チェンマイの外国人向けの祭りに「イーペン・ランナー・インターナショナル(Yeepeng Lanna International)」がある。この祭りはとりわけ日本人に人気で、ロイクラトンの時期に催される。
- イーペン・ランナー・インターナショナル
- イーペンランナーの参加方法
- イーペンランナー当日の流れ
- チケットを入手できない場合の裏技
- イーペンランナーに関連する特記事項
- チェンマイの中心部でコムローイを上げる
イーペン・ランナー・インターナショナル
イーペン・ランナー・インターナショナルはロイクラトンと同時期に行われる祭りで、ロイクラトンと混同してしまいがちだが、両者は全く異なるものである。
コムローイを上げる祭りを「イーペン祭」と呼ぶが、イーペン祭には
- イーペン・ランナー・インターナショナル
- イーペン・サンサーイ
の2種類ある。
イーペン・ランナー・インターナショナルは外国人観光客のための催しで、祭りというよりはイベントに近い。海外からの観光客は、通常こちらに参加することになる。
一方、イーペン・サンサーイの方は地元の人向けのイーペン祭だ。
イーペン・ランナー・インターナショナル(以後「イーペンランナー」)の目玉は、ランタン(タイ語で「コムローイ」あるいは「コームローイ」と言う)に火を灯し、気球のように上げることだろう。夜空に放たれたコムローイが舞う光景は幻想的でとても美しいものっだ。
【イーペン・ランナー・インターナショナルのウェブサイト】
YI PENG 2021 CHIANG MAI LANTERN FESTIVAL : TICKET AVAILABLE
イーペンランナーの参加方法
イーペンランナーが行われる会場に入るためには、チケットが必要になる。このチケットは高額で、1枚約USD100もする。チケットの値段についてどうこう言ってもしょうがない。イーペンランナーに行きたければ、結局買うしかないからだ。
ところが、このチケットを個人で手に入れるのは非常に難しいというのが現実である。チケット発売と同時に旅行代理店が買い占めてしまうからだ。チケットが入手できないとなると、イーペンランナーは旅行代理店が取り扱うツアーで参加することになる。
ツアーには、下記の2つの選択肢がある。
- あらかじめイーペンランナーが日程に含まれている日本発のツアーに参加する
- チェンマイまでは個人で行き、チケットと送迎が付いた現地発のツアーに参加する
自分の旅行の日程さえ合えば日本からのツアーに参加するのが楽だ。しかし、チェンマイに長く滞在したい場合や、チェンマイ以外の場所も観光したい場合などは、チェンマイ発イーペンランナーのツアーに参加する方が都合がよい。
チェンマイ発イーペンランナーのツアーは、現地の旅行代理店で申し込む。ネットで予約から支払いまで済ませることができるので、手続きは簡単である。
また、支払いの際クレジットカードが使用できない場合でも、日本国内の銀行が支払先として指定されており、銀行送金の手続きも容易だ。
イーペンランナーのツアーを扱っているチェンマイの旅行代理店には、「CMランナーツアー(CM Lanna Tour)」や「チェンマイハッピーツアー(Chiang Mai Happy Tour)」などがあるので、定期的にチェックしてみるといいだろう。ツアーの値段も似たり寄ったりである。
また、「ウェンディツアー(Wendy Tour)」や「パンダバス(Panda Bus)」などの旅行代理店が、バンコク発のツアーを売り出すこともあるので、バンコクとチェンマイ間の移動の手配も一括して申し込みたい時などは便利だ。
ただし、バンコクとチェンマイの間の移動に関しては、自分で手配した方が安くつく場合がほとんどだ。
イーペンランナー当日の流れ
イーペンランナーは、チェンマイ中心部からちょっと離れたメージョー大学(มหาวิทยาลัยแม่โจ้、Maejo University)の敷地で行われる。そのため、イーペン・ランナー・インターナショナルは「メージョー祭」と呼ばれることもある。
ツアー参加者は、チェンマイ市街地からツアー主催者が用意するバスでメージョー大学まで行くことになる。
注意:Google mapでは「メージョー大学」と表記されているが、実際のタイ語では「メーチョー大学」の方が近い。
集合時間は時間厳守で!
