ざきログ

Zakki Log - つらつらと、気になることを綴ってみます -

【フィレンツェ発】冬のチンクエ・テッレ日帰りツアー

チンクエ・テッレ(Cinque Terre)は世界遺産に登録されている人気の観光地である。Cinqueは「5つの」、Terreは「土地」を意味し、5つの村のことである。

チンクエ・テッレの観光シーズンは、春から秋にかけてであり、シーズン中は観光客で混雑する。チンクエ・テッレへは、公共の交通機関を使って行けるが、フィレンツェから出発する日帰りツアーもある。

 

 

冬のフィレンツェ発チンクエ・テッレへのツアー

シーズンオフの2月、フィレンツェに行くので、ついでにチンクエ・テッレに行こうとベルトラ(Veltra)でフィレンツェ発のチンクエ・テッレへのツアーを探してみたが、どうしても見つからない。押さえのビアター(Viator)でもない。

電車などを利用して行ってもいいのだが、シーズンオフのチンクエ・テッレはそれほどプライオリティが高くはなかったので、できればフィレンツェ発のツアーで楽して行きたいと思っていたわけだ。

シーズン中は毎日催行されるフィレンツェ発のツアーだが、冬に催行されるツアーはあまりないのが実情だ。

チンクエ・テッレへのツアーが見つからないので行くのを諦めかけていたのだが、ベルトラ(Veltra)の英語版でチンクエ・テッレのツアーを見つけることができた。

このツアーを主催する現地の旅行会社は、Avventure Bellissimeという会社であるらしい。この旅行会社について調べてみた。

すると、Avventure Bellissimeのウェブサイトでフィレンツェ発チンクエ・テッレのツアーを直接予約でき、しかも直接予約するとベルトラで予約するよりもツアーの価格が安い日があることが分かった。

自分の希望する日の値段がベルトラを通して予約するよりも安かったので、Avventure Bellissimeのサイトで直接予約することにした。

 

www.tours-italy.com

 

このツアーは毎日催行されるわけではなく、週に数回である。また、最低5人集まらなければツアーは中止となる。

シーズンオフに5人集まるかどうかが少々不安の種ではある。ただ、このサイトでツアーのレビューを読むと、冬期にツアーに参加した人のレビューも多くあり、5人くらいなら集まるだろうと期待した。

 

実際のツアーの様子

集合場所はレプッブリカ(共和国)広場

ツアーの集合場所は、朝9時にレプッブリカ(共和国)広場(Piazza Repubblica)にある由緒ある高級カフェ「Cafe Paskowski」の前となる。

 

チンクエ・テッレへの日帰りツアーの出発地点となるフィレンツェのレプッブリカ広場

フィレンツェのレプッブリカ広場

 

サンタ・マリア・ノヴェッラ教会からこの門をくぐって着いた場合、左側の1番手前のカフェである。

「ここで大丈夫かな?」と思いながら、そのカフェに前に立っていた。というのも、このカフェ、かなり大きい。カフェの前とはいうが、どこで待っていればいいのか確信できずにいた。

不安を感じながらも、目立つ場所に立っていると女性が話しかけてきた。

 

「チンクエ・テッレに行くのですか?」

 

私が「そうですよ。多分ここで待っていればいいのでしょう」と答えると、その女性はちょっと安心したようだった。同じツアーに行く仲間が現れて、こちらも大いに安心した。

しばらく待っていると、ツアーのガイド兼運転手(以下「ガイドさん」)が現れ、車に案内された。ツアー参加者は、ぎりぎり5人。私に話しかけてきたアメリカ人の女性と、コロンビア人の夫婦とその旦那の妹、そして私であった。

アメリカ人の女性はツアー中、自分の年齢とかをばらしてしまうのだが、おばあちゃんといってもいい年だった。しかし、明るく元気で、おしゃべり好きだったので、このおばあちゃんが中心となってツアーは始まった。

 

 

