの駅構内

 

また、車の洗車などに使うような直接ホースに付ける水鉄砲タイプもある。しかし、これはちょっと邪道と思わざるを得ないが…。

 

バンコクのソンクラーンでホースを使って水をかける人

ホースが付いた水鉄砲

 

この時期、BTSなどに乗ると、びしょ濡れの中学生か高校生くらいの女の子が乗っており、普段なら「犯罪にでもあったのか?」と心配してしまうが、「はっちゃけたな」と微笑ましくなるのもソンクラーン祭りならではだろう。

 

観光が目的ならソンクラーンの時期のタイは避けるべき

以上、バンコクのソンクラーンについて紹介してみた。

ソンクラーンを楽しむためなら別であるが、純粋に観光のためにバンコクへ行こうとするなら、しっかりとソンクラーンの時期を確認した方がいいだろう。思いがけないハプニングが待っているからだ。

1つ言えることは、「ソンクラーンには興味はない。純粋にバンコクの観光がしたい!」という場合、ソンクラーンの時期にバンコクのみならず、タイに行くのは避けた方がいいということだ。

特にチェンマイへ行く人は注意した方がいい。チェンマイのソンクラーンは、バンコクよりもはるかに激しいからだ。

 

スコータイ空港から市内への移動方法

スコータイ(Sukhothai)は、アユタヤと同様、タイの遺跡の街として有名である。スコータイへ飛行機で行く場合、バンコクのスワンナプーム空港からバンコク・エアウェイズ(Bangkok Airways)を利用してスコータイ空港まで飛ぶことになる。

スコータイ空港は、少し特殊な空港で、航空会社のバンコク・エアウェイズが所有している。そのため、現在のところ、バンコク・エアウェイズの乗降客のみが空港の利用者となる。

スコータイ空港は小さく、のどかな空港だ。利用客も多くはないせいか、とても清潔に保たれている。スコータイ空港の風景と、空港から市内への移動方法を紹介してみたい。

 

 

小さなスコータイ空港

カートに乗ってターミナルビルへ

バンコクを飛び立った飛行機がスコータイ空港に到着し降機すると、どこかの平原にでも来たのかと驚くかもしれない。それほど牧歌的な風景目の前に広がる。

 

スコータイ空港の周辺はのどかな風景

スコータイ空港周辺の風景

 

飛行機からタラップを使う。タラップを降りるとターミナルビルへ向かう、やや大きめのカートが待機している。スコータイ空港周辺の自然に目をやりつつ、乗客はそのカートに乗り込むことになる。

 

スコータイ空港に着陸後に乗り込む、ターミナルに向かう大きなカート

ターミナルに向かう大きなカート

 

スコータイ空港の隣には動物園があり、ターミナルビルへ移動の最中、シマウマの姿も見えたりする。

利用客を乗せたカートは数分でターミナルビルに到着する。ターミナルビルといっても、とても空港とは思えない小さな建物だ。

 

スコータイ空港のターミナルビル

ターミナルビル

 

ターンテーブルのない空港

ターミナルビルに着くと、機内に預けた荷物を受け取らなくてはならない。しかし、辺りを見回しても、どこにもターンテーブルがないので少し焦るかも。

しかし、心配は無用だ。荷物は下の写真のように、人力でターミナルビルまで運ばれるからだ。スタッフが荷物を1つ1つターミナルの建物の決まった場所に置いて行くというシステムである。

 

スコータイ空港で機内預け荷物が運ばれる風景

機内預け荷物

 

スコータイ空港はまだ新しいので、非常にきれいで清潔感がある空港だ。空港のトイレはターミナルビルを出た右手にあるが、外観もおしゃれで清潔そう。

 

スコータイ空港のターミナルビルを出た所にあるきれいなトイレ

スコータイ空港のトイレ

  

