安芸の小京都とよばれる竹原は塩や酒造りで栄えた町で、それらの商売から得た富で建てられた屋敷が残っている。特に町並み保存地区と呼ばれる一帯には豪商の屋敷が良い状態で保存されており、美しい景観となっている。
竹原市にはうさぎの島として有名な大久野島があるが、町並み保存地区と大久野島の2つの観光地を一気に回ってしまおうとすると、1つ問題がある。竹原駅のあるJR呉線と大久野島のフェリーの接続が悪いのである。
旅行期間が短い場合、どちらかを削るという苦渋の決断も必要になるかもしれない。おそらく大久野島に軍配があがるかもしれないが、町並み保存地区もいいものである。多少無理してでも訪れる価値はあると思う。
ここでは竹原駅からスタートして、町並み保存地区を回る際のポイントを紹介してみたい。
たけはら観光案内処と竹の絵
竹原駅に着いたら、まずは駅から見て右手に見える観光案内所で地図をもらおう。観光案内所の名前は古い街らしく「たけはら観光案内処」だ。
この観光案内所の大きな看板を見てびっくりするかもしれない。古い街には似つかわしくないアニメの絵が描かれているからだ。
これは、竹原が「たまゆら」というアニメの舞台になったためである。
竹原駅から観光案内所の間の歩道にあるのが下の写真。
最初は落書きかタイヤの跡かと思ったが、よく見ると竹の絵だった。竹原らしい演出だ。
あいふる通りのももねこ様
駅前のロータリーから横断歩道を渡るとあいふる通りがある。
この通りを進むと「ももねこ様神社」がある。すぐそばには絵馬が掛けられており、おみくじも売っている。
絵馬は古い日付のものが多く、さすがにアニメファンも竹原まではやすやすとは来れないのかと思ってしまうが、詳しい事情は分からない。
道の駅たけはら
ひび割れか、それとも竹をイメージか?
あいふる通りを真っすぐ行くと川が流れている。その川を越えて、左手方向に道の駅たけはらがある。
道の駅の横を小さな川が流れているが、その川に架かる橋にかぐや姫のモニュメントがある。かぐや姫の絵にはギザギザ模様があるが、これが単なるひび割れなのか、それとも竹をイメージしたものか判断がつかないが、おそらく後者だろう。
地元の人の利用が多い道の駅
道の駅たけはらは2階建で、1階では野菜なども売っている。そのせいか、地元の人の利用が多い道の駅だ。
もちろん観光客、特にツアーの団体客も訪れるので、観光客用の土産物も売っている。
かぐや姫のマンホール
道の駅の2階にはかぐや姫が描かれたマンホールの蓋が展示されている。また、ここではマンホールカードを配っているようだ。
かぐや姫のマンホールの蓋の横にはたまゆらの絵が描かれたものもある。
たまゆらグッズ
土産物は道の駅の2階でも売っている。アニメとのコラボ商品も多い。
竹原市の観光ポスター
竹原市の観光ポスターが道の駅内に掲示されている。「ALICE'S ADVENTURES in Takehaland」とあるが、多少メンヘラっぽさを感じるポスターが気になってしまった。
調べてみると、アリスムカイデという、実際に「アリス」という名前のモデルが起用されている。
ひろしま竹原観光ナビのウェブサイト
『ALICE'S ADVENTURES in Takehaland』公開!
この竹原市の観光PRには動画もあり、結構面白い。
町並み保存地区
いちかわ菓子舗
道の駅から町並み保存地区の方向へ歩いて行くと「いちかわ菓子舗」がある。昔の駄菓子屋のような雰囲気が漂う建物は、実物でみるとかなりインパクトがある。
日の丸写真館
いちかわ菓子舗を左手に行くと日の丸写真館がある。アニメ「たまゆら」に出てくる建物らしい。
日の丸写真館は3階建で、建物の形状が印象的だ。また、「日の丸写真館」の書体に味があり、なんとも言えない気分になる。
町並み保存地区一帯の建築物の中でも、かなり気に入った建物だ。
竹原市の重要文化財・森川邸
日の丸写真館の川を隔てた向かい側にあるのが、竹原市の重要文化財に指定されている森川邸だ。
塩田で成した財で作られた大きな屋敷である。
町並み保存地区の出発点の旧笠井邸
古い建物が並ぶ町並み保存地区のメインストリートにあるのが旧笠井邸だ。町並み保存地区を訪れる観光客は、だいたいここを出発点とする。
旧笠井邸は無料で開放されている。
ハートの格子の松阪邸
旧笠井邸からしばらく歩くと、JALのCMで有名になったハートの格子がある松阪邸がある。
ハートの格子はそれほど大きいわけでもなく、特に目立つわけでもないので、注意してないと見逃してしまうかもしれない。
旅館を改装したカフェ 茶寮一会
松阪邸の前にあるのが茶寮一会。古い高級旅館を利用したカフェだ。
茶寮一会の外観も趣があるが、建物内のデコレーションを見るのも楽しいカフェである。
おすすめは瀬戸内のレモンを使った瀬戸内レモンスカッシュだ。小皿にある黄色いお菓子は、後述する堀川さんの醤油を使ったかりんとうである。
茶寮一会は、町並み保存地区観光の最後に、休憩を兼ねて寄るといいだろう。
「時をかける少女」の吾郎ちゃんの実家 堀川醤油醸造場
大林宣彦監督が気に入り、「時をかける少女」のロケスポットの1つとなったのが堀川醤油醸造場である。
大林監督は建物や看板をそのまま使用するため、筒井康隆の原作では「朝倉吾郎」という登場人物の名前を、映画の中では「堀川吾郎」と変えてしまった。
現在、堀川さんはお好み焼き屋になっているが、醤油も作り続けている。
町並み保存地区を一望できる西方寺
町並み保存地区のメインストリートのちょうど真ん中辺りに長い石段がある。この石段を上がった所にあるのが西方寺だ。
お寺の端にある石段を更に上ると西方寺普明閣がある。
この普明閣には行っておくべきだろう。
なぜなら、竹原市を一望できるからである。ここから眺めると、町並み保存地区の建物は屋根も綺麗に保たれていることが分かる。
「時をかける少女」の胡堂
ほとんどの観光客にとって、町並み保存地区観光の終点となるのが「時をかける少女」で有名な胡堂だ。
実際に目にすると小さい建築物であることに驚く。映画では、もっと大きな印象があるからだ。
町並み保存地区での注意点
以上、竹原駅からスタートし、町並み保存地区を巡るという、竹原市中心部の観光のポイントを紹介したが、町並み保存地区を観光する際に注意したいことがある。
町並み保存地区では観光客相手の商売をしていない家もある。そのような人たちにとって、観光客というのは家の近くをウロウロする見知らぬ人に過ぎない。
このような点を踏まえ、路上で大きな声を出したり、一般家庭の建物をパチパチ写真に撮ったりするようなことは控えた上で、古い町並みを楽しく見学したいものである。
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