マナローラ(Manarola)に向けて出発

最初の目的地はマナローラ(Manarola)である。ツアー参加者5名を乗せたミニバンが出発した。車の中では、ガイドさんが車窓の風景について随時説明してくれた。

このツアーは、ガイドさんが常にツアー参加者を引き連れ観光スポットを回るというものではない。マナローラに着くと集合場所までは一緒に行くが、集合時間が伝えられて、後は個々に観光するという形態のツアーである。

マナローラの次は電車でヴェルナッツァ(Vernazza)に行くので、マナローラの駅の近くまでガイドさんと一緒に行き、そこが集合場所となる。

個々に観光するとはいっても、マナローラの観光エリアは狭いので、実質的にはツアー参加者全員で同じ行動となってしまう。

 

チンクエ・テッレのマナローラの風景

マナローラの風景

 

シーズンオフなので人も少ないだろうと思っていたのだが、中国人観光客の多さにびっくりしてしまった。季節外れの寂れた感じのマナローラを見たいと思っていたので、ちょっと残念だった。

ツアー参加者5人はマナローラの景色を楽しみ、集合場所に戻った。

 

ガイドさんからの提案

集合場所の戻るとガイドさんが待っていた。そこでガイドさんから提案があった。

チンクエ・テッレには5つの村があるが、行き先を減らし、それぞれの滞在時間を増やすというものであった。

ガイドさんは3ヶ所でも4ヶ所でもいいので、参加者5人で決めてくれということであった。

私はどちらでも良かった。というのも出発前に想像していたチンクエ・テッレのイメージを最も表している村がマナローラであり、その風景を見てかなり満足してしまったからである。

マナローラの岸壁に寄り添うように建っているカラフルな建物を見てしまうと、後はおまけみたいに思ってしまったのである。

結局、他の4人も私と同じ様に思っていたようで、全員合意の上、3ヶ所の村を巡るツアーに変更された。

 

マナローラから電車でヴェルナッツァへ

次の目的地のヴェルナッツァ(Vernazza)へは電車での移動であった。電車に乗る前に、ガイドさんから電車の切符とヴェルナッツァの地図をもらい、ヴェルナッツァでの集合場所と集合時間が伝えられた。

 

チンクエ・テッレのマナローラ駅

マナローラ駅

ガイドさんは我々が電車に乗るのを見送った。彼は車をヴェルナッツァまで移動させなければならないので、電車には乗らなかった。ヴェルナッツァはマナローラから2つ目の駅で、「降りる駅は絶対間違えないで下さい!」とガイドさんから念を押された。

 

ヴェルナッツァで昼食

ヴェルナッツァで電車を降り、事前にガイドさんからもらった地図を参考にヴェルナッツァの街を歩いた。とはいっても、ここもマナローラ同様、こじんまりとした所なので迷うこともない。

 

チンクエ・テッレのヴェルナッツァの風景

ヴェルナッツァの風景

 

このツアーには昼食は付いていないのだが、指定されたレストランでワインのテイスティングとちょっとしたおつまみを食べることができた。

5人はヴェルナッツァの観光を終え、その指定されたレストランに行った。ワインとおつまみを頂くとなれば、必然的にこのレストランで昼食を、といういうことになり、5人でゆったりと昼食の時間を過ごした。

 

チンクエ・テッレのヴェルナッツァにあるレストラン

ヴェルナッツァにあるレストラン

 

最後の村コルニリア

昼食後、集合場所に向かうとガイドさんが待っていた。そして、ヴェルナッツァから再び車に乗り、このツアーで訪れる最後の村、コルニリア(Corniglia)に向かった。

車はくねくねした山道を走り、コルニリアに到着。ここはマナローラやヴェルナッツァと比べ、観光客は少なかった。

古い教会があったので、これを見学してから細い路地を散策した。そして、この村のビューポイントとよばれる場所に向かった。

 

 

コルニリアで猫と戯れる

このビューポイントは高台にあり、海を眺めることができる。周りは安全のため胸くらいの高さの石垣で囲まれていた。その石垣の上を突然白い猫が歩いて来た。

歩いて来た猫は石垣の上に座りこんだ。海を背景にすると、なかなか絵になる光景である。猫の近くに寄り顔を覗き込んだが、どこか凛々しさを感じる表情をした猫だ。

 