空港から市内へ

リムジンバスのカウンター

スコータイ市内まで行くには、リムジンバスを利用する。

ターミナルビルの出口付近に「TRANSPORTATION」と表示のあるリムジンバスのカウンター市内までの移動を手配をする。

機内預け荷物がある場合は、荷物の受け取りまでに少々時間がかかる。先にこのカウンターで移動の手配をしてもいいだろう。

以前は、リムジンバスを利用する際は、前日までにメールで予約する必要があったが、今は予約は必要なく、リムジンバスのカウンターですんなりと移動の手配ができる。

 

スコータイ空港のリムジンバスのカウンター

リムジンバスのカウンター

 

カウンターのスタッフに行き先を告げ、料金を支払うとチケットを発券してくれる。その際、出発時間を教えてくれるので、リムジンバスに乗るまでの間、近くで時間をつぶすことになりなる。待つ時間は、せいぜい20分程度だろう。


キリンを眺めて暇つぶし

近くで時間をつぶすといっても、空港の周りは食堂がある以外は何もない。この食堂でコーヒーでも飲むか、辺りをぶらぶらするという選択肢しかない。

暇つぶしの1つが、空港を出て左の方にいるキリンを眺めること。空港の隣は動物園で空港の敷地から無料でキリンを見ることができる。おそらく、ほとんど無料に近い公営の動物園なのかもしれない。

 

スコータイ空港の隣にある動物園のキリン

動物園のキリン

  

リムジンバスに乗車

リムジンバスはよく見かけるロットゥタイプの車で、時間になると空港前の道路に続々と集まってくる。外に立っている運転手にカウンターでもらったチケットを見せると「あっちの車に乗れ」、「こっちの車に乗れ」と指示される。後は指定された車に乗り込むだけだ。

 

スコータイ空港から市内へ向かうリムジンバス

市内へ向かうリムジンバス

 

小回りの利くリムジンバス

リムジンバスは非常に小回りが利く。前述したようにリムジンバスのカウンターでホテルなどの行き先を伝えるが、リムジンバスはそのホテルの近くまで行ってくれるからだ。ホテルによっては真ん前で降ろしてくれることもある。

また、ムアン・カオ(旧市街)のあるスコータイ遺跡公園まで直接行きたい時も便利である。リムジンバスのカウンターでその旨を伝えれば遺跡公園まで行ってくれるからだ。非常に使い勝手の良いリムジンバスである。

 

【スコータイとチェンマイ】ロイクラトン祭りの黄金ルートの移動

毎年10月~11月には、タイでロイクラトン(ลอยกระทง、 Loy Kranthong)祭りが行われる。この時期にタイ各地を巡り、多くのロイクラトン祭りを体験するというのも面白いだろう。

ここでは、スコータイとチェンマイのロイクラトン祭りを楽しむヒントを紹介してみたい。

 

 

ロイクラトンを楽しむためのおすすめルート

スコータイ

ロイクラトン祭りはタイの各地で行われるが、祭りの時期は各地によって微妙に異なる。数日で終わる所もあれば、1週間続く所もある。

タイ各地でロイクラトン祭りが催されるとはいえ、ロイクラトンといえば、やはりスコータイである。

スコータイはロイクラトン発祥の地であり、祭りの規模が大きい。また祭りの期間中、「光と音のミュージカルショー」という野外劇が上演されるというのが特徴だ。このスケールの大きい野外劇は絶対に見逃せないイベントである。

 

チェンマイ

スコータイの次にくるのは、イーペン・ランナー祭りのあるチェンマイだろう。夜空にランタン(タイ語で「コムローイ」あるいは「コームローイ」と言う)を上げるお祭りだ。

 

【参考記事】 

www.apriori-eye.com

 

イーペン・ランナー・インターナショナル(Yeepeng Lanna International)が開催される日にチェンマイを訪れれば、ロイクラトンと合わせ2つのお祭りを楽しむことができる。

 

旅程の組み方

スコータイとチェンマイのロイクラトンを押さえれば、かなり充実した旅行になる。これら2つのロイクラトン祭りを楽しむための旅程を考えてみたい。

旅程の組み方としては、スコータイの光と音のミュージカルショーとチェンマイのイーペン・ランナー・インターナショナルを見ることができるようにすることが重要だ。

例えば

 

