イドラ島は、ピレウス港からそれほど遠くない位置にある島である。このイドラ島には猫が多くおり、猫好きにはたまらない島であろう。
こんな「ギリシャの猫島」、イドラ島を紹介してみたい。
イドラ島への行き方
ピレウス港からフェリーでイドラ島へ
イドラ島へ行くにはピレウス(Piraeus)からヘレニックシーウェイズ(Hellenic Seaways)のフェリーに乗る。
イドラ島方面に向かうヘレニックシーウェイズのフェリーは高速船で、ピレウス港を出航後、途中でポロス島(Poros)に寄り、約2時間でイドラ島に到着する。この高速船の便は1日に4便あるので、他の島へ行くよりもアクセスは便利と言える。
ヘレニックシーウェイズのチケット
イドラ島行きのチケットは、ヘレニックシーウェイズのウェブサイトで購入できる。もちろん、ピレウスにあるヘレニックシーウェイズのオフィスやピレウス港にあるチケット売り場でも購入できるが、アテネ近郊の島を巡る人気の航路なので、時期によっては混雑する。そのため、日程が決まっているなら早めにチケットを買っておいた方が無難であろう。
【ヘレニックシーウェイズのウェブサイト】
高速船での注意点
ヘレニックシーウェイズの船内は全席指定席なので、チケットに記載されている座席に着席する。大きな荷物がある場合は、船内の空いたスペースに置くことになるが、次第に良いスペースがなくなっていくので、早めに乗船し、荷物を置くスペースを確保した方がいいだろう。
ヘレニックシーウェイズの高速船は大型フェリーではない。そのため、よく揺れる。ただでさえ揺れるのに、海が荒れていると一層揺れるので注意が必要だ。天候と海の荒れ具合は関係がなく、晴天なのに海が荒れていることもある。
船が揺れれば、当然船酔いをする乗客も出てくる。船内のスタッフも手慣れたもので、揺れが激しくなると、いわゆる「エチケット袋」というゲロ袋を希望する乗客に配り歩く。また、海が荒れていると船の進行速度を落とすため、到着時刻が大幅に遅れる場合もある。
ロバが活躍する坂のある島
フェリーがイドラ島に到着すると、すぐに目に付くのが、ロバがずらりと待機している風景だ。これらのロバは観光用で、観光客がロバでイドラ港周辺を回るというもの。
港に並んでいるロバは観光用であるが、イドラ島ではロバは生活に欠かせない動物というのも事実だ。というのも、イドラ島では自動車やオートバイなどの車両は、公共性があるものを除き通行禁止だからだ。実際にイドラ島に数日滞在して見かけた車両はゴミ収集車だけであった。公共性があるものとして通行が許可された車両の1つがゴミ収集車なのである。
また、たとえ車両の通行が許可されたとしても道が狭いか、または道がないのでどこにも行けないというのも事実である。その上、イドラ島には坂が多い。石畳の階段は、場所によってはかなりきつい。
このような急な石段では、地元の人たちでさえも、途中で休憩をしながら上がって行く様子が見られる。しかし、このような所にも家があり、人が住んでいる。さしずめ、日本でいえば「坂の街」の尾道のようなものだろうか。こんな時に威力を発揮するのがロバなのである。
イドラ島に来るのは観光客だけではない。島の人の生活に必要な物資も運ばれてくる。このような生活物資を含め、重い物を粛々と運ぶのがイドラ島でのロバの役目なのである。
キャットフードを片手に猫と戯れる
「ギリシャの猫島」イドラ島
ギリシャでは、よく野良猫を見かけるものだ。特に島には多くの猫が生息していたりする。とはいっても、至る所にいるわけではなく、各島、猫が多くいる密集地があり、そこを除けばそれほど頻繁に見かけるというわけでもない。
しかし、イドラ島は「ギリシャの猫島」と言っていいくらい、本当に猫が多い島だ。港周辺はもちろんのこと、港から離れても10分間猫を見ずに歩いたら奇跡であろう。