チンクエ・テッレのコルニリアにいた白い猫

コルニリアにいた白い猫

 

「別にえさをねだりに来たわけではない。ここに来たかったから来ただけだ」そんなことを言いそうな猫であった。

 猫は定刻通りの散歩しに来たのに違いない。我々が離れると、猫は何事もなかったように海に向かいたたずんでいた。

後ろを振り返ると、もう1匹の猫がいた。白い猫と一緒にやって来たのだと思われるが、こちらの猫は石垣の後ろに立っている建物の近くで控えめに座っていた。白い猫の子分だろうか?こちらの猫の方は、白い猫よりはフレンドリーであった。頭を撫でても、されるがままであった。

海を眺めるのが日課の猫たち。ちょっと羨ましい。

 

レプッブリカ広場に戻りツアー終了

コルニリアの観光を終え、集合場所から車に乗り、我々一行はフィレンツェのレプッブリカ広場に向かった。

レプッブリカ広場に到着すると、ツアーに参加した他の4人と「旅行を楽しんで下さい!」と挨拶を交わし、ツアーは終了となった。

このツアーは「small group」とあるように、少人数のツアーで融通の利くツアーである。また、ツアーに参加したメンバーも良かった。社交的な人たちで、お互い打ち解け合うことができ、非常に楽しめたツアーであった。

 

なぜガイドさんは訪問先を減らす提案を行ったのか?

ツアー終了後、なぜマナローラでガイドさんは訪問先を減らす提案をしたのか考えてみた。

あくまでも推論ではあるが、これはガイドさんが「訪れる村を減らして楽をしたい」という思いからでたものではないだろう。

おそらくガイドとして何度もこのツアーに携わり、その経験を基にした提案だと思うのだ。どのような経験かというと、「全ての村を回っても、ツアー参加者は飽きてしまう」というものだ。

チンクエ・テッレ(5つの場所)なのだからすべての村を回りたいと思うのは当然である。しかし、チンクエ・テッレによほど強いこだわりがある人以外は、5つの内2~3つの村に行けば十分なのではないかと思う。

この件に関しては海外の旅行フォーラムでも話題なっていたことがあり、チンクエ・テッレに行ったことがある人が、「5つの村全部回るのはいいが、2~3つの村に行った後、『残りの村も行くべきであろうか?』という疑問が湧くと思うよ」といった旨の投稿をしていた。

つまりこの投稿者の意見は、チンクエ・テッレは2~3つの村を回れば十分であり、それ以上別の村に行っても同じような所で、結局は飽きてしまうだろうというものである。

この投稿者には同意する。チンクエ・テッレに行くのがメインの旅行者を除き、「チンクエ・テッレにも行ってみたい」程度の旅行者なら2~3つの村に行けば十分だと思うからだ。

もし、できるだけ時間をかけたくないというのであれば、チンクエ・テッレの象徴的な風景を見ることのできるマナローラだけでもいいのではないかと思う。

これはチンクエ・テッレが旅行のメインではなく、チンクエ・テッレの観光に強いこだわりがない場合である。チンクエ・テッレを思う存分堪能したい場合はゆっくりと5つの村を回ればいいと思う。

このようなことを考慮して、ガイドさんは回る村を減らすことを提案したのではないかと思うのである。

 

冬のチンクエ・テッレ

チンクエ・テッレに行くなら冬ではなく、少し暖かくなってからの方がいいのかもしれない。海の色がきれいになるだろうから。しかし、そううまく旅行の都合がつかないのなら、冬でもチンクエ・テッレのエッセンスを感じることはできる。

チンクエ・テッレに強い思いがないなら、無理して全ての村を回る必要もないだろう。行き先を絞れば、電車を利用して個人で行くのもいいと思う。その方がツアーに参加するよりも安上がりだからだ。

この日帰りツアーは、楽してチンクエ・テッレを回りたい、そんな方におすすめのツアーであると感じた。