  1. バンコク→スコータイ:飛行機またはバスで移動
  2. スコータイ→チェンマイ:バスで移動(約6時間)
  3. チェンマイ→バンコク:飛行機または列車で移動


というようなルートが考えられる。

ルート作りのポイントとしては、チェンマイのイーペン・ランナー・インターナショナルは1日しか行われないことと、スコータイの光と音のミュージカルショーは数日に渡り上演されることだ。

この2点を考慮すれば、1日しか行われないイーペン・ランナー・インターナショナルの日程が最も重要なことが分かるだろう。

イーペン・ランナー・インターナショナルが行われる日にチェンマイに滞在できるようにして、後はスコータイをチェンマイの先にするか後にするかを決めるだけだ。

スコータイのロイクラトン祭りを先にし、バンコクから飛行機でスコータイに行く場合のスコータイ空港から市内への移動は、下の記事を参考にしてほしい。

 

【参考記事】 

www.apriori-eye.com

 

スコータイとチェンマイのアクセス

長距離バスで移動

スコータイとチェンマイの間は、長距離バスを利用して移動することになる。チェンマイのバス乗り場は比較的大きく、分かりやすいので、ここではスコータイからチェンマイに向かうケースを紹介する。

スコータイからチェンマイに向かう場合、バスはスコータイ市街から出発するが、遺跡公園のあるムアン・カオ(旧市街)でもバスに乗ることができる。そのため、ロイクラトン祭りのためムアン・カオに宿泊する場合でも、バスに乗るためにわざわざ市街に行く必要はない。

 

旧市街のバス乗車方法

ムアン・カオに宿泊した場合、チェンマイ行きのバスのチケットは、遺跡公園からスコータイ市街方面へ歩いた所にある、下の写真の「ウィンツアー(Wintour)」というお店で購入する。

 

スコータイの旧市街にあるバスのチケット売場

バスのチケット売場

 

とてもバスのチケットを売っているようには見えないが、コンピューターを使って発券している。

チケットはバスに乗る寸前ではなく、事前に買っておくといいだろう。特に、ロイクラトンの時期は混むので、早めの購入をおすすめする。

バスの運行もウィンツアー社で、乗車する時もこのお店の前に集合することになる。

 

スコータイの旧市街にあるバス乗場

旧市街のバス乗場

 

このバスはスコータイ市街を出発し、ムアン・カオ経由でチェンマイに向かう。

ロイクラトン祭りの最中は、スコータイからチェンマイに行く旅行者が多いため、ムアン・カオに到着するバスには、すでにスコータイ市街からの客が大勢乗っているはずだ。

しかし、座席指定ではないものの、座席数をチェックしながらバスのチケットを売っているので、ムアン・カオから乗車しても座席がないということはないと考えていい。

 

【スコータイのムアン・カオのバス乗場の地図】

 

ソンテウでチェンマイ市内へ

スコータイを出発したバスはチェンマイ郊外にあるバスターミナル2に到着する。ここからチェンマイの市街地へ行くには「ソンテウ」というピックアップの車で行く。バスが到着するとソンテウが待機しているので、行き先を告げて車に乗り込む。

ソンテウは小回りが利くので、ホテルの真ん前は無理でも、できるだけ近い所で降ろしてくれる。

 

タイ各地のロイクラトン祭りを堪能する

効率的に移動することによってスコータイとチェンマイ、場合によってはバンコクと、いくつもの都市のロイクラトンを楽しむことができる。

ロイクラトンの詳しい日程が発表されたら、あれこれ悩みながら旅行の日程を作るのも楽しいものだ。

基本的には

バンコク → スコータイ → チェンマイ

になるが、いろいろアレンジしてタイのお祭りを楽しんでみてはいかがだろうか。

 

【参考記事】 

www.apriori-eye.com

  

www.apriori-eye.com

 

