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タイの地獄寺で地獄を学ぶ

タイには地獄の様子視覚的に表現するため、彫刻などのオブジェを展示しているお寺がある。通称「地獄寺」と呼ばれるお寺だ。

地獄寺の1つがスパンブリ県にある。ワット・パイ・ロン・ウア(วัดไผ่โรงวัว, Wat Phai Rong Wua)というお寺である。 

このようなお寺はタイ国内にいくつかあり、首都バンコクから近いお寺ならチョンブリー県にもある。しかし、お寺の規模や見応えのある彫刻が数多く展示されているという点で、バンコク近郊の地獄寺ならワット・パイ・ロン・ウアがおすすめだ。

 

地獄で罰を受ける人形たち

ワット・パイ・ロン・ウアの敷地は広く、その一角に地獄絵巻がある。

駐車場から池に架かった橋を渡ると、地獄を表現したオブジェが展示されている場所があるのだ。

展示されているものは、生前悪いことをした人間と、それを痛めつける閻魔大王とその家来、そして様々な動物たちである。「悪いことをすると、地獄に落ちてこんな罰を受けるそ!」と啓蒙というか、警告をしているのであろう。 

 

タイのスパンブリにある地獄寺、ワット・パイ・ロン・ウアの屋外にある展示物

ワット・パイ・ロン・ウアの展示物

 

これらの地獄のオブジェは、表現が非常に直接的である。一見非常にグロテスクであり、小さな子供などはトラウマにならないかと心配してしまうほどである。

小さな子供にとっては怖い展示物かもしれないが、大人にとっては結構楽しめるオブジェである。直接的な表現といっても、かなりデフォルメされ、リアルさを感じない彫刻なので、ユーモアさえも感じてしまうのである。

デフォルメされているといっても、結構細かいところまで気が配られている。のこぎりに付いた血や飛び出た内臓などは、ユーモアを念頭に置きつつも決して手抜きはしないという製作者の心意気を感じるのだ。

血や内臓という基本的に人間が恐怖を感じるものを扱いつつ、ユーモラスに仕上げるなど、その発想や技術に感服してしまう。

ワット・パイ・ロン・ウアのように地獄を楽しめるお寺は、B級スポットが好きな人にはたまらない場所だろう。 

 

ワット・パイ・ロン・ウアへの行き方

ワット・パイ・ロン・ウアへ行く際、知人のタイ人に行き方を聞いたのだが、どうも要領を得なかった。バスなどの公共の交通機関でを使っても行けるようなのだが、説明するのが面倒なようだった。

ワット・パイ・ロン・ウアはタイ人に人気なようで、タイ人用のツアーもあり、そのツアーで行くことをすすめられた。

ワット・パイ・ロン・ウアへ行くツアーはウェンディツアー(Wendy Tour)で申し込むこともできる。ちょっとツアー代金が高いが、タイ人用のツアーも結構高く、大して金額が変わらない。

 

thailand.wendytour.com

 

ネットで調べてみると公共の交通機関でもワット・パイ・ロン・ウアへ行けるようである。

バンコクからバスやロットゥでの行き方は下記のウェブサイトを参照してほしい。

 

http://www.asia-network.net/Suphanburi/116-D1-1-1.htm

 

 

ワット・パイ・ロン・ウアは、アユタヤなどの正統的観光スポットとは別の面白さがある。。タイで時間の余裕があれば、是非訪れてほしい場所だ。

 

 

「タイの地獄寺」は地獄寺に関する学術的研究書

タイの地獄寺に関する学術的研究をまとめたものが椋橋彩香(くらはしあやか)著の「タイの地獄寺」という書物である。 

 

タイの地獄寺

タイの地獄寺

 

 

タイの地獄寺の案内のような軽い読み物かと思いきや、読んでみるとかなり調査・研究をしている良書である。

この本によるとタイの地獄寺の歴史はそれほど古くはなく、約60年前に初めて作られたそうだ。それ以前にも地獄を表現した展示物はあったが、それらは彫刻ではなく壁画であった。

地獄寺が作られた背景は社会的な要因や政治的な要因などが考えられるが、その内の1つに経済的な側面もある。お布施を集めやすくするためだ。

彫刻が展示されている場所へ行くには入場料を徴収したり、機械仕掛けの人形を置き、お金を入れると動くようにしておくわけである。

また、地獄寺に展示されている地獄の様子も「こんな地獄にしてやろう!」という制作者の思いつきで作られたわけではないことが、この本を読めば分かる。

例えば、下記のような木のとげで苦しんでいる場面も、ちゃんとした仏教的根拠があるのだ。

 

ワット・パイロンウーアの像

地獄寺の1つ、ワット・パイロンウーアにある像

 

「タイの地獄寺」では、タイにおける仏教がどのように国家統治の手段として取り込まれてきたかなども調べられている。

また、タイ仏教の歴史やタイにおける仏教の役割なども論じられており、タイ仏教の入門書としても最適の書である。

タイの地獄寺に興味があるなら一読をおすすめする。