中部国際空港セントレアがある愛知県の常滑(とこなめ)市は焼き物の街である。とりわけ招き猫の生産が日本一で、そのシェアが80%もある。
そのため、常滑市は招き猫を観光の目玉としており、街のあちこちに招き猫のオブジェを置いている。特に焼き物街のある名古屋鉄道の常滑駅周辺には招き猫が多く展示され、それらを眺めながら散策を楽しめる。
中部国際空港セントレアに用事があるなら、常滑駅で下車し散策することをおすすめしたい。特に前泊や後泊で空港近くのホテルに泊まるなら、是非足を延ばして常滑の焼き物街を歩いてみてはどうだろうか。
常滑駅からとこなめ招き猫通り
中部国際空港セントレアは何度か利用したことがあるが、乗継時間がある場合は名古屋市や伊勢神宮に行ったりしていた。空港周辺について調べてみると、常滑が招き猫の街であることを知り、散策してみることにした。
セントレアから電車で2駅目の常滑駅で降り、駅を出ると空港寄りの所に散歩道案内板がある。そして、その後ろには数体の招き猫があり、早速観光客を迎えてくれる。
常滑駅から少し歩くと「とこなめ招き猫通り」がある。とこなめ招き猫通りは細い歩道で、コンクリートの壁に陶芸作家の作成したいろいろな招き猫が飾られている。
それぞれの招き猫がユニークで面白く、楽しい常滑散策を予感させてくれる。
常滑市の観光については、下記のウェブサイトが役に立つ。
招き猫グッズだらけの陶磁器会館
とこなめ招き猫通りを過ぎると陶磁器会館がある。常滑の焼き物を展示販売している。もちろん招き猫の焼き物もあるが、猫が描かれた皿やカップなど、招き猫をモチーフにした物が多い。
値段の方もかなりリーズナブルで、お土産を買うなら、まずここをチェックしてみるといいだろう。
陶磁器会館の前にはポストがあり、その上にオートバイに乗った猫の配達員のオブジェがある。ここは撮影スポットなので写真を撮るのを忘れずに。
やきもの散歩道の途中にある巨大招き猫「とこにゃん」
常滑散策の目的の1つが、愛称「とこにゃん」という巨大な招き猫の像を見ることである。
高台から見つめる「とこにゃん」
常滑駅を出て、やきもの散歩道に向かう途中にとこにゃんがいるはずなのだが、探しても全然見当たらない。大きな招き猫なので気が付かないということもないだろう。しかし、とこにゃんがいそうな場所を見回しても、やはりいない。
それもそのはず、とこにゃんは高台にいるからである。やきもの散歩道が始まる陶磁器会館へ向かう大通りに北山橋という小さな陸橋が架かっているのだが、そのたもとにとこにゃんはいるのである。
常滑駅から、とこなめ招き猫通りの反対側の歩道を歩けば、とこにゃんの姿に気付くのだが、通常はとこなめ招き猫通りを歩くので、とこにゃんには気付かないのだ。
「とこにゃん」の後ろ姿にちょっとがっかり
陶磁器会館から「やきもの散歩道」という散策のモデルコースが始まる。
ここを歩いていると招き猫のステッカーをたくさん貼った車が止まっていたりして、常滑住民の招き猫への思いを感じることができる。
やきもの散歩道の途中に、常滑名物の巨大招き猫「とこにゃん」が鎮座している。
通常の道順でとこにゃんのいる場所に行くと、最初にとこにゃんの後ろ姿を見ることになる。それを見て、きっと「後ろ姿も立体的であってほしかった」と思うに違いない。
なぜなら、とこにゃんの後ろ姿は張りぼて感があり、ちょっと残念だからである。正面の出来栄えがいいだけに、余計にそう感じてしまう。
このがっかり感を少しでも和らげるには、常滑駅からは右上の方を注意しながら大通りの左側を歩くといい。とこにゃんの正面の姿を最初に見ることができるからである。
それでも楽しい招き猫「とこにゃん」
張りぼてで、顔と左前脚のみの招き猫「とこにゃん」ではあるが、近くで見ると結構感動するものだ。
とこにゃんの周りにもいろいろと猫のオブジェがあり、猫好きにはたまらないはずである。
とこにゃんの地図
とこにゃんの近くにあるうなぎの中村屋
とこにゃんへ行く途中、とこにゃんにほど近い所に中村屋といううなぎ屋がある。小さな店なので、食事時はすぐにいっぱいになってしまう。しかも、料理ができあがるまでに30分ほどかかるので、なかなか席が空かない。
しかし、もし時間に余裕があるなら、ここでうな丼を食べてみるのもいいだろう。関東の人間にしてみれば、焼いただけのうなぎはカリッとしており、かなりワイルドな食感である。
うなぎの量は1匹と半匹(半分)から選ぶことができるので、お腹の減り具合と相談して決めればいいだろう。
やきもの散歩道を歩く
とこにゃんを見終えたら、案内板に沿ってやきもの散歩道を歩いて行く。
やきもの散歩道は車の通れない細い道がほとんどで、所々焼き物を埋め込んだ歩道になっている。
やきもの散歩道は風情のある家や登窯(のぼりがま)、陶器の工房などを見ながら散策するのだが、見どころは廻船問屋瀧田家と土管坂である。
廻船問屋瀧田家は、江戸時代から明治時代にかけて廻船業を営んでいた瀧田家の住宅で、土管坂は左右を陶器製の土管で飾られた短い坂道である。
もし時間に余裕があるなら、「陶彫のある商店街」を歩くのも楽しい。猫をモチーフにした彫刻などを見ることができる(詳細は上記、常滑市観光協会のウェブサイトを参照)。
INAXライブミュージアムも面白い
時間があり余っている、というならINAXライブミュージアムに足を運ぶのもおすすめだ。
INAXライブミュージアムは、陶器を製造していたINAXなどが合併してできた株式会社LIXIL(リクシル)が運営する文化事業である。
INAXライブミュージアムにはテーマ別に建物があり、いろいろな陶器製の便器を展示している所もある。
また、ここには世界のタイルが展示されている「世界のタイル博物館」がある。タイルの博物館は、かなり珍しいのではないかと思う。
館内にはイスラム圏のタイルなどもあり、展示物は結構充実している。
イオンモール常滑も招き猫だらけ
常滑に行ったら忘れてはならないのがイオンモール常滑だ。常滑駅からは多少距離があるので、タクシーで行くか電車で行く方がよいだろう。
電車なら隣駅の「りんくう常滑」で降りると、目の前にある。タクシーで行く場合は、運転手に「バス乗場がある所まで」と言うと店の前で止まってくれる。
このイオンモール常滑も招き猫が充実している。イオンモール常滑の正面入り口には招き猫が描かれた大きな提灯がある。
これだけでもイオンモール常滑が招き猫に力を入れていることが分かるが、店内に入るとドーンと巨大な招き猫が現れる。こちらは「とこにゃん」とは違い、張りぼてではない。
また、この巨大招き猫の後ろ側には招き猫グッズを扱うお店がある。
イオンモール常滑は、これだけではない。店の周りにも招き猫のオブジェがたくさんあり、これらの面白い招き猫を眺めるのも楽しいものだ。
イオンモール常滑から中部国際空港セントレアに行く場合、無料のシャトルバスを利用することができる。本数は1時間に2~3便でそれほど多くはないが、空港へ戻るのに便利なので是非利用したい。シャトルバスを利用する場合は、時間帯によっては混む時もあるので早めに並んだ方がいいだろう。