【チェンマイ】タイの夜空にランタンが舞う「イーペンランナー」

チェンマイの外国人向けの祭りに「イーペン・ランナー・インターナショナル(Yeepeng Lanna International)」がある。この祭りはとりわけ日本人に人気で、ロイクラトンの時期に催される。

 

 

イーペン・ランナー・インターナショナル

イーペン・ランナー・インターナショナルはロイクラトンと同時期に行われる祭りで、ロイクラトンと混同してしまいがちだが、両者は全く異なるものである。

コムローイを上げる祭りを「イーペン祭」と呼ぶが、イーペン祭には

  • イーペン・ランナー・インターナショナル
  • イーペン・サンサーイ

の2種類ある。

イーペン・ランナー・インターナショナルは外国人観光客のための催しで、祭りというよりはイベントに近い。海外からの観光客は、通常こちらに参加することになる。

一方、イーペン・サンサーイの方は地元の人向けのイーペン祭だ。

イーペン・ランナー・インターナショナル(以後「イーペンランナー」)の目玉は、ランタン(タイ語で「コムローイ」あるいは「コームローイ」と言う)に火を灯し、気球のように上げることだろう。夜空に放たれたコムローイが舞う光景は幻想的でとても美しいものっだ。

 

【イーペン・ランナー・インターナショナルのウェブサイト】

YI PENG 2021 CHIANG MAI LANTERN FESTIVAL : TICKET AVAILABLE

 

イーペンランナーの参加方法

イーペンランナーが行われる会場に入るためには、チケットが必要になる。このチケットは高額で、1枚約USD100もする。チケットの値段についてどうこう言ってもしょうがない。イーペンランナーに行きたければ、結局買うしかないからだ。

ところが、このチケットを個人で手に入れるのは非常に難しいというのが現実である。チケット発売と同時に旅行代理店が買い占めてしまうからだ。チケットが入手できないとなると、イーペンランナーは旅行代理店が取り扱うツアーで参加することになる。

ツアーには、下記の2つの選択肢がある。 

  1. あらかじめイーペンランナーが日程に含まれている日本発のツアーに参加する
  2. チェンマイまでは個人で行き、チケットと送迎が付いた現地発のツアーに参加する

自分の旅行の日程さえ合えば日本からのツアーに参加するのが楽だ。しかし、チェンマイに長く滞在したい場合や、チェンマイ以外の場所も観光したい場合などは、チェンマイ発イーペンランナーのツアーに参加する方が都合がよい。

チェンマイ発イーペンランナーのツアーは、現地の旅行代理店で申し込む。ネットで予約から支払いまで済ませることができるので、手続きは簡単である。

また、支払いの際クレジットカードが使用できない場合でも、日本国内の銀行が支払先として指定されており、銀行送金の手続きも容易だ。

イーペンランナーのツアーを扱っているチェンマイの旅行代理店には、「CMランナーツアー(CM Lanna Tour)」や「チェンマイハッピーツアー(Chiang Mai Happy Tour)」などがあるので、定期的にチェックしてみるといいだろう。ツアーの値段も似たり寄ったりである。

また、「ウェンディツアー(Wendy Tour)」や「パンダバス(Panda Bus)」などの旅行代理店が、バンコク発のツアーを売り出すこともあるので、バンコクとチェンマイ間の移動の手配も一括して申し込みたい時などは便利だ。

ただし、バンコクとチェンマイの間の移動に関しては、自分で手配した方が安くつく場合がほとんどだ。

 

イーペンランナー当日の流れ

イーペンランナーは、チェンマイ中心部からちょっと離れたメージョー大学(มหาวิทยาลัยแม่โจ้、Maejo University)の敷地で行われる。そのため、イーペン・ランナー・インターナショナルは「メージョー祭」と呼ばれることもある。

ツアー参加者は、チェンマイ市街地からツアー主催者が用意するバスでメージョー大学まで行くことになる。

注意:Google mapでは「メージョー大学」と表記されているが、実際のタイ語では「メーチョー大学」の方が近い。

 

集合時間は時間厳守で!

