ギリシャ語は英語と比べたら文法が複雑である。
ギリシャ語の名詞には、男性、女性、中性の3つの性がある。そして、名詞の性により冠詞(英語のaやthe)が異なり、形容詞も変化する。また、動詞の変化も多い。
このような複雑さはギリシャ語だけではなく、ヨーロッパのほとんどの言語にもあてはまる。形容詞や動詞の格変化が多い言語と比較すれば、英語の文法は非常に簡単なのである。
それではギリシャ語を勉強する場合、どうすれば効率的に学べるだろうか?
ロゼッタストーンは挫折しやすい?
下記の記事にも書いた通り、貧弱な日本のギリシャ語学習環境であるが、音声重視の学習というならロゼッタストーン(Rosetta Stone)という学習ツールを使用するという手もある。
ロゼッタストーンは、子供が言葉を覚えるように外国語を覚えるという学習方法である。
つまり、文法的な説明は一切なく、学ぼうとする外国語とそれに関連した写真だけを使用する環境で外国語を学習するのである。
何となく「これは凄い!」と思ってしまいそうだが、おそらく、ロゼッタストーンを利用して英語以外の外国語を学ぼうとした人の内、かなりの人が挫折しているのではないかと予想する。
ロゼッタストーンで挫折するわけ
ロゼッタストーンでの外国語学習に挫折してしまうのは、大人が子供のように言語を学ぶのは無理だからである。
考えてみれば、子供が言語を習得するためには、かなりの時間がかかっている。例えば、中学1年生くらいになればかなりの会話力が備わる年齢だが、それに至るまでには12~13年もかかっているのである。しかも、間違ったことを言ったら、随時直してくれる人、家族や学校の先生などが側にいるにもかかわらずである。
大人がこんな調子で外国語を学習していたら飽きてしまうだろう。大人には根拠が必要なのである。なぜこの単語とあの単語の冠詞が違うのか。感覚ではなく、しっかりとした理由が必要なのである。
文法的な説明が全くない環境で外国語を学ぶのは苦痛でしかないので、挫折してしまう人も多いのではないかと推察する。
ロゼッタストーンのメリット
ロゼッタストーンでの外国語の学習は挫折が避けられないようなことを書いてしまったが、もちろんメリットもある。
私はロシア語と英語(アメリカ英語)のロゼッタストーンを使ったことがあるが、ロシア語の方は早々に挫折してしまった。しかし、英語の方は、明らかに発音が良くなり、滑らかに話せるようになった。
英語の場合は基本的な文法を知っていたので、文法の説明は必要ないということが大きかったと分析できる。
裏を返せば、ロゼッタストーンでの学習の際に適切な説明さえあれば、ロゼッタストーンは語学学習ツールとして十分に使えるということである。
話す、聞くという学習を中心にして、必要な文法を確認するという学習方法なら、外国語の学習は非常に効率的になるであろう。
ロゼッタストーンの最も優れた点は、音声重視もさることながら、クリック1つで同じ文をすぐに聞き返すことができることだ。
また、ロゼッタストーンではスマートフォン用のアプリを用意しており、タブレットやスマホでの学習も可能である。そして、ブラウザーでの学習とスマホのアプリでの学習は同期していることもメリットの1つである。
ロゼッタストーンを購入する
以前は少々高価だったロゼッタストーンのソフトウェアだが、現在はソースネクスト株式会社で販売しており、オンライン版はかなり安くなった。
従来のものより機能が制限されるものの、学習にはそれほど影響がないだろう。
また、時々セールをやっており、その時は信じられないほどの値段となる。もし、ロゼッタストーンの利用を考えているならば、割引されている時に購入すべきである。
ロゼッタストーンの設定
ロゼッタストーンの初期設定では、1つの設問等が終了すると自動的に次の画面に進むようになっている(これを自動遷移という)。
このままでは例文を聞き直そうと思っても次の画面に進んでしまうので、手動で次画面に進めるようにしておいた方がよい。
手動で次画面に進むようにするには、下記の「設定」をクリックする。
次に「自動遷移設定」の「自動的に次の画面に進む」のチェックを外す。
ここで音質なども設定できるので、必要に応じて設定しておこう。
ロゼッタストーンでの学習の進め方
ロゼッタストーンの構成
ロゼッタストーンのギリシャ語は大きく3つのレベル(Level)に分かれている。そして、各レベルには4つのユニット(Unit)がある。
- Level 1…Unit 1~Unit 4
- Level 2…Unit 5~Unit 8
- Level 3…Unit 9~Unit 12
各Unitには5つのレッスン(Lesson)があり、合計60レッスンとなっている。
5つのレッスンの内最後のレッスンは「マイルストーン」という短時間でできる会話形式の復習のようなもので、実質的には各Unit毎に4レッスンあると考えていい。
最も重要なコアレッスン
各レッスンはいくつかのセクションに分かれているが、最も重要なのがコアレッスンである。このコアレッスンの学習には時間をかけるべきである。
例文を何度も聞き返したり、ネイティブの発音通りに何度も声に出して例文を読むことが大切である。
コアレッスンをしっかりやれば、それに続く他のセクションは復習のようなものである。
各ユニットの最後にマイルストーンというレッスンがあるが、無視しても構わない。マイルストーンを除くとレッスンの数は48となり、1週間で1レッスンを進めると1年弱で終了する計算になる。
適度にコアレッスンの復習をする
ロゼッタストーンでギリシャ語の学習を始めたなら、どんどん進めばいいわけであるが、適度に過去の復習をすることをおすすめする。
例えば、Level 2へ進んだら週に1回はLevel 1のレッスンの内1つを復習するという具合である。その際、レッスンの全てをやり直す必要はない。コアレッスンのみでいいだろう。
このように適度に復習をしながら1年間で各レッスンを3~4回ほど行えば、英語の勉強でいう所の中学3年生から高校1年生程度のギリシャ語力がついているはずである。
後は必要に応じ単語を覚えるだけだ。
Audio Companion(オーディオコンパニオン)の利用
ロゼッタストーンでは、レッスンの音声ファイルをダウンロードすることができる。スマートフォンやウォークマンなどのポータブルオーディオプレイヤーなどに保存しておけば、外出時でも手軽に聴くことができる。
各レッスンの復習に役立つので、有効に利用したい。
音声ファイルをダウンロードするには「Audio Companion」をクリックする。
クリック後、下記のダウンロードをできるサイトが表示されるので、必要な音声ファイルをクリックし、ダウンロードする。