ツアーの参加者には、あらかじめ集合時間と集合場所が連絡される。集合場所はチェンマイ市内に数ヶ所あるが、チェンマイ中心部のホテルに宿泊する場合は、3人の王像のある広場を指定される可能性が高い。
時間になると広場にはガイドさんが待っており、ツアー参加者が集まったかどうかのチェックをする。
ここで注意すべき点は、集合時間には絶対に遅れないことだ。
ツアーのバスは道路の混雑を避けるため、早めに出発するが、15分遅れただけで最終的にイーペン・ランナー会場への到着が30分、1時間の遅れとなる場合もある。
是非時間厳守で集合したい。
バスの中でチケットを受け取る
バスに乗り込むと、車内でガイドさんからイーペンランナーのチケットが渡される。チケットには、記念のポストカードや切手なども付いている。
その後、ガイドさんはイーペン・ランナーに関する話をしてくれる。例えばイーペンランナーの時は航空機の運航を中止していることなどなど。
イーペンランナーを開催するには、事前に相当な根回しが必要なことが分かるだろう。
会場到着
バスは、メージョー大学の原っぱのような観光バス用の臨時駐車場で停車する。ここでバスを降り、2~3分も歩くとイーペンランナーのメイン会場に到着する。
会場内の座席はすべて指定されており、3人一組の座席配置となっている。これはコムローイを上げる時、3人で協力した方が上げやすいからだ。もちろんコムロイは人数分、すなわち3つ用意されている。
イーペンランナーの開始時刻まで時間はたっぷりとあるので、あらかじめ自分の座席を確認しておくことをおすすめする。
お弁当とお土産を受け取る
メイン会場を出た向かいに少しにぎやかな一角がある。入口でチケットを見せるとお弁当と水、そしてちょっとしたお土産がもらえる。
中にはお弁当以外にも食べ物が何種類か用意されており、自由に食べることができる。ただし、長い行列ができているので取るのが大変ではある。
食事の会場にはシートが敷かれ、腰を下ろして寛ぐことができる。
また、会場内ではタイ舞踊などの催し物もあり、イーペンランナーが始まるまでの時間つぶしによい。と言うよりも、イーペンランナーの開始時刻まで時間を過ごせるのは、ここしかないというのが実際のところだ。
指定された座席に着席
夕刻になると混雑を避けるため、イーペンランナーが始まるだいぶ前に指定された座席に着くよう促されるだろう。
しばらくするとイベントは開始されるが、ここからが予想外の展開となる。
たくさんの僧侶が来場し、その内の1人が式辞を述べる。その後、即「お祭り開始!」というような流れになるのかと思いきや、全く違う。延々と仏教的な儀式が続くのである。この儀式には瞑想や説法のようなものなども含まれる。
仏教の儀式はいいが、さすがに1時間も過ぎると「えっ、まだ続くの?」などと不浄な考えが頭をよぎってしまうかもしれない。実際のところ、観客も早くコムローイを上げたいので、集中力がなくなり、そわそわしてくる。
コムローイに点火
儀式が終了すると、お待ちかねのコムローイへの点火が始まる。やはりコムローイを上げるのは1人では難しい。最低でも2人は必要となる。
同じ3人一組の席となった人と協力してコムローイに点火し、夜空へ放つ。夜空に舞い上がるコムローイの大群は非常に幻想的だ。
イーペンランナーも終盤にさしかかると、花火というサプライズが用意されている。コムローイが花火に吸い込まれるような感じが美しい。花火とコムローイの組み合わせは絶対に見逃せない。
宙を舞うコムローイを写真で撮るのは非常に難しい。ぶれてしまったり、ぼけてしまったりしがちだ。しかし、花火の放つ光のおかげで結構きれいに撮れるのが嬉しい。
チケットを入手できない場合の裏技
イーペンランナーのツアーは人気がある。ツアーに申し込もうと思っていたのに売り切れていた、などということは多々ある。チェンマイの旅行代理店では、随時、ツアーの追加販売をするが、最終的にはほぼ完売してしまうようだ。
それではツアーには参加できないが、コムローイが舞う光景を見てみたいという時はどうすればよいだろうか?