ツアーの参加者には、あらかじめ集合時間と集合場所が連絡される。集合場所はチェンマイ市内に数ヶ所あるが、チェンマイ中心部のホテルに宿泊する場合は、3人の王像のある広場を指定される可能性が高い。

時間になると広場にはガイドさんが待っており、ツアー参加者が集まったかどうかのチェックをする。

ここで注意すべき点は、集合時間には絶対に遅れないことだ。

ツアーのバスは道路の混雑を避けるため、早めに出発するが、15分遅れただけで最終的にイーペン・ランナー会場への到着が30分、1時間の遅れとなる場合もある。

是非時間厳守で集合したい。

 

バスの中でチケットを受け取る

バスに乗り込むと、車内でガイドさんからイーペンランナーのチケットが渡される。チケットには、記念のポストカードや切手なども付いている。

その後、ガイドさんはイーペン・ランナーに関する話をしてくれる。例えばイーペンランナーの時は航空機の運航を中止していることなどなど。

イーペンランナーを開催するには、事前に相当な根回しが必要なことが分かるだろう。

 

会場到着

バスは、メージョー大学の原っぱのような観光バス用の臨時駐車場で停車する。ここでバスを降り、2~3分も歩くとイーペンランナーのメイン会場に到着する。

会場内の座席はすべて指定されており、3人一組の座席配置となっている。これはコムローイを上げる時、3人で協力した方が上げやすいからだ。もちろんコムロイは人数分、すなわち3つ用意されている。

イーペンランナーの開始時刻まで時間はたっぷりとあるので、あらかじめ自分の座席を確認しておくことをおすすめする。

 

チェンマイで開催されるイーペン・ランナー・インターナショナルの会場

イーペン・ランナーの会場

 

お弁当とお土産を受け取る

メイン会場を出た向かいに少しにぎやかな一角がある。入口でチケットを見せるとお弁当と水、そしてちょっとしたお土産がもらえる。

中にはお弁当以外にも食べ物が何種類か用意されており、自由に食べることができる。ただし、長い行列ができているので取るのが大変ではある。

 

チェンマイで開催されるイーペン・ランナー・インターナショナルでの食事

イーペン・ランナーでの食事

 

食事の会場にはシートが敷かれ、腰を下ろして寛ぐことができる。

また、会場内ではタイ舞踊などの催し物もあり、イーペンランナーが始まるまでの時間つぶしによい。と言うよりも、イーペンランナーの開始時刻まで時間を過ごせるのは、ここしかないというのが実際のところだ。

 

チェンマイで開催されるイーペン・ランナー・インターナショナルでの様々な催し

イーペン・ランナーでの催し

 

指定された座席に着席

夕刻になると混雑を避けるため、イーペンランナーが始まるだいぶ前に指定された座席に着くよう促されるだろう。

しばらくするとイベントは開始されるが、ここからが予想外の展開となる。

たくさんの僧侶が来場し、その内の1人が式辞を述べる。その後、即「お祭り開始!」というような流れになるのかと思いきや、全く違う。延々と仏教的な儀式が続くのである。この儀式には瞑想や説法のようなものなども含まれる。

仏教の儀式はいいが、さすがに1時間も過ぎると「えっ、まだ続くの?」などと不浄な考えが頭をよぎってしまうかもしれない。実際のところ、観客も早くコムローイを上げたいので、集中力がなくなり、そわそわしてくる。

 

コムローイに点火

儀式が終了すると、お待ちかねのコムローイへの点火が始まる。やはりコムローイを上げるのは1人では難しい。最低でも2人は必要となる。

 

チェンマイで開催されるイーペン・ランナー・インターナショナルでのメインイベントであるコムローイの点火

コムローイに点火

 

同じ3人一組の席となった人と協力してコムローイに点火し、夜空へ放つ。夜空に舞い上がるコムローイの大群は非常に幻想的だ。

 

