イサーン(タイ東北部)にあるルーイ県(Loei、จังหวัดเลย)。この県のダーンサーイ(Dan Sai、ด่านซ้าย)という小さな町で、毎年、タイの奇祭と呼ばれている「ピーターコーン祭り(Phi Ta Khon Festival、ผีตาโขน)」が行われる。
この祭りのメインイベントは、「ピーターコーン」という独特の仮面をつけた人たちが行うパレードだ。このパレードを一目見ようと、祭りの日にはこの小さな町に大勢の人々が押し寄せる。もちろんパレードは祭りの主役だが、楽しいのはパレードだけではない。
ピーターコーン祭りを堪能するためのヒントを紹介してみたい。
パレード前日から楽しいピーターコーン祭り
ピーターコーン祭りは3日間にわたる祭りだ。祭りのメインであるパレードは祭りの2日目に行われる。祭りの初日と最終日は仏教の儀式が多いため、祭り目的の観光客は2日目のパレード見学を狙ってダーンサーイにやって来る。
しかし、現地では初日からお祭り状態である。祭りの2日目に行われるパレードの到着地であるポーンチャイ寺(ワット・ポーンチャイ、Wat Phon Chai、วัดโพนชัย)ではステージが設けられている。そこで歌や踊りのショーがあり、地元の人たちが大勢集まっている。祭りのプログラムだろうか、お寺の回りを踊り歩いている様子を見ることができる。
もちろん、様々な仮面をつけた人々もおり、祭りの雰囲気がバンバン伝ってくるのを感じることだろう。
祭り初日はほとんどが地元の人たちだけで、ピーターコーン祭り目当ての見物客もほとんどいない。そのため、パレードのある2日目に比べるとゆったりと見物することができる。
また、祭り初日ならポーンチャイ寺敷地にあるピーターコーンの博物館もすいており、じっくりと見学できるのも嬉しい点である。
ピーターコーン祭りは2日目が華
オープニングセレモニー
ピーターコーン祭りの2日目はパレードが行われる日だ。パレードに先立ち、ダーンサーイの区役所前に設けられたステージでオープニングセレモニーが行われる。このステージはピーターコーン祭りのメインステージであり、パレードの出発地点でもある。
セレモニー当日の朝、民族衣装のような服を着た子供たちに遭遇するかもしれない。色鮮やかな衣装を着た子供たちは、集団でセレモニーが催される会場に向かう。
オープニングセレモニーでは歌や踊りが披露され、ルーイ県の県知事等の挨拶がある。道路を挟んだステージの正面には見物席が用意されているが、早くから座席は埋まってしまう。そのため、旅行者がオープニングセレモニーを座ってみるのは難しいだろう。また、大勢の人が集まるため、ステージは結構見にくい感じもする。
このオープニングセレモニーは約1時間ほど続く。
パレード開始
オープニングセレモニーが終了後、ついにピーターコーン祭りのメインイベントであるパレードが始まる。パレードはメインステージの前を出発し、ポーンチャイ寺までの1Km弱の間を行進する。
このパレードは約2時間続くが、その間、様々な仮面を被った人々、体中に泥を塗った泥人間、あるいはイサーン(タイの東北部)の踊りを披露しながら行進をする人たちが次々と目の前を通り過ぎて行く。
メインステージ付近は、このパレードを見るため多くの人が陣取り、非常に混雑する。パレードはポーンチャイ寺まで続くので、メインステージ付近から離れ、お寺寄りのすいている場所を探した方がいいだろう。
また、泥人間は、知り合いと思しき人に泥を投げつけることもあるので、トバッチリで泥を付けられないよう注意したいものだ。
いろいろな仮面
ピーターコーン祭りでは、いろいろと趣向を凝らした仮面を見ることができ、これが祭りを楽しいものにしている。
下の写真の白と銀のデザインの仮面はスタイリッシュでかっこいい。
南の島のプリミティブなデザインの仮面もある。
パレードを終えたひと時
パレードの参加者たちはポーンチャイ寺に到着すると仮面を脱ぎ、お寺で休憩をする。おそらく、長い時間仮面をかぶっているので、相当汗をかくのではないかと想像する。
また、お寺近くのレストランで食事をしたり、ビールで祝杯を挙げている人たちもいる。この時間、お寺近くのレストランは非常に混雑する。お寺の近くで食事を取る予定なら要注意が必要だ。
パレード終了後のメインステージ
パレード終了後もメインステージでは何らかのパフォーマンスが行われている。かわいい子供たちの踊りなどを見るのも楽しいものだ。
ピーターコーン祭りのお土産
ピーターコーン祭りは、ロイクラトン祭り(Loi Krathong Festival)やソンクラーン(Songkran Splendours Festival)とは異なり、仮面という、ある意味、見る者にとって分かりやすい物を使った祭りである。
そのため、仮面を題材にした土産物が非常に豊富だ。祭りの当日は屋台を含め、土産物屋が多数出店する。それらの店先にはピーターコーンに関する様々なお土産が並ぶ。
実物大の仮面
ピーターコーンの土産物の目玉は、実物大のピーターコーンの仮面だろう。色鮮やかで、デザインもいい。気持ちが高ぶって買いたくなってしまうかもしれない。しかし、かなり大きな仮面で、日本まで持ち運ぶのは厳しいのではないかと思う。見るだけにしておいた方がいいかもしれない。
数は少ないが、ピーターコーンのパレードに参加する外国人がいる。主にファラン(タイ語で白人の意味)だが、このような人たちが仮面を買っているのかもしれない。
ピーターコーンの小物
実物大の仮面の他にも、仮面をデザインにした小物類がある。
こちらの方は実物大の仮面に比べ小さく、持って帰るにも苦労はないだろう。ランプや壁掛けはセンスが良く、お土産としてよさそうだ。
ポーンチャイ寺の敷地中に小物のお土産が豊富な土産物屋があるので、最初にここを見ておくといいだろう。
ピーターコーンTシャツ
お土産として最もおすすめしたいのは、ピーターコーンのTシャツだ。どこの店でも同じようなシャツを売っているのかと思いきや、店によってデザインがかなり違う。
値段の方は素材やデザインによって様々だが、安いものなら100バーツ程度だ。店によってはアートともいえるデザインのTシャツも扱っており、Tシャツだけを見て歩いても飽きることはないだろう。
ピーターコーンTシャツは値段も安く、かさばらないので、お土産として非常におすすめである。
ピーターコーン祭りの注意点
ピーターコーンは雨期の祭りである
タイ人はよく「カオパンサー(ข้าพรรษา)の祭り」とか「オークパンサー(ออกพรรษา)の祭り」などと言う。
「カオパンサー」は雨期入り、「オークパンサー」は雨期明けという意味だ。そして、ピーターコーン祭りはカオパンサーの祭りである。
厳密には雨期の始まりと終わりはタイの仏教上の日が基準になるが、単純に気象上の雨期を基準に、それぞれ「雨期入りの祭り」と「雨期明けの祭り」と考えて差し支えないだろう。
雨対策を忘れずに
ピーターコーン祭りはカオパンサーの祭りなので、タイではすでに雨期に入っている時期に行われる。そのため、雨が降る可能性が非常に高い。
当然、雨具の準備が必要になるが、傘だけではなくポンチョも持って行くことをおすすめしたい。小雨の時はポンチョで、雨足が強いようならポンチョと傘で対応した方が濡れにくいからだ。
また、カメラで祭りを撮影するなら、防水対策をしっかり考えておいた方がいいだろう。
【参考記事】