マンチェスター・ユナイテッド(Manchester United)、通称マンUはイングランドのサッカークラブである。
世界的に人気のあるクラブなので、知らない人はいないだろう。
しかし、このままマンチェスター・ユナイテッドのファン、あるいはサポーターでいてもいいのだろうかと悩む人もいる。
マンチェスター・ユナイテッドのエンブレム
各クラブには、そのクラブの象徴となる紋章がある。これは通常エンブレム(emblem )あるいはクレスト(crest)やクラブクレスト(club crest)と呼ばれるものだ。
サッカーなら各クラブチームだけではなく、国の代表チームにもエンブレムがある。例えば、日本代表のエンブレムはおなじみだろう。下のような3本足のカラスである八咫烏(やたがらす)を用いたエンブレムである。
マンチェスター・ユナイテッドは、エンブレムに悪魔のデザインを取り入れている。
エンブレムに描かれた悪魔はピッチフォーク(熊手)を手にした「赤い悪魔」であり、そのままマンチェスター・ユナイテッドの愛称となっている。
赤い悪魔の由来
赤い悪魔の由来については、下記の記事が参考になる。
Know your club - Why Manchester United are called the 'Red Devils'
マンチェスターの近くのサルフォード(Salford)にラグビーリーグのクラブチームがあった。そのチームがフランスで遠征試合をした際、大活躍をしたそうだ。そして、現地のジャーナリストから「Les Diables Rouges」、すなわち英語で「The Red Devils」と呼ばれたらしい。日本語にすれば「赤い悪魔」だ。
これをマンチェスター・ユナイテッドの監督だったMatt Busby(マット・バスビー)がパクったのである。
次第に「赤い悪魔」という愛称が定着し、ついにはエンブレムのデザインにもなったというわけだ。
フランスで「赤い悪魔」と呼ばれたラグビーリーグのクラブは、現在ではクラブの名称が「Salford Red Devils」となっており、ずばり「赤い悪魔」がチームの名称になっている。
ちなみに「ラグビーリーグ」と書いたが、ラグビーと名がつくスポーツは「ラグビーユニオン」と「ラグビーリーグ」があるためだ。
日本でラグビーといえば、ほぼ100%「ラグビーユニオン」のことであるが、他の国では必ずしもそうではなく、「ラグビー」のみの表記だと混乱することがある。
カトリック教徒がマンUファンであることを悩むわけ
「Catholic Answers Forums(カトリック・アンサーズ・フォーラム)」というウェブサイトがあるが、このサイトはキリスト教カトリック信者のためのQ&Aサイトのようなものである。
このサイトで1人のカトリック信者が、次のように質問をしている。
I support Manchester United (greatest English football team) who are known add the red devils. Their club emblem is a devil with a pitchfork. Being a devout Catholic I need to know whether this is acceptable or whether it is somehow glorifying the devil.
質問をしている人はマンチェスター・ユナイテッドのファンだが、ピッチフォークを持った赤い悪魔をエンブレムにするチームを、熱心なカトリック信者は容認してもいいのか、それとも悪魔を称賛することになるのかと聞いている。
Even though i love the team, if it is against Catholic principles I would look for another team to support as my God comes first.
しかも「マンチェスター・ユナイテッドを愛しているが、もしカトリックの原則に背くなら応援できる他のチームを探す」とまで述べている。
ヨーロッパの熱烈なサッカーファンにとってクラブの存在は大きい。「女房は変えられても、(応援する)クラブは変えられない」というのが普通だ。
しかし、敬虔なカトリック教徒にとってはクラブは変えられても、さすがに宗教の教えには背けないということだろう。
マンチェスター・ユナイテッドは、元々はカトリックのクラブチームだったといわれている。現在では宗教色は薄れたとはいえ、そのような歴史を持つクラブが、よく悪魔をエンブレムにしたものだと思う。決して嫌いではないが。