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Jリーグの勝ち点と順位について考察する

日本でプロスポーツの2大組織はプロ野球(NPB)とJリーグであるが、リーグでの順位の決め方などに関するルール(これをレギュレーションという)に関して両者は大きく異なる。

プロ野球のペナントレースの順位は勝率で決まるが、Jリーグは勝ち点で決まる。そして、最も大きな違いはJリーグには昇格降格制度があるということだ。

 

プロ野球の順位の決め方

プロ野球のペナントレースの順位は勝率によって決まる。

AチームとBチームの2つのチームがあり、年間143試合でAチームが1勝142引き分け、Bチームが142勝1敗だとすると、各チームの勝率は次の通りとなる。

  • Aチームの勝率…1÷(143-142)=1.000
  • Bチームの勝率…142÷(143-0)=0.993

となり、年間1勝しかしていないAチームが年間142勝したBチームよりも上位となる。

現実にはあり得ない話ではあるが、プロ野球での順位の決定方法はこのようになる。

それでは、この2チームをJリーグの方式で順位を決定した場合を考えてみる。

  • Aチームの勝点…1×3+142×1=145
  • Bチームの勝点…142×3+0×1=426

となり、勝ち点方式ではBチームが圧倒的に上位となる。

このように、同じ成績でもレギュレーションにより順位は変わってくるのである。

プロ野球で面白いのは勝率が同じ場合の順位の決定方法である。複数のチームが同じ勝率の場合、セリーグとパリーグでは順位の決め方が異なるのだ。ここでは関係ないので詳細は省きたい。

 

Jリーグの順位の決め方

Jリーグでの順位の決定方法は、次のように定められている。 

 

リーグ戦が終了した時点で、勝点合計の多いチームを上位とし、順位を決定する。ただし、勝点が同じ場合は、以下の順によって順位を決定する。

  1. 得失点差
  2. 総得点数
  3. 当該チーム間の対戦成績(イ:勝点、ロ:得失点差、ハ:総得点数)
  4. 反則ポイント
  5. 抽選

 

www.jleague.jp

 

勝点は試合の勝利チームに3点、引き分けの場合は両チームに1点ずつ与えられる。

勝利チームに3点を与えるのはいいとしても、問題は引き分けの場合だ。本来なら勝点3を奪い合う試合なのに、両チーム1点ずつの合計2点になり、勝ち点1が消えてしまうのである。

ある意味、これはリーグが引き分け試合の懲罰として1点を没収するようなものである。

サッカーは点が入りにくいスポーツで、低得点の引き分けも多い。そのため、できるだけ引き分けを避け、勝敗が決まるようにするための策なのかもしれない。つまり、引き分けは合計2点しかもらえず不利であり「勝ちを狙った方がいいですよ」ということだ。

 

リーグ戦の妥当な順位の決定方法

トーナメント方式の試合なら引き分けがなく、試合の勝ち負けが決まるので問題はない。

それでは、長期間に渡り多くの試合をおこなうリーグ戦の適正な順位の決定方法はどのようなものだろうか?

 

引き分け試合の扱い方

リーグでの順位の決め方は、プロ野球では勝率、Jリーグでは勝点であるが、両者の相違点は引き分けとなった試合の取り扱い方にある。

プロ野球では引き分け試合は試合がなかったものとして勝率の計算上、総試合数から除外する。一方、Jリーグでは引き分けの試合は0.33...勝0.66...敗とみなすのである。

ただし、プロ野球では昔と比較すると引き分けの試合が少なくなり、勝率に与える影響も減少している。

しかし、Jリーグでの試合は引き分けが多い。引き分けの場合は不利な勝点しかもらえないにもかかわらずだ。

 

サッカーの試合で引き分けが多いのはルールのせい

もちろん勝ち負けがはっきりした試合の方が望ましいが、レギュレーションを変え、勝利へのモチベーションが高くなるような勝点配分にすれば引き分けの試合数は減るのだろうか?

例えば、引き分けの場合は両チームとも現行の勝点よりも少ない0.5にしたら、勝利へのモチベーションが上がり、引き分けの試合数は減少するのかということだ。

それはないだろう。なぜならサッカーに引き分けが多いのは、得点がしにくいというサッカーという競技の特性が原因だからだ。

これをリーグのレギュレーションで補正しようとしても無理がある。もし、勝ち負けをはっきりさせるために引き分けを減少させたいのなら、これはサッカーのルール改定で行うべきであろう。

 

引き分けは0.5勝0.5敗という考え

引き分けの場合の勝点を減らすことによって、本当に引き分けの試合が減るかについては確かなことはいえない。

しかし、勝点の没収が引き分け試合数の減少に貢献していることが明らかではないなら、引き分けは0.5勝0.5敗と考え、両チームに1.5点ずつ与えるべきであろう。

これはJリーグだけでなく、プロ野球にも当てはまる。引き分け試合をないものとするよりは、実際に試合が行われたのだから、何らかの考慮をすべきではないだろうか。

つまり、プロ野球においても引き分けの試合は0.5勝0.5敗と考え、年間の順位は単純に勝利数で決めればいい。

 

レギュレーションが変われば降格するチームが変わる

Jリーグでプロ野球方式の勝率と引き分けの試合に勝点を1.5点を与えた場合、順位に変動があるかどうかを調べてみたい。

2018年のJ1リーグの順位は、下記のサイトから確認できる。

 

www.jleague.jp

 

この順位をまとめたものが下の表である。

 

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この表ではレギュレーションを変えた場合の順位も載せている。

まず(A)は現行のレギュレーションに基づく順位である。(B)は勝率を基に順位を決めた場合の順位、(C)は引き分けの試合の勝点を1.5点にした場合の順位である。

(B)や(C)でも大幅な順位の変動はないものの、どちらの場合も降格圏のチームがジュビロ磐田から名古屋グランパスになる。

また、2017年の順位表では、引き分けの場合の勝点を1.5点とした場合、降格圏になるのはヴァンフォーレ甲府ではなくサンフレッチェ広島となる。

 

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もしJリーグに昇格降格制度がないなら、優勝チームがどこかさえ決まりさえすれば、下位の順位の決め方にそれほどの重要性はないかもしれない(賞金の配分やACL出場権などの影響はある)。

しかし、実際には下位のチームはJ2に降格するという懲罰があるので、下位のチームの順位付けも慎重に行わなければならないはずである。

2017年の順位を例にすれば、「サンフレッチェ広島は、ヴァンフォーレ甲府よりもJ1残留に値する」とは必ずしもいえないのである。

 

論理的な順位の決め方

Jリーグには元から昇格降格という懲罰制度がある。どのクラブチームも勝点は欲しいのである。決して手を抜いて引き分けにしているわけではない。

J1のチームがJ2に降格すると、減収の可能性もあるためクラブ運営の大幅な見直しを迫られることもある。だから降格したくないはずなのである。

このような制度があるのに、更に引き分け試合に対して懲罰を課す必要があるのだろうか?

少なくとも試合数の多いリーグ戦では必要ないと考える。引き分けの試合は勝点1.5にすべきだろう。