サッカーの各国代表にはマスコミが使う愛称がある。日本なら「SAMURAI BLUE」、ブラジルなら「カナリア軍団」などがそうだ。また、代表チームを応援するグループにも愛称がある場合もある。日本代表を応援するグループの愛称は「ウルトラス・ニッポン」である。
そして、デンマークの代表チームを応援するサポーターにも愛称がある。「ローリガン(Roligan)」というのが彼らの愛称である。
穏やかに応援するローリガン
ローリガンは「穏やかな」を意味する"rolig"と「フーリガン(hooligan)」をもじったものだ。文字通り、暴力を排し、穏やかに応援しようということである。
ローリガンに関し、デンマーク大使館も下記のようにツイートしている。
ローリガン、ご存知ですか?サッカー⚽️の応援団が暴力的になってしまうとフーリガンと呼ばれますが、デンマークの応援団はみんなマナーを守って楽しく応援するので「静かな」という意味のRoligという言葉からRoligan(ローリガン)と呼ばれるんですよ😊https://t.co/UlaORBi1EB pic.twitter.com/vqaRQubVzC
— 駐日デンマーク大使館 (@DanishEmbTokyo) June 20, 2018
このようにデンマーク代表サポーターは、フーリガンとは対極の位置あるのである。
また、ローリガンといえば国旗の色である赤と白をモチーフとした応援グッズだろう。下記のオンラインショップで発売されている商品を見てみるのも面白い。
Danmarks største online Roligan butik
勘違いしやすいが、商品の値段はユーロではなくデンマーク・クローネ(1デンマーク・クローネ=約17円)である。
和歌山県とデンマークの絆
2002年の日韓ワールドカップの際、デンマーク代表のキャンプ地は和歌山県だった。これは単なる偶然ではないだろう。
1957年2月10日、和歌山県日ノ御埼沖航行中の木材運搬船の高砂丸が火災を起こした。そして、近くを航行していたデンマークの貨物船エレン・マースク号(Ellen Maersk)の乗組員がこれを発見し救助活動を行ったのである。
高砂丸の船長は救助活動の最中、海に転落してしまい、彼を助けるべくエレン・マークス号の機関長であったヨハネス・クヌッセン(Johannes Knudsen)が海に飛び込んだ。結局、高砂丸の船員3名全員とクヌッセンの4名が犠牲という海難事故となってしまった。
クヌッセンの遺体は、後日、和歌山県の浜に打ち上げられたという。
クヌッセンの犠牲を追悼するため、和歌山県美浜町には彼の顕彰碑と胸像が建てられた。現在も毎年2月に、ヨハネス・クヌッセン遺徳顕彰会による慰霊献花が行われてる。
クヌッセンの尊い犠牲は、デンマークと和歌山県、そして日本の友好の証でもある。