知る人ぞ知る、お庭番ねこ「黒の助」がいる岡山市の夢二郷土美術館。黒の助とは、美術館のマスコット的存在の本物の黒猫である。
夢二郷土美術館には黒の助をモチーフにした猫アートがあふれている。黒猫アートが魅力の夢二郷土美術館について紹介してみたい。
夢二郷土美術館と猫アート
夢二郷土美術館は竹久夢二の作品を展示している美術館である。外壁の所々に赤いレンガが使われ、ほのかに大正ロマンを感じる建物だ。
夢二は猫、特に黒猫の絵をよく描いているので、猫と全く縁がないわけではない。しかし、夢二の画中に描かれているような黒猫の黒の助が美術館と関係を持ったせいか、美術館には黒猫を中心に猫アートがちりばめられている。
お庭番ねこ「黒の助」の由来
黒の助は、まだ仔猫の時の2016年9月に車にひかれそうになっていたところを美術館の職員に連れてこられ、正式に美術館に迎え入れられた。仔猫は「黒の助」と名付けられ、以来、夢二郷土美術館に住み着いている。職業は夢二郷土美術館のお庭番である。
館内には立派な黒の助の部屋が設けられ、美術館での待遇はいいようだ。
しかし、1つ問題がある。黒の助は仕事に熱心ではないのだ。出勤は気まぐれである。そのため、是非とも黒の助に会いたいという場合は、黒の助が出勤しているかどうかを事前に確認しておかなければならない。
黒の助がさぼった日は、「お庭番の黒の助 本日お休みです。また会いに来てくださいね。」というパネルが立っている。遠方から来て、このパネルを見るのは、ちょっと寂しいものだ。
黒の助の猫アート
夢二郷土美術館の館内は原則として撮影禁止であるが、黒の助の部屋がある展示室だけは撮影可能だ。展示室とはいっても、美術館の受付の隣にあるロビーのような一角である。
ここには夢二の描いた猫や黒の助の猫アートが展示されている。
展示室にはソファーセットもあり、黒の助柄の椅子やクッションが置かれている。
また、後述するArt Cafe 夢二(アートカフェ夢二)のミュージアムショップで販売されている黒の助グッズの一部も展示されている。
美術館の敷地内には「蓬莱橋・夢二郷土美術館前」というバス停がある。岡山駅からバスを利用する場合は、このバス停で降車する。
このバス停の標識にも黒の助の絵が描かれている。また、文字の書体も独特で、どことなく大正ロマンを漂わせている感じだ。
バス停の標識の上部には耳もついており、細部にも気を抜かないという姿勢を感じる。
Art cafe 夢二
夢二郷土美術館にはArt cafe 夢二というカフェがある。カフェには竹久夢二や黒の助関連のグッズを取り扱うミュージアムショップが併設されている。
Art cafe 夢二は美術館とは別の建物で、こちらの方は美術館に入館しなくても利用が可能だ。
カフェではドリンク類のほか、スイーツや食事を取ることができる。カフェを利用すると、伝票が猫のクリップに挟まれてくる。このような細かい点にも気を配っている感じが嬉しい。
1度は乗りたい夢二黑の助バス
黒の助だらけの夢二黒の助バス
岡山駅東口と夢二郷土美術館をノンストップで結んでいるのが「夢二黒の助バス」だ。バスは黒の助でラッピングされ、正面上部にはちゃんと耳まで付いている。
車内も黒の助だらけで、乗っているのが楽しいバスだ。
間近で見ても、きちんとデザインされていることが分かる。こんなバスにしばらく乗っていたいものだが、岡山駅と夢二郷土美術館の距離はそれほどなく、乗車時間が短いのが残念だ。
降車ボタンはたま駅長?
夢二黒の助バスの降車ボタンは、和歌山電鐵貴志川線のニタマ駅長だ。「なぜニタマ駅長なの?」と不思議に思うかもしれないが、これには理由がある。
実は、夢二黒の助バスを運行している岡山電気軌道株式会社は、和歌山電鐵株式会社に100%出資している親会社なのである。であるから、夢二黒の助バスもニタマ駅長と多少は関係があるのだ。
ちなみに、この降車ボタンを押した時の音は「にゃ〜」という鳴き声である。
参考記事
また、岡山電気軌道株式会社の主要株主に両備バスを運行している両備ホールディングスがあり、両備バスはニタマ駅長のラッピングバスを走らせている。
夢二黒の助バスはいつも運行されているわけではない
夢二黒の助バスは岡山駅東口と夢二郷土美術館を結ぶ直通バスであるが、岡山駅から美術館へ行くバス全てが夢二黒の助バスというわけではない。
確実に夢二黒の助バスに乗りたい場合は、下記の夢二郷土美術館のウェブサイトで時刻表を確認しておいた方がいいだろう。
夢二郷土美術館のアクセス
夢二郷土美術館の地図
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