イタリアのマテーラ(Matera)にはサッシ(Sassi)とよばれる世界遺産に登録されている洞窟住居群がある。
その眺めは絶景であり、特に朝夕のサッシに街の灯りがともっている時の風景は神秘的な感じさえする。日本人にとっては、まだメジャーな観光地ではないが、サッシを見にマテーラに行く価値はあると思う。
マテーラの行き方
バーリから鉄道で
マテーラへの行き方はイタリアの主な都市から列車でバーリ(Bari)まで行き、バーリからはローカル線のアップロ・ルカーネ鉄道(FAL)に乗るのが一般的である。
日本人にはなじみがないが、バーリは比較的大きな都市で、バジリカータ州やプーリア州へ列車で行く際の拠点となっている。
そのためバーリにはトレニタリア(Trenitalia)とアルベロベッロ方面に向かうスド・エスト(Sud-est)、そしてFALの3つの駅がある。トレニタリアの駅は大きいので迷うことはないが、FALとSud-estの駅は小さいので迷うこともある。
マテーラへ向かうFALは地下鉄ではないが、バーリでの切符売り場はトレニタリアのバーリ駅からすぐの建物の地下にある。
バーリからFALに乗り1時間半ほどでマテーラ中央駅に着く。中央駅といっても小さい駅である。
この駅からマテーラのサッシまでは歩いて15分も見ておけばいいだろう。ただし、サッシ内のホテルに宿泊する場合は、行きだけはタクシーを利用した方がいいかもしれない。サッシ内は道が複雑でホテルを見つけるのに苦労するからである。
バーリ空港から直行バス
もし空路でバーリまで行くなら、空港からバスで直接マテーラへ行くこともできる。バーリ空港からマテーラへ向かうバスが1日5便運行されており、飛行機の到着時間とバスの出発時間が合うなら利用価値は大きい。
空港からマテーラまでの所要時間は1時間15分である。詳細は下記のウェブサイトを参照してほしい。
BUS (Pugliairbus) - Aeroporti di Puglia
マテーラの魅力
マテーラの魅力といえば洞窟住居のサッシであるが、川を挟んだサッシの真向かいのカルスト地形の姿も素晴らしい。
バジリカータ州からプーリア州にかけた地域は広大なカルスト地形を形成しており、特にマテーラの所々白い岩がむき出しになった風景はサッシに引けを取らない絶景である。
広範囲にわたるカルスト地形で、マテーラでは洞窟住居となり、アルベロベッロでは岩を切り取り、とんがり屋根のトゥルッリという形になったわけである。
マテーラのサッシ側は、迷路のような道を散策するのが楽しい。散策の際は、あまり地図は役に立たないだろう。サッシ内は、気の向くままに歩くのが正解である。
マテーラにはサッシを利用した洞窟ホテルがある。もしホテルからサッシの風景を眺めたいのであれば、サッシ内のホテルよりはサッシから少し離れた所か、あるいはサッシの端にあるホテルがいいだろう。
眺めのいいホテルなら、ホテルに滞在するだけで観光となる。マテーラを訪れるなら眺めのいいホテルを選ぶことが重要だろう。
マテーラの洞窟ホテル、イルベルヴェデーレ
洞窟ホテルの1つにイルベルベェデーレ(Il Belvedere)がある。イルベルベェデーレにはテラスがあり、ここから見るサッシは絶景である。特に早朝の街の明かりが残っている風景と夕刻にだんだんと日が暮れる時が最高だ。
マテーラの洞窟ホテルの1つ、イルベルベェデーレを紹介してみたい。
大通りから1つ入った細い路地にあるホテル
マテーラ中央駅からGoogle mapを頼りにイルベルベェデーレに向かっても、このホテルは見つけにくいかもしれない。
それもそのはず、ホテルは大通り沿いにありそうだが、実は1つ奥に入った細い路地にあるからである。
イルベルベェデーレは、まだ分かりやすい場所にあるホテルである。これがサッシ内のホテルだと、大いに迷うに違いない。
ホテルからサッシに向かう細い路地でホテルの案内板があるが、大通りではなく細い路地にあるので役には立たない。
ホテルのテラスからの絶景
イルベルベェデーレは、家族経営の小さいホテルだ。レセプションの若い男性もフレンドリーである。チェックインの手続きを済ませると、ホテルのスタッフが部屋へ案内してくれた。
途中、ホテルのテラスを通る時「あれがサッシだよ」と、彼は指差した。
テラスからサッシを見た時、「このホテルにして良かった!」と心底思った。マテーラのホテルを選ぶ際かなりの時間をかけた。そして、「テラスからの眺めがいい」ということがイルベルヴェデーレを選んだ決め手になったからだ。
ホテルはサッシの端に位置し、幻想的なサッシが一望できる。事前に集めた情報に嘘はなかった。テラスから見るサッシの景色はまさに絶景だった。
また、ホテルからサッシが近いというのもいい点だ。
部屋は狭いが、秘密基地のような雰囲気
案内された部屋は中庭から階段を登った所にあった。岩の形状に合わせて作られたドアの形が素敵な感じだ。
正直、部屋は狭い。部屋からサッシを眺めることもできない。しかし、この洞窟っぽさが秘密基地のような感じですごくいいのだ。とにかく洞窟の壁が素晴らしい。
ベッドやデスク、冷蔵庫はかなり小さめである。備品にポットがあるが、これにはかなりお世話になった。家族経営の小さなホテルながら無料のwifiも使用できる。
バスルームは、シャワーのみでバスタブはない。バスルームも岩がむきだしである。イタリアのホテル全般に言えるかもしれないが、バスタブのあるホテルは少ない。
マテーラに宿泊して朝夕のサッシの姿を見るべき
マテーラの街はこじんまりとしており、歩いて観光できる。急ぎ足ならバーリなどの都市部から日帰り観光も可能だろう。
しかし、マテーラに1泊はすべきであると思う。そして、朝夕のサッシやカルスト地形を満喫すべきだろう。
イルベルベェデーレは、マテーラ宿泊の際にはおすすめしたいホテルである。何といっても、ホテルのテラスからサッシとカルスト地形が一望できるのが素晴らしいからだ。
Hotel in Matera: Hotel in the Sassi of Matera. Hotel Il Belvedere.