日本では、毎年8万人以上の行方不明者がいる。この数字は失踪者として警察に届けられたものである。「多いな」と思うかもしれないが、後日所在が確認できた者がほとんどである。
警察庁生活安全局生活安全企画課が、下記のようなレポートをPDFにしているので確認できる。
https://www.npa.go.jp/safetylife/seianki/fumei/H28yukuehumeisya.pdf
しかし、所在が確認できないものも存在するわけで、これには自発的な失踪者、認知症であるが認知症と診断されていなかった者なども含むだろうが、中には誘拐も確実に含まれていると思われる。
営利誘拐と人身売買
よく刑事ドラマなどで子供を誘拐し、その子の親に身代金を要求するというものがある。このようなケースは営利を目的とした誘拐で、犯罪としては理解しやすい。
しかし、身代金を得るための誘拐だけが営利誘拐ではなく、「営利」の概念は幅広い。わいせつ、結婚、または生命もしくは身体に対する加害の目的で誘拐した場合も営利誘拐に含まれる。少女を誘拐し、長期間監禁する事件が起きているが、これも営利を目的とした誘拐だ。
もう1つ重要なことがある。人身売買を目的とした誘拐である。人身売買を目的とした誘拐は、かなり組織的に行われ、国際的なネットワークがあるものと推定できる。
一例を挙げると、サッカー日本代表の宇佐美貴史選手はドイツでプレーしているが、彼の奥さんである蘭さんが、ドイツで誘拐事件に巻き込まれそうになったことをブログに書いている。
彼女は次のように書いている。
ミュンヘンのフェストへ友人といった時、着いた瞬間から不審な男性からの視線を感じました。
その男性は、話しかけてくるわけでもなく、一定の距離を置いて、ずっと後を付けてきました。
私たちが気づいていることを示しても、効果はなく、ただただついてくるのです。
私たちが観覧車に乗っても、観覧車の入口で待っているんです。
そして、観覧車から、誰かと連絡を取っているのが見えました。
一緒に居た友人は、ドイツ歴が長く、
これは人身売買の手口だと思う。
と言い出し、二人で駅に立っている警官のところに走りました。
すると、不審な男性の仲間と思われる人物がゾロゾロと出てきて、私たちを追いかけてきたのです。彼らは何人ものグループだったんです。
警官に気がつくと彼らは逃げていきましたが、もしあの時に不審な視線に気が付かず、お手洗いに行ったり、人気の少ないところへ行っていたら…
と思うとゾッとします。
人身売買を目的とした誘拐は、どこででも起こり得ることことが分かるだろう。
防犯カメラがとらえた誘拐現場
誘拐のことを英語で"kidnapping"というが、kidnappingという語でYouTubeで検索すると、堂々と誘拐をしようとする映像を見ることができる。これらの映像を見ると、母親がちょっと目を離したすきに子供を連れていこうとする場面もあり、非常に驚かされる。
YouTubeの動画は、いずれも未遂に終わっているが、誘拐現場の映像をいくつか紹介してみたい。
母親の目の前で4歳の女の子を誘拐しようとする現場
誘拐犯から逃げる女の子
カメラにとらえられた5つの誘拐現場
大人でも油断してはならない
紹介した動画は全て子供を対象にした誘拐だが、特に人身売買が目的の場合、前述の宇佐美選手の奥さんのように大人も誘拐の対象となり得る。
現にYouTubeでは成人した女性の誘拐(未遂)のニュースの動画もある。危険な雰囲気を察したら、そこから離れ、十分に用心するべきである。