ざきログ

Zakki Log - つらつらと、気になることを綴ってみます -

【チケット転売サイト】スイスを拠点にするViagogoには要注意

昨今、問題になっているコンサートやスポーツ観戦のチケットの転売であるが、チケット転売サイトで購入したにもかかわらず、チケットを受け取ることができないというケースが頻発している。

そして、消費者庁とプロ野球の球団の中日ドラゴンズが、悪質なチケット転売サイトの名称を公表するに至った。

 

 

トラブル多発のチケット転売サイト

悪質転売サイトの公表に踏み切った中日

プロ野球の球団である中日ドラゴンズは、オフィシャルサイトで、「転売サイトで購入したチケットは無効である」との告知をした。そして、転売サイトの例としてViagogoというサイトを名指しで公表したのである。

中日ドラゴンズは、転売されたチケットを無効としております。
9月13日、消費者庁はチケット転売仲介サイト「viagogo」について消費者安全法の規定に基づき注意喚起を行いました。

 

www.dragons.jp

 

消費者庁の注意喚起

上記の告知の中で、消費者庁が注意喚起をしているとあるが、実際に消費者庁は「チケット転売の仲介サイト「viagogo」に関する注意喚起」と題し、ウェブサイトで次のように注意を促している。

平成30年9月以降、「viagogo」というウェブサイトを興行主によるイベントの公式サイトと思い込んで当該イベントのチケットを購入しようとしたところ、「購入完了までの残り時間が表示されたため、早くしないとチケットを入手できなくなると思い込み、急いでチケットを購入してしまった。」、「後で転売サイトだと気付き、キャンセルを求めたが、応じてもらえなかった。」といった相談が、各地の消費生活センターや独立行政法人国民生活センター越境消費者センター(CCJ)等に数多く寄せられています。
消費者庁と熊本市が合同で調査を行ったところ、「viagogo AG」(以下「viagogo」といいます。)が運営管理する「viagogo」というチケット転売の仲介サイト(以下「本件ウェブサイト」といいます。)において、消費者の自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがある行為(虚偽・誇大な広告・表示及び不実告知)を確認したため、消費者安全法(平成21年法律第50号)第38条第1項の規定に基づき、消費者被害の発生又は拡大の防止に資する情報を公表し、消費者の皆様に注意を呼びかけます。

 

チケット転売の仲介サイト「viagogo」に関する注意喚起 | 消費者庁

 

消費者庁から注意を要するとして名称をあげられるのは、相当数の苦情があったに違いない。

 

悪質な手口とは?

消費者庁から名前をあげられたチケット転売サイトのViagogoには、どのような問題があったのだろうか?

上記の中日ドラゴンズのウェブサイトにはこうある。

この「viagogo」は、検索すると上位に表示されるような広告を使っており、アクセスするとナゴヤドームの写真が掲載されているため正規のチケットサイトと区別がつきにくいのが特徴で、少ない残席数が表示されるために不当な価格での購入を急かされます。

実際に、このサイト利用者がナゴヤドームに来場され、「チケットが届かない」「チケットの受け取り方法がわからない」といったお問い合わせをいただく事例が数件発生しておりますが、すべてにおいて対応も入場もお断りしました。

ここで分かることは

  • 検索で上位に表示されるように広告を使用している
  • Viagogoのウェブサイトでナゴヤドームの写真が(勝手に)使用されており、正規のチケットサイトと勘違いするような作りになっている
  • 残席数が少なく表示され、不当な購入を急かされる
  • 購入者がチケットを受け取ることができない

である。1番目の広告に関しては問題ないだろう。問題なのは、チケット購入者が中日ドラゴンズと契約しているぴあなどの正規のチケットサイトと信じ、Viagogoでチケットを購入したものの、チケットを受け取ることができなかったということである。

また、スポニチでは

しかも具体的な試合日を選択すると、少ない残席数が表示されるために定価より高い金額、さらに1000円を超える法外な手数料での購入をあおられるという。

と報道している。

「1000円を超える法外な手数料」とあるが、これについては何とも言えない。海外のチケット販売の手数料は、意外と高いからだ。しかし、トラブルを起こすようなチケット転売サイトであることは間違いないだろう。 

 

www.sponichi.co.jp

 

チケット転売サイトのViagogoとは?

