倉敷美観地区から少し外れた所に倉敷貯金箱博物館という、一風変わった名前の博物館がある。
倉敷について調べてみても、あまりこの博物館の名前があがらないことに加え、博物館の名前からしても、「わざわざ行くこともないんじゃないの?」と思いがちだが、実際のところどうなのだろうか?
謎の博物館、倉敷貯金箱博物館に行ってみたのでレポートしてみたい。
倉敷貯金箱博物館とは?
倉敷の観光について詳細に調べない限り、倉敷貯金箱博物館という名称に接することはないだろう。たとえ倉敷貯金箱博物館を知ったとしても、古い町並みを見に来たのに貯金箱でもないだろうと、倉敷観光でのプライオリティは低いものと判断してしまうのではないだろうか。
犬の人形が並ぶ異様な光景
運良く、この博物館の建物の写真を目にすることができたら、この博物館に多少は興味が湧くに違いない。
この博物館の屋根がすごいのである。同じポーズをした犬の人形がずらりと並んでいるのだ。倉敷の古い町並みから少し離れた所で目にする異様な光景に驚くに違いない。
博物館に入るかどうかは別にしても、数多くの犬で飾られた屋根だけでも見たくはならないだろうか?
また、 この博物館の建物の側面が黄色とピンク色というショッキングな色合いなのだ。これを見て、何かあるという期待感でワクワクしないだろうか?
倉敷貯金箱博物館は3つの施設から成る博物館だった
実は、倉敷貯金箱博物館は3つのパートから構成されている。3つのパートといっても、それぞれが名称を持っているので3つの博物館といった方が適切かもしれない。
その3つの博物館とは
- 倉敷貯金箱博物館
- 倉敷犬の資料館
- 倉敷おもちゃ博物館
である。
この3つの博物館を総称して倉敷貯金箱博物館と呼ばれているのだ。
古い貯金箱が並ぶ倉敷貯金箱博物館
建物に入り、入場料を支払って狭い階段を2階に上がると、そこには博物館の総称でもある倉敷貯金箱博物館がある。
展示品は、もちろん貯金箱だ。懐かしい、ある意味貯金箱のステレオタイプである豚の貯金箱もある。
また、まだ太陽神戸銀行があった時代の、プロ野球選手の貯金箱なんていうのもある。各球団ともユニフォームがオーソドックスで、チャラチャラしていないところがいい。
これなどは、かなり価値があるのではないだろうか。
上記の他にも様々な古い貯金箱が展示されており、見ていて楽しくなる博物館だ。
倉敷犬の資料館
倉敷貯金箱博物館から倉敷犬の資料館への移動
倉敷貯金箱博物館の見学を終えたら、次は倉敷犬の資料館である。貯金箱博物館から犬の資料館へ行くには、いったん外に出なくてはならない。
床に貼られた順路に従って、自分でドアを開け、渡り廊下のような所へ出る。
外へ出ると、下の写真のようにDIYの香りがする、一見危なっかしい渡り廊下がある。
この渡り廊下を歩いて犬の資料館へ行くのだが、途中で屋根の上に飾られている犬たちの人形の後姿を見ることができる。
ビクター犬が所狭しと並ぶ倉敷犬の資料館
倉敷犬の資料館で最初に目にするのがビクターの黄色い看板だ。「ああ、あの犬はビクター犬だったのか」と納得することになる。
ビクターといえば犬だ。犬の資料館には、「よくこれまで集めたな」と驚くほど、数多くのビクター犬の人形が展示されている。
この犬はビクター犬とよばれているが、本当の名前は「ニッパー (Nipper) 」という。蓄音機に耳を傾ける犬のモデルとなったのがニッパーという名前の犬だからだ。
館内にはビクター犬の絵が描かれたマグカップなども展示されている。
また、蓄音機の前に座ったビクター犬の絵画はユニークだ。1匹だけブルドッグが混ざっているところにユーモアを感じる。
犬の資料館では、ビクター犬に関連する展示物がほとんどだが、変わった展示品としては、冒険家の故植村直己氏のサインがある。色紙には「北極犬橇」と記されている。
懐かしでいっぱいの倉敷おもちゃ博物館
犬の資料館の、またもや狭い階段を下りると倉敷おもちゃ博物館がある。
おもちゃ博物館で最初に目についたのが昭和のTVアニメの主題歌を集めたLPレコード。相当古いレコードで貴重な物だろう。値段を付けるとしたら、いかほどになるのだろうか?
おもちゃ博物館には、貴重と思われる物が多数展示されている。ビートルズの人形などは、その筆頭だろう。 熱烈なビートルズファンなら欲しくてたまらないグッズではないだろうか。
また、大きなペコちゃん人形もある。胸には「不二家のミルキー」と書かれている。ペコちゃん以外にもキャラクターものの人形が多い。
かなり初期の物と思われるゴジラの人形もある。かなり価値がありそうだ。
ここで紹介した物以外にも懐かしさを感じさせる品々が多数展示されており、時間があればじっくりと見学しておきたい博物館である。
倉敷貯金箱博物館は宝の山だった
倉敷貯金箱博物館の1階の半分は、古物商の店舗になっている。おそらく3つの博物館は、その古物商の店主が集めた懐かしい品々を見てもらおうと始めたに違いない。古物商を営む傍ら、博物館も経営しているのであろう。
博物館へ入る際には入場料を支払う必要があるが、通常の博物館のように入場券を売る窓口があるわけではない。建物に入って人がいなければ、「すみませーん」と店の人を呼んでお金を手渡すような、ある意味アットホームな博物館である。
博物館の外観も館内も、お世辞にもきれいだとは言えないが、博物館に展示されている物は間違いなく見る価値のある物だ。
倉敷美観地区を散策した後に倉敷貯金箱博物館に立ち寄り、懐かしさを覚える展示物を見て童心に戻るのもいいだろう。
倉敷貯金箱博物館の地図
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