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なぜラグビーは紳士のスポーツと言われるのか

ラグビーワールドカップも近くなり、ネットではラグビーに関する記事を多く見るようになった。しかし、中には間違っていることが書かれている記事もある。そのような記事は、たとえ内容が素晴らしくても読者に誤解を与えるだけで、何のメリットもないのではないだろうか。

 

 

ラグビー選手は審判に文句を言わない

数多くあるスポーツの中で、「紳士のスポーツ」と言われるものがある。ゴルフはその筆頭であろう。

ゴルフが「紳士のスポーツ」と言われる理由は明確だ。もともと貴族のスポーツであったこと、そして反則等が自己申告制ということだ。広いゴルフ場ではズルをすることもできるが、そこは嘘をつかずに紳士的にプレーをしようということだろう。

ラグビーも「紳士のスポーツ」と呼ばれるスポーツの1つだ。これに関し、「ラグビーW杯がやってくる」と題された日刊スポーツの記事がある。

 

www.nikkansports.com

 

この記事では、ラグビーが紳士のスポーツと言われる理由を下記のように書いている。

選手はレフェリーに判定の不平を訴えない。ゆえにラグビーは「紳士のスポーツ」と言われる。

選手はレフェリー(レフリー。審判のこと)の判定に不平を言わないから、ラグビーは紳士のスポーツだ、ということだ。 

ラグビーという競技においては、プレイヤーを含むチーム関係者が審判に文句を言わないのは事実である。もちろん、審判に状況の確認をすることはある。テレビ放送のあるラグビーの試合で、グラウンド(グランド)の選手の声を拾うような時、「今のでアドバンテージ解消?」などと審判に確認している選手の声が聞こえることもある。

しかし、審判の下した判定に異議を唱えることはない。プロのサッカーや野球を見慣れた者には新鮮に思われるかもしれない。特に、サッカーの試合で大勢の選手が審判を取り囲み、恫喝するような光景は、ラグビーの試合においては皆無に等しい。

インターネット・ミーム(internet meme)として、「ラグビーとサッカーの違い」と称する下記のような写真があるが、あながち間違いではないのである。

 

インターネット・ミーム(internet meme)の「ラグビーとサッカーの違い」。ラグビーでは審判の話をよく聞く選手の写真で、サッカーでは審判に文句を言う選手の写真

ラグビーとサッカーの違い

 

ラグビーは紳士のスポーツの意味

審判に不平を言わないことが紳士なのか?

ラグビーでは、判定の不満を審判にぶつけることはないことは確かである。しかし、考えてみてほしい。選手が審判に判定の不平を訴えないことのみで、ラグビーが紳士のスポーツと呼ばれるのかということを。

これは違うだろう。だいたい、たとえ「今の判定は違うのでは?」という疑念があっても、その場で選手が審判に不平をぶつけるスポーツは少ないのではないだろうか。通常は、ラグビー以外の各競技においても、審判は尊重されるものである。サッカーなどは特殊な例だ。

 

ラグビーはアッパークラスのスポーツ

それでは、なぜ「ラグビーは紳士のスポーツ」と言われるのだろうか?

ラグビーが紳士のスポーツと言われる所以は、ラグビーがイギリスのラグビー校を始めとするパブリックスクールで盛ん、あるいは盛んだったからである。パブリックスクールは中流・上流階級のアッパークラスの子供が通う私立学校だ。

本来、「gentleman(紳士)」や「lady(淑女)」という言葉には階級を感じさせる意味合いを持つ。アッパークラスに属するgentlemanに人気のスポーツだから「紳士のスポーツ」なのである。

 

2つのラグビー

実はラグビーには2種類ある。「ラグビーユニオン(Rugby Union)」と「ラグビーリーグ(Rugby League)」である。この2つのスポーツは「ラグビー」という名が付いているものの、異なるスポーツである。現在、日本で「ラグビーワールドカップ」と騒がれているのはラグビーユニオンの方である。

元々2つのラグビーは1つのスポーツだったが、2つに分かれたのである。ちょうどフットボールからラグビーとサッカーが分かれたように。ラグビーがラグビーユニオンとラグビーリーグに分かれた経緯は割愛するが、調べてみると面白い。

 

ja.wikipedia.org

 

世界的にはラグビーユニオンの方が優勢であるものの、ラグビーリーグの方が人気のある国もある。例えば、オーストラリアが該当する。オーストラリアはラグビーユニオンのワールドカップで優勝したこともあるラグビー強豪国であるが、オーストラリアで単に「ラグビー」と言った場合、ラグビーリーグの方と思われ、話が噛み合わないこともある。

この2つのラグビーを語る際に「紳士」という言葉が重要になることがある。すなわち、ラグビーユニオンはアッパークラスのスポーツで、ラグビーリーグは労働者のスポーツだということだ。

ラグビーユニオンは金持ちの子息が通う私立学校で盛んで、一方、ラグビーユニオンは公立学校で盛んだからというのがその理由である。

 

勘違いされるラグビー

ラグビーはサッカーから生まれたという嘘

ラグビーに関しては、その由来も勘違いされている。サッカーの試合でエリス少年がボールを持って走ったことがラグビーの始まり、と信じている人も多いかもしれないが、これは嘘である。

エリス少年がボールを持って走ったのは事実であるようだが、その当時、サッカーというスポーツはない。エリス少年がプレーする当時は、「Football(フットボール)」というスポーツがあり、これは現在のサッカーとは異なる。

 

ラグビーとサッカーはルールの違いから生まれた

当時のフットボールは、各学校によりルールが異なっていた。この点については子供の遊びを考えれば容易に想像できるだろう。日本全国で行われるような子供の遊びがあるが、地域によってルールが違っていたりすることがある。これと同じだ。

この異なるルールを統一しようという動きがあり、ルール統一のための協議が行われたが、様々なルールの内、ある項目に関するルールに賛成か反対かによってフットボールはラグビーとサッカーに分かれたのである。

ラグビーが「rugby football(ラグビー・フットボール)」、そしてサッカーが「association football(アソシエーション・フットボール)」と呼ばれるが、どちらのスポーツもフットボールが元となっている。

 

フットボールとはどんなスポーツだったのか

それでは、フットボールとはどのようなスポーツだったのだろうか。

歴史に消えてしまった今となっては想像するほかはないのだが、このようなスポーツだったのではないのだろうかと思わせるのがアイルランドで盛んなゲーリック・フットボール(Gaelic Football)だ。

ゲーリック・フットボールは、一見サッカーのように見えるが、手を使える競技である。ゲーリック・フットボールの動画を見ると、フットボールの原型があるのではないかと感じる。

 

 

ただし、これはあくまでも想像であり、フットボールの歴史を知る人からは即座に否定されるかもしれない。これは、野球はクリケットから生まれたスポーツだと推測はしたものの、野球に詳しい人から否定されることと同じである。

 

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