知覧へ行く目的は、ほとんどの人が特攻平和会館だろう。公共の交通機関で行く場合は、鹿児島駅などからバスに乗り終点まで行くことになる。
バスの終点の「特攻観音入口」の1つ手前に武家屋敷が保存されている地区があるが、この武家屋敷群が思いのほか素晴らしかったので紹介してみたい。
水路に鯉がおよぐ街、知覧
知覧武家屋敷に最も近い「知覧」の停留所でバスを降りると、車道と歩道の間に水路が流れている。そして、その水路にはきれいな鯉がおよいでいるのだ。
細い路地や農村部でならこのような光景を見たことがあるが、大通りに面した水路で鯉がおよぐ姿を見たのは初めてである。
所々に無人の鯉のえさ売り場があるので、武家屋敷見学の前に鯉のえさやりも楽しいものである。
ちなみに武家屋敷や特攻平和会館がある知覧は、以前は「知覧町」であったが、2007年に周辺の町と合併し南九州市になっている。
辺り一帯が庭園のような武家屋敷保存地区
武家屋敷がある一帯は「重要伝統的建造物群保存地区」といわれる所である。
知覧武家屋敷群の素晴らしい点は、定期的に樹木の剪定を行っているようで、よく手入れがされていることである。そのため、保存地区一帯が1つの庭園のように美しく整っている。
時折団体の観光客がいるものの、それほど多くもなく、静かな地区である。週に1回とはいわないが、月に1回は散歩をしてみたくなるような趣のある一帯だ。
多くの建物には人が住んでいるが、一部を観光客に公開している家もある。
また、全面的に開放されている屋敷がいくつかあり、歴史を感じる建築物と庭園を間近に目にすることができる。
武家屋敷がある保存地区へ入るには入場料が必要であるが、特に入場料を支払う窓口があるわけではない。保存地区内に案内板があるので、案内に従って入場料を支払うことになる。
入場料の支払い場所はの茶店などで、保存地区内に数ヶ所ある。
ホタル館富田食堂
武家屋敷の保存地区から特攻平和会館の方へ少し歩くとホタル館富田食堂がある。
戦時中、富田食堂は軍の指定食堂であった。特攻の母として慕われた「鳥浜トメ」の食堂だった所に、現在は特攻隊員の遺品などを展示しているので、「食堂」となってはいるが飲食店ではない。
ホタル館富田食堂も知覧特攻平和会館と同様貴重な資料があり、足を運ぶ価値があるだろう。
知覧武家屋敷から特攻平和会館へ
知覧武家屋敷とホタル館富田食堂の後は知覧特攻平和会館へ行くわけだが、距離にして2キロちょっとぐらいだ。
武家屋敷付近の水路が流れる表通りには特攻隊員を彫った灯籠がいくつも立っている。
知覧特攻平和会館へ向かってしばらく歩くと市街地から離れるが、決して迷うような複雑な道ではない。ひたすら道路沿いを歩いて行くと到着する。
途中、坂になっている所があり、少々きついが、歩けない距離ではない。
歩くのが面倒な場合は、武家屋敷付近の停留所からバスに乗ればいいだろう。便数が少ないので不便ではあるが、うまくバスの時刻に合わせるようにすればいいだろう。
鹿児島市などからのバスの時刻表は、下記の「知覧武家屋敷庭園有限責任事業組合」のサイトなどが参考になる。