タイにいい歌は数あるが、美しいという観点からみるとどのような歌があげられるか考えてみた。
タイの歌を全曲聴いたわけではない。また、とてもじゃないが聴けるわけもない。しかし、これまで聴いたことのある歌謡曲(ポップス)の中から独断と偏見で5曲選んでみる。
選ぶ際には曲と歌詞の美しさは当然のこととして、ちゃんと歌い継がれているかも考慮することにする。
1. พี่ชายที่แสนดี
1番目を選ぶのは簡単である。ウイ(อุ้ย รวิวรรณ จินดา)の「พี่ชายที่แสนดี(ピーチャイ・ティー・センディー)」だ。歌詞もメロディーも素晴らしい。
ピーチャイ・ティー・センディーは1986年にリリースされたが、いまだに新鮮な感じがする。後にも先にも、この歌を超えるものは出てこないだろう。
サーティダー(สาธิดา พรหมพิริยะ)がコンサートで歌う動画はスペクタクルな感じがしておすすめだ。ゆったりと歌っており、歌詞も表示されるのでタイ語の勉強にも役立つだろう。
2. จำเลยรัก
次がルーククルン(ลูกกรุง)の大御所であるサワリー(สวลี ผกาพันธุ์)が歌う「จำเลยรัก(チャム・ローイ・ラック)。下の動画の最初の曲である。
年末等に行われる格式ある歌番組やコンサートなどで歌われそうな歌だ。廃れたと言われるルーククルンだが美しい歌が多く、ファンも少なくない。
プムプワン(พุ่มพวง ดวงจันทร์)もこの歌を歌っている。「ルークトゥン(ลูกทุ่ง)の女王」と呼ばれているプムプワンだが、ルーククルンも歌っている。
3. รู้ว่าเขาหลอก
シリンター(ศิรินทรา นิยากร)の「รู้ว่าเขาหลอก(ルー・ワー・カオ・ローク)」もなかなかいい。多くの歌手からカバーされている歌だ。
パオワリー(เปาวลี พรพิมล)が歌う動画もある。パオワリーは、歌によってどのように歌い方をすべきかを知っている歌手である。この動画ではカラッとした感じに歌いこなしている。
また、ヤヤイン(ญาญ่าญิ๋ง)の動画もあるが、これは貴重かもしれない。サッカー賭博を映像のストーリーに使っているからだ。
タイで度々問題になるサッカー賭博である。今ではネットを使うのだろうが、当時どのように行われていたかを伺い知ることができる。
4. คืนนี้เมื่อปีกลาย
4番目はプムプワンの「คืนนี้เมื่อปีกลาย(クーニー・ムア・ピー・クライ)」。
プムプワン(พุ่มพวง ดวงจันทร์)が亡くなってから数十年経つが、タイでは今でも定期的に彼女の追悼コンサートが行われている。
「いつまでもプムプワンじゃないだろ…」と思うこともあるが、彼女のこのような歌を聴くと、やはりプムプワンは偉大な歌手だったと認識せざるを得ない。歌唱力だけでなく、技術もすごい。
タイの勝ち抜きのど自慢のような番組に出場した少女が「クーニー・ムア・ピー・クライ」を歌っている動画がこれ。彼女はプムプワンの歌を歌い込んでるようで、非常にうまく歌いこなしている。
若い頃のプンプワンに少し似ているような気もする。ちょっと気に入ってしまった。
5. อุ๊ยคำ
最後はチェンマイの名曲、カイ(ไก่ พรรณนิภา)の「อุ๊ยคำ(ウイカム)」だ。カムという名前のおばあさんのことを淡々と歌っている歌だ。詩的な歌詞で、聴く側にも想像力が必要な歌であろう。
カイの歌にはメロディーの美しいものが多い。また、ルークトゥンと思いがちだがそうではない。ルーククルン寄りの歌である。
イサーン(タイの東北部)の言葉は標準タイ語と異なるが、タイ北部の言葉もイサーンの言葉同様、標準語とはかなり違う。
下記のサイトでウイカムの歌詞が解説されている。青や水色で書かれたものが解説と標準タイ語への訳である。標準タイ語しか知らない者にウイカムの歌詞を説明するには、かなりの分量になることが分かるだろう。
informationchiangmai.blogspot.com
ちなみにカイは槇原敬之の「もう恋なんてしない」をカバーしている。歌の題名は「ซาโยนาระ」である。そのまま「さよなら」と読む。