また、例外はあるものの、港から離れるにしたがって猫の警戒心は高まる傾向にある。港から離れた場所を歩いていて、しばらく猫の姿を目にしなくても、実は草むらに隠れ、こちらを見ていることも多い。
レストランの屋外の席には猫が来る
ギリシャではどこでもそうであるが、レストランの屋外の席に座ると猫が寄って来る可能性が高い。もちろん、食べ物をねだるため。猫が食べられそうなものがあればいいのだが、時にはカフェでコーヒーだけを飲んでいても猫が来ることがある。
このような時のために、日本から荷物にならない程度のキャットフードを持って行くといいかもしれない。ただし、空港で没収される可能性もあるが…。
ギリシャの他の場所では、猫が寄って来る確率は100%とは言えないが、イドラ島の港では、レストランであろうとカフェであろうと、ほぼ確実に猫が近づいてくる。飲食店で野良猫と戯れるのもイドラ島での楽しみの1つである。
猫は常に腹をすかしているわけではない
腹をすかしていない猫にえさをやっても、食いつきは良くない。やはり、えさをやるタイミングも重要なのだ。せっかくえさをやったのに、ほとんど食べてもらえない場合もある。
1番確実なのは早朝などの猫にとっての食事時だろう。朝、散歩をしていると、腹をすかした猫が、港のごみ箱をあさっている光景をよく目にする。
しかし、そう簡単にごみ箱から獲物を得ることはできるはずもない。このような時に猫にえさを与えるとガツガツ食べてくれるので、こちらとしても嬉しくなるものだ。
イドラ島でキャットフードを購入
イドラ島にはキャットフードを売っているスーパーマーケットがある。港の船着場から風車の方へ向かって海沿いを歩くと「スーパーK(Super K)」という小さなスーパーマーケットがあり、このスーパーでキャットフードを購入することができる。
スーパーKでは、キャットフードを量り売りをしているので、好きな量だけ買えるのでとても便利。
このスーパーKに入り、女性店員にキャットフードの値段を聞くと「1キロ当たり1ユーロ…ちょっと待ってて。調べるから」と言って、PCのキーボードをたたき値段を調べてくれた。そして、「欲しいんですか?」と聞くので、「ええ」と答えると
「本当に買うんですか?」
と言いながら、キャットフードを入れるレジ袋を渡された。
店員が驚くのも無理はないかもしれません。キャットフードを買う観光客なんてそうそういないだろうから。
プラスチックのシャベルでキャットフードをレジ袋にすくい入れ、店員に渡すと重さを量り、結局、1キロちょっとで1.5ユーロ程度であった。
スーパーKのキャットフード
スーパーKで購入したキャットフードには、何種類かの固形物が混ざっているが、猫によっては一部の種類の固定物を食べなかったりと、結構好き嫌いがある。また、一部の猫は、スーパーKのキャットフードの味に飽きているのか、全く食べようとしないこともある。
それもそのはず、スーパーKのキャットフードは、イドラ島の住民がいろいろな所で野良猫に与えているキャットフードなのだ。
「レストランの客におねだりすれば、もっといい食べ物にありつけるかもしれないので、このキャットフードは食べないでおこう」と猫も感じているのかもしれない。1度本物の肉の味を知ってしまったら、スーパーKのキャットフードは、猫にとってはプライオリティの低い食べ物なのかもしれない。
個性豊かなイドラ島の猫たち
イドラ島にはたくさんの猫がおり、猫の性格も様々だ。人に慣れてる猫、人を警戒する猫など、猫によって個性は全く異なる。人に慣れている猫は、かなり近づいても平気な様子だ。
ベンチに座ってえさをやっていると、食べ終わってからベンチに上がり、すぐ横で寝てしまうような猫もいる。猫によっては好き嫌いのあるスーパーKのキャットフードであるが、イドラ島で猫と触れ合うには、かなり役立つことは確かである。
自ら近づいて来て、すりすりしてくるかわいい猫もいる。このような猫たちに出会えるだけでも、イドラ島に行く価値はあるのではないだろうか。