メテオラ(Meteora)は、奇岩で有名なギリシャ内陸部の観光地である。メテオラを有名にしたのは、映画007シリーズのユア・アイズ・オンリー(For Your Eyes Only)かもしれない。
映画の撮影地にもなった絶壁の奇岩の上に建つ数々の修道院は衝撃的な風景だった。 もっとも、修道院の聖職者は、ロケ地になったことに対し、あまり快く思ってなかったらしい。
また、メテオラはギリシャ人にとっては特別な地という印象を受けます。
ギリシャ人にどこへ行くのか聞かれて「サントリーニ島」とか「ロドス島」などと答えると、「ああ」といった感じなのだが、「メテオラ」と答えると「おお!」と感心されることもあるす。おそらくギリシャ人にとっては聖地といった場所なのかもしれない。
ギリシャといえばエーゲ海の島々であるが、内陸部にあるメテオラは、ギリシャの違った魅力を感じられる場所だ。
おすすめできないアテネからの日帰り観光
メテオラを観光する際に拠点となる町が、カランバカ(Kalambaka)である。
アテネからカランバカへ行くには列車かバスを利用する。列車の方が時間がかからず、また安いので列車を利用する人の方が多いかもしれない。列車で行った場合、カランバカ(カランパカと書かれる場合もある)駅で降りることになるが、カランバカは終点なので迷うこともないだろう。
カランバカで列車を降りると、駅の外にタクシーが待機しているはず。それらは、アテネから日帰りでメテオラを観光する際に利用する観光用のタクシーだ。
列車が定刻通りに発着すれば、カランバカに到着してからアテネ発の列車が出発するまでに4時間ほどの時間がある。その時間を使い、タクシーでメテオラを観光する旅行者もいる。
もちろん、スケジュール上、日帰りでメテオラに行かざるを得ない場合もあるだろうし、4時間もあればメテオラを一回りできるのでかなり楽しめるとは思う。しかし、列車の遅延というリスクを考えると、アテネからの日帰りは、あまりおすすめできない。
実際、この路線を利用した時、列車は約40分ほど遅れ、午後2時頃カランバカに到着した。この時間に到着したなら、まだ時間は十分あるかもしれない。これがもう1時間遅れたならどうだろうか。かなり急ぎ足でメテオラを回る必要がある。時にはもっと列車の到着が遅れることも想定しておいた方がいいだろう。
このような電車の遅延というリスクがあるので、メテオラ観光の拠点となるカランバカに1泊でもする方が安心なのは間違いない。メテオラに近いカストラキという村も観光拠点となるが、1泊だけならアクセスのよいカランバカの方が何かと便利だろう。
メテオラ周辺から出発する観光ツアー
カランバカ発、2つのツアー
カランバカからメテオラを巡るいくつかのツアーが設定されている。タクシーでメテオラを回るよりは、はるかに割安だ。
カランバカの隣町のカストラキに宿泊した場合でも、これらのツアーは利用できる。よく利用されるのは、午前中にメテオラを回るツアーと、夕方出発のメテオラの夕日を見るツアーである。どちらも20人未満の少人数のツアーなので、結構融通が利き、おすすめツアーだ。
2つのツアーは回る場所が異なるので、2つのツアーに参加するのもいいだろう。2つのツアーに参加すれば、労せずして、ほぼメテオラ全域を見ることができるからだ。
メテオラのツアーで注意すべき点は、曜日によって行き先が異なるということ。これは、各修道院が休む曜日が決まっており、ツアーの行き先となっている修道院が休みの場合は、他の修道院に変更されるためである。
そのため、お目当ての修道院があるなら、その修道院が休みでない曜日のツアーを選択する必要がある。
午前発メテオラ半日観光ツアー
このツアーの目玉は、「メガロ・メテオロン修道院(Megalo Meteoro)」である。ギリシャ人の観光客も多い修道院だ。
メテオラといえば絶壁に建つ修道院を結ぶロープウェイが有名だ。それほど頻繁に動いているわけではないが、運が良ければ、少し変わったロープウェイが動いている光景を見ることができるかもしれない。
もう1つの目玉は、「ヴァルラーム修道院(Varlaam)」。
このツアーは、上の2つの修道院を中心に、メテオラの奇岩を見て回るというものだ。上にも書いたように、曜日によっては修道院が休みなので、その場合は違う修道院に行き先が変更される。
ツアー中、移動は基本的にミニバンを利用するが、ツアー参加者の人数によってはマイクロバスになることもある。また、メガロ・メテオロン修道院、ヴァルラーム修道院ともに、観光するには十分な時間が設けられている。
サンセットツアー
サンセットツアーは、文字通りメテオラで夕日を見るツアーである。
このツアーでは通常、修道院は1つだけ、アギオス・ステファノス修道院(Agios Stefanos)のみに行く。
また、カランバカの観光スポットである「11世紀のビザンティン教会」にも立ち寄る。11世紀のビザンティン教会はカランバカにあるが、中心部からは離れた所にあるので、ツアーで立ち寄ってくれると非常に助かる。
サンセットツアーの特徴は、メテオラの様々なビュースポットに連れて行ってもらえることだろう。メテオラをいろいろな場所から眺められるので、非常に楽しいツアーだ。
また、午前のツアー同様、かなり融通が利くことも嬉しい点である。ツアー参加者から「ここで写真を撮りた~い」なんて声があがると、写真を撮る時間を設けてくれるのだ。
ツアーの時間は、午前中のツアーよりは少々長く4時間半ほど。また、午前中のツアー同様、ガイドは英語で行われる。サンセットツアーは夕日を見るのが目的なので、時期により出発時間が異なるので注意が必要だ。
メテオラ おすすめの巡り方
メテオラとカランバカ間を歩く
上記の「メテオラ半日観光ツアー」と「サンセットツアー」の2つのツアーに参加すれば、メテオラを一通り見ることになり、十分満足できる。
しかし、おすすめしたいのは、ツアーにはメテオラの夕日を見るサンセットツアーにだけ参加し、メガロ・メテオロン修道院とヴァルラーム修道院方面は、行きは公共のバスを利用し、帰りは歩いてカランバカまで戻って来るというもの。
カランバカからバスで終点のメガロ・メテオロン修道院まで行き、そこから歩いてヴァルラーム修道院へ行く。ヴァルラーム修道院の観光を終えたら道なりに歩けば、カストラキを経てカランバカに到着する。
7~8Kmの距離だが、ほとんど下りなので楽な行程だ。写真を撮りながら歩いても2~3時間程度である。道路が奇岩の近くになる所もあり、メテオラの奇岩の迫力をより感じることができるのも利点の1つだ。
注意点としては、ヴァルラーム修道院を出発するとカストラキまでは、ほとんどお店がないことだ。メガロ・メテオロン修道院かヴァルラーム修道院の近くにある売店で、水などのドリンク類を十分準備しておいた方がいいだろう。
バスステーション
カランバカからメテオラまでのバスは本数が少ないので注意が必要だ。事前にバスの出発時間を調べておいた方がいいだろう。
カランバカのバスステーションは、カランバカ中心部からも近く、迷うことはないと思うが、「バスステーション」という感じがしないので、多少不安になるかも。バスが路上に止まっているだけだからだ。しかし、その止まっているバスの周辺の建物を注意深く見渡せば、チケット売場と待合所があるバスステーションがあるのが分かるだろう。
メテオラからカランバカに戻り、その日の夕方の列車でアテネに帰る場合は、午前11時頃にカランバカを出発するバスに乗ると時間的にもちょうど良い感じの工程になる。
【参考記事】