チェンマイで開催されるイーペン・ランナー・インターナショナルでのメインイベントで宙に舞うコムローイ

夜空を舞うコムローイ

 

イーペンランナーも終盤にさしかかると、花火というサプライズが用意されている。コムローイが花火に吸い込まれるような感じが美しい。花火とコムローイの組み合わせは絶対に見逃せない。

 

チェンマイで開催されるイーペン・ランナー・インターナショナルでのメインイベントで宙に舞うコムローイと花火

コムローイと花火

 

宙を舞うコムローイを写真で撮るのは非常に難しい。ぶれてしまったり、ぼけてしまったりしがちだ。しかし、花火の放つ光のおかげで結構きれいに撮れるのが嬉しい。

 

チケットを入手できない場合の裏技

イーペンランナーのツアーは人気がある。ツアーに申し込もうと思っていたのに売り切れていた、などということは多々ある。チェンマイの旅行代理店では、随時、ツアーの追加販売をするが、最終的にはほぼ完売してしまうようだ。

それではツアーには参加できないが、コムローイが舞う光景を見てみたいという時はどうすればよいだろうか?

 

会場近くの川沿いに集合

イーペンランナーのチケットが確保できない場合は、とりあえずイーペンランナーの会場近くまで行ってしまうことである。もちろんチケットがなければ会場には入れない。

 

チェンマイで開催されるイーペン・ランナー・インターナショナルの会場入口でチケットをチェックする警備員

会場入口でチケットをチェック

 

イーペンランナーの会場のそばに小さな川が流れており、両側が小さな土手になっている。チケットを持っていない、あるいはツアーに参加していない見物客は、その川の向かい側の緩やかな土手の部分に集まり、イーペンランナーを楽しむのである。

 

チェンマイで開催されるイーペン・ランナー・インターナショナル会場の近くの川で見学する人たち

近くの川で見学する人たち

 

結構楽しそうだ。チェンマイ市街地で調達したか、コムローイを準備している観光客も多い。

 

盛り上がる川沿いの人たち

実は、イーペンランナーの会場内では仏教儀式が厳粛に行われている最中、川沿いに陣取った観光客が早々にコムローイを上げ始めてしまう。そして、歓声が沸き起こっているのが会場内にも聞こえるのだ。

コムロイが上がっていくのも見えるので、「外は楽しそうだね」などと、仏教の儀式でかしこまっている隣の人と話した。

川沿いで見るのも、それほど悪くない選択肢だ。

 

チェンマイ市街地からの移動手段の確保

イーペンランナーを川沿いから楽しもうとする時に問題になるのが、チェンマイ市街地と会場のあるメージョー大学の間の移動手段だろう。

運転手付きの車やタクシー、ソンテオなどをチャーターする方法もある。ただし、イーペンランナー当日のチャーター代は通常料金とは異なり、かなり値上りすることは覚悟しなければならない。

一応大学のある場所なので、何らかの公共の交通機関があるはずだ。実際、帰りしな、チェンマイ市内へ戻るバスから外を見ていたら、途中にソンテオ乗り場があった。そして、その乗り場からソンテオに乗って帰る人たちも多くいた。

公共の交通機関に関しては、事前に宿泊しているホテルの人などに聞けば詳しい情報が得られるだろう。

チケットを持っていなくてもツアーに参加してなくても、イーペンランナーの日にチェンマイに滞在しているなら諦めずにトライしてみてほしい。

 

イーペンランナーに関連する特記事項

飲み物の用意

イーペンランナーでは食事やペットボトルの水は用意されているので、これらの心配をする必要はない。しかし、移動時間やイーペンランナー開始までの時間を含めると、意外と長時間に及ぶツアーとなる。

そのため、用意された飲料水とは別に、別途飲み物を用意しておいた方がいいだろう。

 

虫よけスプレー

イーペンランナーの会場の周辺は田舎の雰囲気で、川があり林もある。そのため、蚊が出没するので、気になる人は虫よけスプレーを持って行くことをおすすめする。

 