会場近くの川沿いに集合
イーペンランナーのチケットが確保できない場合は、とりあえずイーペンランナーの会場近くまで行ってしまうことである。もちろんチケットがなければ会場には入れない。
イーペンランナーの会場のそばに小さな川が流れており、両側が小さな土手になっている。チケットを持っていない、あるいはツアーに参加していない見物客は、その川の向かい側の緩やかな土手の部分に集まり、イーペンランナーを楽しむのである。
結構楽しそうだ。チェンマイ市街地で調達したか、コムローイを準備している観光客も多い。
盛り上がる川沿いの人たち
実は、イーペンランナーの会場内では仏教儀式が厳粛に行われている最中、川沿いに陣取った観光客が早々にコムローイを上げ始めてしまう。そして、歓声が沸き起こっているのが会場内にも聞こえるのだ。
コムロイが上がっていくのも見えるので、「外は楽しそうだね」などと、仏教の儀式でかしこまっている隣の人と話した。
川沿いで見るのも、それほど悪くない選択肢だ。
チェンマイ市街地からの移動手段の確保
イーペンランナーを川沿いから楽しもうとする時に問題になるのが、チェンマイ市街地と会場のあるメージョー大学の間の移動手段だろう。
運転手付きの車やタクシー、ソンテオなどをチャーターする方法もある。ただし、イーペンランナー当日のチャーター代は通常料金とは異なり、かなり値上りすることは覚悟しなければならない。
一応大学のある場所なので、何らかの公共の交通機関があるはずだ。実際、帰りしな、チェンマイ市内へ戻るバスから外を見ていたら、途中にソンテオ乗り場があった。そして、その乗り場からソンテオに乗って帰る人たちも多くいた。
公共の交通機関に関しては、事前に宿泊しているホテルの人などに聞けば詳しい情報が得られるだろう。
チケットを持っていなくてもツアーに参加してなくても、イーペンランナーの日にチェンマイに滞在しているなら諦めずにトライしてみてほしい。
イーペンランナーに関連する特記事項
飲み物の用意
イーペンランナーでは食事やペットボトルの水は用意されているので、これらの心配をする必要はない。しかし、移動時間やイーペンランナー開始までの時間を含めると、意外と長時間に及ぶツアーとなる。
そのため、用意された飲料水とは別に、別途飲み物を用意しておいた方がいいだろう。
虫よけスプレー
イーペンランナーの会場の周辺は田舎の雰囲気で、川があり林もある。そのため、蚊が出没するので、気になる人は虫よけスプレーを持って行くことをおすすめする。
ホテルの予約について
チェンマイは宿泊施設が多いので、イーペンランナーの時期でもホテルについてはそれ程心配する必要はない。
ただし、イーペンランナーはロイクラトンの時期に行われるので、通常よりは観光客が多くなる。そのため、とにかく泊れればいいという人は別であるが、それなりのホテルに宿泊したい場合は早めに予約した方がいいだろう。
【メージョー大学の地図】
チェンマイの中心部でコムローイを上げる
イーペンランナーに参加すればコムローイ上げを体験でき、コムローイが舞い上がる美しい光景を真下から見ることができる。
しかし、イーペンランナーには行けなかったがコムローイ上げを体験してみたいというケースもあるだろう。
市内でコムローイを上げる
実は、チェンマイの市街地でも、許可された日時にコムローイを上げることができる。チェンマイ市内には、コムローイを上げてもよい日時が告知している案内が所々に立っている。
このような告知はタイ語で書かれているので、詳細はホテルの従業員に確認するといいだろう。
この告知は「この日のこの時間にはコムローイを上げてもいいですよ」という優しい許可というよりも、「指定された日、指定された時間以外はコムローイを上げるなよ!」という警告に近いす。
このような警告にもかかわらず、チェンマイの市街地では、毎晩コムローイが上がっている光景を眺めることができる。つまり、警告を守らない人がいるということ。さすがに指定された日以外はコムローイの数は少ないが。
コムローイを上げる場所
コムローイを上げる場所は、チェンマイ市街地に何ヶ所かある。
例えば、ターペー門付近の広場と3人の王像がある広場の脇にあるワット・インタキン(วัดอินทขีลสะดือเมือง、Wat Inthakhin、インタキン寺)は結構な人が集まる所だ。
ワット・インタキンの前では、少年僧が水に浮かべるクラトン(灯ろう)と共にコムローイを販売している。少年僧以外にもコムローイ売りがいるので、コムローイはすぐに手に入れることができる。コムローイの値段も手頃だ。
ワット・インタキンは小さいお寺だが、夜11時を過ぎてもコムローイを上げようとする人々でにぎやかだ。
コムローイを上げる際に注意しなければならないのは、前述したように、1人で上げることは無理だということ。最低でも2人は必要となる。もし1人で行った場合は、周りの人に声をかけて手伝ってもらわなければならない。
また、コムローイを上げる前に着火しなければならないので、マッチやライターなどを持って行った方がいい。ただし、マッチで点火するのは厳しいと思う。
ワット・インタキン程のにぎわいはないが、ターペー門でもコムローイ上げが行われている。
イーペンランナーで無数のコムローイが上がる光景を見るのもいいが、コムローイが1つだけ夜空に上がって行く光景もはかなさを感じていいものだ。
イーペンランナーに行けない方は、チェンマイの中心部でコムローイを上げてみるのもいいのではないだろうか。きっと、旅のいい思い出になるはずだ。
【ワット・インタキンの地図】
【参考記事】