海外を旅行する時、その国の言葉を話せれば旅行はずっと楽しくなるものである。また、楽しいだけでなく、当然に役立つ場面が多い。
例えば、バスに乗ろうとした時。たいていの場合、行き先は現地の言葉で表示されている。現地の言葉を読めれば、すんなりと乗れるはずである。
また、現地の人に話しかけられた時に、ショートトークを楽しめたりもする。
ほんの数日だけの滞在なら、ちょっとした挨拶以外の言葉を覚える必要がないだろう。しかし、その国が好きで、定期的に訪れるのなら、言葉を覚える価値はあるのでないだろうか。
ギリシャ語を話したい
ギリシャを旅行するのにギリシャ語が必要かといえば、決してそんなことはない。
ギリシャは観光立国であり、毎年大勢の観光客が海外から訪れる。そのため、ホテルやレストランでは英語が通じるので、英語を話すことができれば何も問題はない。
しかし、ギリシャ語しか話せないおばあさんなどに話しかけられ、話が通じなかったりすると残念な気持ちになる。また、地元の人しか行かないような食堂で、安くておいしい食事にありつけた時に、帰り際にギリシャ語で「おいしかったよ!」と一言でもいえたらと思うこともある。
ギリシャが好きで定期的にギリシャに行く予定があるなら、上記のような場面に遭遇した時、ギリシャ語でちょっとした会話を楽しむためにギリシャ語を勉強するのも損はないと思う。
古典ギリシャ語と現代ギリシャ語
ギリシャ語を学ぶ際に最初に気を付けなければならないことは、ギリシャ語には「古典ギリシャ語」と「現代ギリシャ語」があることだ。
学習書を購入する時に注意しないと、現代ギリシャ語の本を買うはずだったのに古典ギリシャ語の本を買ってしまった、ということになりかねない。
たいていは「古典ギリシャ語」、あるいは「現代ギリシャ語」と表記されているが、単に「ギリシャ語」と表記されているものには、特に注意が必要である。
また、「ギリシャ語」ではなく「ギリシア語」と表記されている書物もあるので、検索する際はどちらの語でも調べた方がいいだろう。
ここでは旅行で役立つギリシャ語なので、現代ギリシャ語を学ぶことを想定するものとする。また、「ギリシャ語」と表記する。
初心者に厳しい現代ギリシャ語を学ぶ環境
ギリシャが大好きで、これから何度か行こうとし、ギリシャ語の勉強を始めようと決意する。そして、学習書などを選ぼうとするものの、そこにはマイナー言語の試練が待っている。
入門者、あるいは初級者が選べる現代ギリシャ語の学習書や学習ツールには選択肢が少ないである。
古典ギリシャ語に関しては、まだ選択肢が多い。古典ギリシャ語はラテン語と並び、ヨーロッパの諸言語に影響を与えた非常に重要な言語なので研究者も多いからであろう。
しかし、現代ギリシャ語に関しては非常にお粗末だ。
現在ギリシャの人口は1,000万人を超える程度。これにキプロスに住む人や海外へ移民したギリシャ人を加えた数がギリシャ語を話す人たちで、その数は一千数百万人である。
話者の数から見れば、ギリシャ語はマイナー言語といえる。何とネパール語の話者よりも少ないのである。
また、学習ツールの選択肢が少ないだけではなく、その内容自体に問題を含む場合もある。
日本で販売されているギリシャ語の学習書で見れば、まず初心者に優しくない学習書が多い。すぐに挫折しそうな本が多い。
また、いろいろとギリシャ語の学習書や参考書を見てみると、本により文法的な内容が一致していないこともあり、初心者を混乱させることもある。
ギリシャ語の学び方
外国語を学ぶ際、生きた言葉を学ぶなら言語の音声を重視するのは当然である。文字だけの学習では、正しい発音をしているかどうかをチェックできないし、そもそも話す練習をしなければ楽しくもないだろう。
最初に文字を覚える
外国語の学習は音声を重視するのは大切だが、ギリシャ語の場合は文字から覚えた方がいい。
学習しようとする言語の文字が複雑な場合、文字を発音記号に置き換え、発音記号を基に話す練習をすることがある。
文字の習得は、ある程度言葉を話せるようになってから行うと学習方法だ。タイ語などを学ぶ際は、この方法の方が効率がいい。
確かにギリシャ文字は英語や西ヨーロッパの言語で使用されるラテン字とは異なるが、ギリシャ文字の一部は数学にも使われており、全く親しみがないというわけではない。
最初はギリシャ文字に多少の戸惑いはあるだろうが、スマートフォンのアプリやYouTubeでもギリシャ文字を学べるものがあるので、それらを利用すれば1週間程度で覚えてしまうだろう。
下記のYouTubeの動画などは、文字の学習に非常に役に立つ。
また、「ギリシア語のかたち」は、ギリシャ文字の組み合わせによる読み方が記載されており、非常におすすめである。
この本を読めば、ギリシャ語の基本的な読み方をマスターすることができる。
ギリシャ語の参考書
外国語を学ぶ際、最初は音声を重視すべきであるが、前述したように、ギリシャ語の学習書は選択肢が少ない。
音声が付属しているような本は薄い会話の本くらいしかなく、文法の説明が十分ではない。
格変化が全くない言語なら会話の本を1冊丸暗記してしまい、基本的な表現を身に付けてしまうことも有りであるが、格変化の多い言語は文法的な確認が欠かせない。
これらを満たす学習書は、無いというのが現実である。
会話の本を1冊と、下記の「現代ギリシア語文法ハンドブック」は持っていてもいいかもしれない。
格変化などが一覧となっているので、文法を確認する時に参照するといいだろう。
また、下記の「現代ギリシャ語入門」は比較的おすすめできる学習書であるが、音声がないのが欠点である。
YouTubeを利用する
YouTubeにはギリシャ語の学習に役立つ動画が豊富にある。ただし、残念なことにほとんどが英語によるものである。
しかし、それほど難しい英語ではないので、学習に使える動画もある。
「Learn Greek with Lina」はおすすめの動画である。
ギリシャ語のリズムを感じるのに最適なのが「Greek Fairy Tales」である。子供用に作られた童話のアニメーションである。
もちろん内容をすべて理解することはできないが、知っている童話もあり、見ていて面白い。
ギリシャ語を1ヶ月も勉強すると知っている単語が出てくるだろう。
ギリシャ語学習で役立つサイト
現代ギリシャ語と日本語の辞書はないので、インターネットを活用するしかない。
英語のサイトとなってしまうが、最初の内は簡単な単語なのでそれほど高度な英語を必要としない。
最も分かりやすいのが「Wiktionary」である。
Wiktionary, the free dictionary
Wiktionaryよりも収録語数が多いのが「WordReference.com」だ。
不規則な変化をする動詞の変化を調べる時は「Modern Greek Verbs」が便利である。
Home of Greek Verbs | Modern Greek Verbs
なんせギリシャ語を学習するためのツール自体が少ないので、単語に関し疑問がある時は、上記の3つのサイトを上手く利用するしかない。