ホテルの予約について

チェンマイは宿泊施設が多いので、イーペンランナーの時期でもホテルについてはそれ程心配する必要はない。

ただし、イーペンランナーはロイクラトンの時期に行われるので、通常よりは観光客が多くなる。そのため、とにかく泊れればいいという人は別であるが、それなりのホテルに宿泊したい場合は早めに予約した方がいいだろう。

 

【メージョー大学の地図】

 

 

チェンマイの中心部でコムローイを上げる

イーペンランナーに参加すればコムローイ上げを体験でき、コムローイが舞い上がる美しい光景を真下から見ることができる。

しかし、イーペンランナーには行けなかったがコムローイ上げを体験してみたいというケースもあるだろう。

 

市内でコムローイを上げる

実は、チェンマイの市街地でも、許可された日時にコムローイを上げることができる。チェンマイ市内には、コムローイを上げてもよい日時が告知している案内が所々に立っている。

このような告知はタイ語で書かれているので、詳細はホテルの従業員に確認するといいだろう。

この告知は「この日のこの時間にはコムローイを上げてもいいですよ」という優しい許可というよりも、「指定された日、指定された時間以外はコムローイを上げるなよ!」という警告に近いす。

このような警告にもかかわらず、チェンマイの市街地では、毎晩コムローイが上がっている光景を眺めることができる。つまり、警告を守らない人がいるということ。さすがに指定された日以外はコムローイの数は少ないが。

 

コムローイを上げる場所

コムローイを上げる場所は、チェンマイ市街地に何ヶ所かある。

例えば、ターペー門付近の広場と3人の王像がある広場の脇にあるワット・インタキン(วัดอินทขีลสะดือเมือง、Wat Inthakhin、インタキン寺)は結構な人が集まる所だ。

ワット・インタキンの前では、少年僧が水に浮かべるクラトン(灯ろう)と共にコムローイを販売している。少年僧以外にもコムローイ売りがいるので、コムローイはすぐに手に入れることができる。コムローイの値段も手頃だ。

 

チェンマイのお寺でクラトンとコムローイを売る少年僧

クラトンとコムローイを売る少年僧

 

ワット・インタキンは小さいお寺だが、夜11時を過ぎてもコムローイを上げようとする人々でにぎやかだ。

 

ワット・インタキンでコムローイを上げる人たち

お寺の敷地でコムローイ

 

コムローイを上げる際に注意しなければならないのは、前述したように、1人で上げることは無理だということ。最低でも2人は必要となる。もし1人で行った場合は、周りの人に声をかけて手伝ってもらわなければならない。

また、コムローイを上げる前に着火しなければならないので、マッチやライターなどを持って行った方がいい。ただし、マッチで点火するのは厳しいと思う。

ワット・インタキン程のにぎわいはないが、ターペー門でもコムローイ上げが行われている。

イーペンランナーで無数のコムローイが上がる光景を見るのもいいが、コムローイが1つだけ夜空に上がって行く光景もはかなさを感じていいものだ。

 

チェンマイ市内のターペー門付近でコムローイを上げる人々

ターペー門でコムローイ

 

イーペンランナーに行けない方は、チェンマイの中心部でコムローイを上げてみるのもいいのではないだろうか。きっと、旅のいい思い出になるはずだ。

 

【ワット・インタキンの地図】

 

【参考記事】 

www.apriori-eye.com

 

【二重価格】タイにおける外国人価格

以前、タイではモノやサービスを外国人に売る際、タイ人よりも高い金額設定にするということは一般的ではなかった。

外国人でもタイ人が買う値段と同じ値段で物やサービスを購入できたということである。外国人からぼったくるということはあったが、これは万国共通のことで、また別の問題だ。

バンコクでは一時期、ムエタイ(タイ式ボクシング)の会場で、外国人は料金の高いリングサイドしか買えないこともあった。しかし、高い料金を払わされても良い席に座れるのだから、これもまた外国人価格を設定するという二重価格とは異なる性質のものである。より高い価値のものを高く販売しているだけだからだ。