四大チケット転売会社の1つ

世界にはチケット転売を行う会社がいくつもあるが、大きな会社が4つある。その四大チケット転売会社(four major ticket reseller)の1つがViagogoだ。他の3つは、StubHub、 Get Me InそしてSeatwaveという会社である。

 

ルール破りの転売会社

Viagogoのウェブサイトを見ると、ラグビーワールドカップのチケットを取り扱っている。ラグビーワールドカップのチケットは、転売が禁止されており、もし購入したチケットを売りたい場合は、公式のサイトを通じて「リセール(再販売)」するしかない。もし公式のサイト以外から購入したチケットを持っていても、試合会場で個人確認をする可能性が高く、スタジアムに入場することができないこともあり得るのである。

Viagogoは、ラグビーワールドカップの組織委員会が禁止しているチケットの転売を堂々と行っている危険なサイトとも言えよう。

 

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Viagogoのウェブサイト

 

スイスに本社がある会社

それでは、Viagogoとはどのような会社なのであろうか?

Viagogoのウェブサイトには会社情報が掲載されている。それを見てみると、スイスのジュネーブが住所地になっていることが分かる。

 

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Viagogoの企業情報

 

Viagogoに関するWikipediaを見てみると

鹿島アントラーズと日本バレーボール協会の国際試合でチケットの海外購入を扱う。

とあり、Viagogoは単なるチケット転売サイトではなく、正規のチケットも扱っていることが分かる。また、サッカーJリーグの鹿島アントラーズとも提携しているので、「それほど悪い会社でもないのでは?」という印象を持つかもしれない。

 

Viagogo

 

実際に鹿島アントラーズのウェブサイトで調べてみると、確かにViagogoと提携をしていることが発表されている。

このたび、鹿島アントラーズはライブイベントチケットを取り扱う世界最大規模の事業者viagogo AG と国内、国外のいずれからでもチケットの購入および売却が可能となる新たなサービスを開始しましたので、お知らせいたします。

 

鹿島アントラーズ オフィシャルサイト

 

一方、英語版のWikipediaの方は、Viagogoの問題点が多く指摘されている。一例をあげると

Although Viagogo offers some tickets at face value it is well known for vastly inflating prices for events.

「チケットを正規の値段で売る場合もあるが、ほとんど場合、チケットの値段を釣り上げている」

They were involved in a legal battle with the UK Rugby Football Union (RFU) after they sold tickets which the RFU had forbidden from being resold for profit.

また、利益を売るためのチケットの転売を禁止しているイングランド・ラグビー協会との間で、裁判沙汰になっている。

 

Viagogo

 

英文のWikipediaを読むと、上記の他にもViagogoは問題を起こしており、批判をされていることが分かる。

 

Viagogoは問題のある転売サイト

ネットで評判の悪いViagogo

実際にViagogoを利用した人の評判はどうであろうか。Viagogoを利用した人の感想を調べてみると、必ずしも悪いものばかりではないものの、全体的には評判は良くないようだ。

また、Viagogoを批判するサイトも多くある。下記のサイトでは、「Viagogoからチケットを買ってはいけない」と警告している。おそらく日本の消費者庁に相当する外国の機関が、Viagogoを法的に問題があると認識しているという内容だ。

 

www.moneysavingexpert.com

 

イギリスのデジタル担当大臣も警告したDrip pricing

イギリスでは2018年に、当時のデジタル担当大臣だったマーゴット・ジェームズ(Margot James)が、消費者はViagogoを利用しないように注意を喚起している。

Digital Minister Margot James told BBC Radio 5 live that if fans had to use a secondary site to buy tickets, "don't choose Viagogo - they are the worst".

 

www.bbc.com

 

大臣から「Viagogoは最悪だ」と言われるのだから、Viagogoという会社も相当なものだ。

イギリスで最も問題になったのが「Drip pricing」である。Drip pricingとは、安い値段を提示しておいて、実際に購入するとなると追加のコストが発生し、結局は全然安くはないという販売方法だ。

例えば、正規の値段が5,000円のコンサートのチケットが7,000円で売られているとしよう。すでに完売で、手に入れられなかったチケットだ。どうしても行きたいコンサートなら安いだろう。このチケットを購入すべく手続きをしていくと、最後に手数料は20%で1,400円、システム利用料が1,000円、事務手数料が1,000円、配送料が1,000円と、どんどん費用が追加され、最後には11,400円と、予想もしなかった価格になってしまうようなケースである。

購入の最後になって高い値段を提示された利用者は、詐欺にあったような思いになるであろう。

 

詐欺が目的ではないが注意を要するViagogo

Viagogoは世界的なチケット取扱業者で、まともな部分もあることは確かである。決して詐欺を目的とした組織ではない。しかし、いい加減な運営をしていることは否定できない。

チケットを購入する消費者は、Viagogoは要注意の会社として認識しておいた方がいいだろう。