 

 

外国人価格に気付く

タイ人と外国人で明らかに異なる価格を設定していることに気付いたのは、久しぶりにワット・プラケオ(วัดพระแก้ว)へ行った時のことだった。

ワット・プラケオの正式な名称はワット・シーラッタナーサーサダーラーム(วัดพระศรีรัตนศาสดาราม)、通称「エメラルド寺院」と呼ばれるバンコクで人気の観光スポットだ。

現在、このワット・プラケオでは以前とは異なり、入場する際にタイ人と外国人は別のレーンに並ばされる。そして、外国人は高い入場料を支払わなくてはならない。

その時、「タイもあからさまに外国人価格を取り入れて来たな…」と思わざるを得なかった。

 

タイ語と英語で二重価格を巧妙にごまかす

ロイクラトンという祭りのが行われる時期、スコータイへ行ったことがある。祭りのメイン会場であるスコータイ遺跡公園(อุทยานประวัติศาสตร์สุโขทัย)では、下の写真のようにバスのような乗り物(トラム)が園内を走っていた。

 

スコータイ遺跡公園を走るトラム

スコータイのトラム

 

このトラムの乗り場には、下の写真のような看板があった。この看板にはトラムの乗車料金が表示されている。

 

スコータイの公園内を周遊する乗り物の価格がタイ人と外国人では異なることを示す看板

タイ人と外国人では異なる価格

 

「Foreigner 40 Bath/person」というのは分かるだろう。「外国人の乗車賃は1人40バーツ」ということだ。

その上に書かれている「คนไทย คนละ ๒๐ บาท」はどういう意味かは、タイ語を知っていればすぐに分かるはずである。「タイ人は1人20バーツ」と書かれている。

タイ語を知らない外国人観光客なら「1人40バーツなんだな」と納得するだろうが、タイ語の意味を知ってしまうと、多少乗る気が薄れてしまうのではないだろうか。

 

エラワン博物館の場合

バンコクの隣のサムットプラカーン(เมืองสมุทรปราการ)に「エラワン博物館(พิพิธภัณฑ์ช้างเอราวัณ)」がある。「象の博物館」と呼ばれている博物館だ。

 

バンコク近郊にあるエラワン博物館

エラワン博物館

 

この博物館の入場料は、スコータイの場合とは少し異なる。単に外国人だからといって外国人用の入場料を科せられるわけではない。

外国人でもワークパミット(労働許可)を持っているかいないかがポイントとなる。外国人でもワークパミットを持っていれば、タイ人用の入場料を支払えばよいことになっている。

しかも、博物館の職員はできる限り安い料金で入場させてあげたいと思っているらしく、何度も「本当にワークパミット持っていないの?」と何度も聞かれた。

 

タイ人用と外国人用の二重価格の是非

外国人価格について批判的に書いてきたような印象を受けるかもしれないが、外国人価格は必ずしも悪いとは限らないと思う。

ワット・プラケオなどは外国人にしてみればバンコクの観光スポットの1つですが、タイ人にとっては仏教の寺院としての祈りの場でもある。外国人にとってのワット・プラケオと比較すると、より生活に即した建造物だ。

それなら、その建造物の維持費を賄うため、見学に来る外国人からお金を多めに徴収するというのも分からなくはない。外国人観光客はお金を持っているし、観光のためにお金を使う気満々な人たちだ。

しかし、外国人観光客が増加すれば、その観光地での様々な料金は上がってしまうだろう。これでは慎ましい一般のタイ人観光客にとっては値段が高すぎ、それらのサービス等を利用できなくなる可能性がある。そのため、「タイ人は外国人よりも安く」という発想で二重価格はありだと言える。

このような現地人用と外国人用に異なる価格を設けているのはタイだけではない。実は、ヨーロッパのブルガリアなどでも行われている。

ワット・プラケオには高いお金を出しても構わない。しかし、せめて屋台などではタイ人と同じ価格を望みたいというのが本音である。